補修方法編

補修方法シート

【木造住宅(在来軸組工法)】

床の傾斜土台の交換F-1-109
木軸
工事概要

外壁等を撤去して、土台の不具合部分を交換する。(参考:参考文献1)



概要図
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 床組構成部材の断面寸法等の不足、配置・間隔の不良、材料の選択不良、材料の品質不良、腐朽・蟻害
適用条件
  • 交換部以外の土台に材質不良がないことが確認された場合に、適用可能な方法である。
工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、土台の腐朽・蟻害の範囲と状況を確認する。
2.足場の設置・外壁等の撤去
補修する土台の周囲に足場を設置する。
沈下した管柱を中心に不具合が生じている範囲を、胴差の高さまで外壁仕上げを撤去し、柱、間柱、土台を露出させる。
補修する土台周囲の床の仕上げ等を取り外す。
3.床・柱の仮支持
土台の腐朽・蟻害の範囲を確認し、床の沈下との関係を確認する。(*1)
胴差下端と地盤の間にパイプサポートを差し入れる。パイプサポート下には厚板等を敷き、ベースプレートを釘で留める。胴差も同様に釘で留める。
パイプサポートを徐々に伸長し、所定のレベルより数㎜程度上げ加減にする。パイプサポートは、厚板等の沈下を監視しながら、伸長する。
交換する土台にからんだ根太掛け、大引き、根太の留め付けを外し、必要に応じ仮束で仮支持する。
4.土台の部分交換
土台の交換部分を決定し、相欠き継ぎにけがいて切り取る。柱、間柱下端のほぞは切り取る。

土台の部分交換例
新しい土台を加工し、差し入れ、継手を釘にて仮止めする。
パイプサポートをゆるめて、柱、間柱を土台の所定位置に載せる。その後、パイプサポートを撤去する。

接合金物の設置例
5.土台・柱の接合
新設土台は、上から斜め釘打ち(N90、2本)、側面平金物にて既存土台と接合する。
アンカーボルト(あと施工アンカー)により土台を基礎に緊結する。
  • アンカーボルト等の設置位置と必要耐力については、構造計算等により決定する。
柱と土台は、山形プレート等、必要とされる耐力以上の金物で接合する。
6.外壁・床等の補修
根太掛け、大引き、根太を水糸等により、正規レベルまで押し上げ、留め付け直す。
撤去した外壁および床等を再施工する。
内壁にひび割れ、幅木の隙間等が生じている場合は補修する。
7.最終確認
水準器等を用いて、各階の床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
足場等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
(*1) 腐朽・蟻害部分の撤去、補修に先立ち、その原因と範囲を確定し、腐朽・蟻害対策措置が別途必要である。
施工上の注意点
  • 土台は、柱の引抜き力などが働く際に曲げ応力を負担するため、部分的な交換よりもできるだけ長い範囲の交換を行うことが望ましい。
  • 根太掛け、大引き、根太の留め付け直しについては、床の損傷が大きければ、床の張替えを伴う。
  • 柱と新設土台の接合は、筋かいとの取り合い等も考慮し、柱のほぞの代わりに適正な金物を用いて、その部分に発生する存在応力を伝えられるようにしなければならない。必要に応じてドリフトピンを用いた金物等で行う場合もある。ただし、ドリフトピン等の径が大きいと割裂を起しやすいので、金物を使用する場合は、構造安全性のチェックを行なうこととする。
    接合金物を土台にあらかじめ固定しておき、柱脚には接合金物を差し入れるためのスリット開口を設けておく。柱を水平または鉛直方向より、土台に固定された接合金物に差し入れてから、ドリフトピンを挿入して固定する。
  • あと施工アンカーを用いて補修を行う場合は平成13国交告第1024号「特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件」に適合する必要がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅の耐震改修向上リフォーム 基礎編 平成13年(第6版)[p42] 木造住宅の耐震性向上リフォームテキスト作成委員会 (財)日本住宅リフォームセンター
2 「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」 国土交通省住宅局建築指導課 国土交通省HP