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永年住んでいる賃貸アパートが老朽化したため、立ち退きを求められている。

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ご相談内容

相談年月:2013年2月

現在の賃貸アパートに20年前から住んでいます。1月にアパートの貸主から、「建物が老朽化して危険なので取り壊す。5月までに退去してもらえないだろうか」と言われました。アパートはたしかに古くなっていますが、親の代から住んでおり、非常に気に入っているので、出て行きたくありません。断ることはできないのでしょうか。
また、もし立ち退くとしたら、退去に必要な費用や、新しい住居を借りる費用は払ってもらえるのでしょうか。

回答

アパートの賃貸借契約において、貸主が借主に退去を求めるには、借地借家法26条1項により、「期間満了の1年前から6か月前までの通知(期間の定めがない場合は、解約の申し入れから6か月を経過することで終了)」と、同法28条により、立ち退きを求める「正当事由」が必要とされています。
正当事由があるかどうかは、
・居住の必要性→ 建物の貸主と借主が建物の使用を必要とする事情
             (どちらがより建物を必要としているか)
・賃貸借に関する従前の経緯→ 権利金・更新料等の授受の有無
                      賃料支払義務の履行状況
・建物の利用状況→ 借主の利用状況
・建物の現況→ 建物の老朽化など物理的状況
・財産上の給付の有無→ 立ち退き料等
などを考慮して、総合的に判断されます。
建物が古くなっているとはいえ、修理をして借主が実際に生活できる状況であれば、正当事由として認められにくいですが、老朽化が非常に激しくて、倒壊の危険や衛生状況の悪化などの問題があれば、正当事由が認められるケースもあります。
また、立ち退き料の支払いは、正当事由が不十分であるときに、これを補うものとして提示されます。立ち退き料の金額に明確な基準はありませんが、一般的には、現在の借家と同程度の借家を借りるために必要な費用(礼金、仲介手数料など)や、引っ越し費用などが含まれると考えられます。ただし、立ち退き料の支払いのみで正当事由が満たされるわけではありません。
本件においては、まず、退去までの期限が6か月に満たないので、これを理由に明け渡しを拒めます。
しかし、貸主は明け渡し期限を遅らせて明け渡しを求めることが予想されますので、その場合には、建物の老朽化程度や修理の可否について詳しい説明を求めてみてください。その老朽化の程度については、建築士などの専門家に相談することが適切です。
建て替える方が適切であるということになれば、立ち退き料について交渉することになります。立ち退き料の額については弁護士にも相談すると良いでしょう。

 (参考) 現行法の耐震基準を満たさなくなった建物を建て替えたいという理由で借主に明け渡しを求める事案について下級審の裁判例があります(東京地方裁判所判決 平成25年1月25日判時2184号57頁、東京地方裁判所判決 平成25年2月25日判時2201号73頁、東京地方裁判所立川支部判決 平成25年3月28日判時2201号80頁等)。

相談ID:602

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