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リフォーム工事開始後の見積額の大幅増加

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ご相談内容

相談年月:2001年5月

築後15年の木造建売住宅に住んでいます。今回、屋根と外壁の塗装リフォーム工事を行うことになり、業者から見積書をとりました。この業者には、3年前に同じ工事を検討する際に見積書をとった経緯があり、このとき他の業者よりも安かったため、今回は相見積書をとりませんでした。見積り段階で見積書作成の前に、リフォーム業者の建築士が家を見に来ました。私の方から、壁が浮いているようで気になるところがあると申し出たのですが、大丈夫だということで見積金額を出していきました。そして、昨日足場を組み、塗装工事が始まることになりました。すると塗装工が、壁の浮きがひどい部分があるので、左官業者、大工を入れてやり直した方がよく、この場合、工事金額は倍額近くになるだろうと言いました。
当初の見積りに建築士が来て判断しているのに、このような金額の差が生じて心外です。また、ここでキャンセルするとしても、足場を組んだ費用は支払ってほしいと言われています。
本日、当初見積りに来た建築士も同行して、再度見積書を作成することになっていますが、リフォーム業者から洗浄を始めてよいかと聞かれ、この点は承諾しました。
私としては、この業者にこのままやらせるのか、キャンセルするのか決めかねているのですが、キャンセルする場合には、足場の費用を払わなければならないのでしょうか。

回答

見積り段階で建築士が現地を見ながら、必要な見積金額を挙げなかった点は、相手方の落度を追及する根拠にはなるでしょう。しかし、足場を組み、洗浄をすることを了承することで、相手業者がリフォーム工事に着手することに合意しており、契約が成立していると考えられます。現時点で契約解除するとしても、足場・洗浄費用の負担は必要ではないでしょうか。ただし、足場費用は塗装工事にも必要であることから算定されたと考えられ、一定額の減額を請求できると思われます。
また、この業者に塗装工事も引き続き行なわせる場合には、見積書だけではなく契約書をとりかわし、できれば保証もつけてもらってはいかがでしょうか。このように、途中で解約となったときの費用負担も契約書にあれば、万が一、行き違いを生じても多少は安心かと思います。工事金額が倍額近い場合には、契約そのものの錯誤による無効を主張できる場合もあるでしょう。
契約をキャンセルするためには、消費者契約法第4条第1項による取消、錯誤無効又は契約解除の主張が考えられます。
まず、リフォーム業者による契約締結時の説明(壁の浮きを直す必要がないこと)が間違っていたのであれば、契約を取り消せる場合があります。取り消せる場合、足場の費用が相談者の方にとって利益があるかどうか個別に判断されて、費用を払うかどうかが決まります。今回のご相談の場合、足場が組まれたことによって受けた利益があるとは認められにくいと思われます。
次に、錯誤無効を主張するには、契約内容の重要な点に誤解があり、その誤解がなければ誰でも契約をしなかったであろうと主張する必要があります。ご相談内容によれば、塗装工事の前提として、壁の浮きを直す必要性について誤解があったといえます。壁の浮きを直すことで工事費用総額が増加することは、金額の多寡や増加する額の比率等によっては重要な点と言えますが、壁の浮きを直す必要があるのであれば、本来要する塗装代金(壁の浮きを直す工事代金を含む)を契約締結後に知ったということになり、重要な誤解とは言えないともいえます。建物の新築時の価格、現状の時価、リフォームの額、利用状況等を確認する必要がありますが、錯誤無効の主張が認められるかどうかは、評価が分かれるでしょう。見積書作成前に壁の浮きを指摘していたのであれば、錯誤無効の主張が認められれば、取消の場合と同様、足場の費用を支払うべき義務は認められにくいと思われます。
最後に、錯誤無効が認められない場合は、契約が有効に成立していることになるので、業者は契約した金額で瑕疵のない塗装工事を行わねばなりません。しかし、壁の浮きを直さずに塗装工事を行っても瑕疵のない塗装工事が完成しないのであれば、業者は塗装工事を行うことをためらうはずです。つまり、業者が契約通りの工事をしない結果となりますので、それを理由に契約を解除することができます。業者の債務不履行を理由にできますので、足場の費用を払う必要もありません。
法律的には以上のように言えますが、壁の浮きを直す必要がある以上、他の業者に依頼しても、当初の予想額よりは高い工事代金を要すると思われます。また、契約取消等ができる場合でも、業者の説明により支出した費用があれば、業者による説明ミスを理由にその損害賠償が認められる場合もあります。
弁護士に相談することをお勧めします。

※ 民法改正により、2020年4月以降の法律行為(契約等)に錯誤があった場合の効果は、「無効」から、「取り消すことができる」ものとされました(民法95条1項)。

相談ID:311

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