補修方法編

補修方法シート

【木造住宅(在来軸組工法)】

降雨による漏水サッシ回りの防水テープ、防水紙の再施工W-1-506
木軸・木枠
工事概要

外壁をはがし、サッシ回りの防水テープおよび防水紙等を再施工する。

(chord作成)
木造軸組工法の場合の概念図
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 開口部等周囲の隙間等の不良(防水テープの施工不良および防水紙の施工不良)
適用条件
  • サッシ回りの外壁仕上げを撤去し、防水下地面をあらわしとすることができること。
  • 外部または窓の内側から作業できるスペースが十分にあること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での事前調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.サッシ回りの外壁面の撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
サッシ枠より概ね30~40㎝程度まで仕上材をはがす。シーリング目地があれば、そのラインまでをはがす。
3.サッシ取り外し
周囲の透湿防水シートまたは防水紙の劣化状況を確認し、劣化している範囲およびサッシの周囲のシート等を撤去する。
サッシを損傷しないように取り外す。

(ラス下地板又は構造用面材が下地の場合)
3-2.面合わせ材の取り付け
(ラス下地板又は構造用面材等が下地の場合)
サッシ枠の取付けおよび防水テープを確実に張り付けるため、面合わせ材を開口部の外周に取り付ける。(参考:参考文献1)
  • 面合わせ材は、ラス下地板の場合は開口部の4周、構造用面材下地の場合は開口部の両側に取り付ける(開口部上下は、構造用面材を開口部内法まで張る。)(参考:参考文献1)

ラス下地と面合せ材(引用:参考文献3<一部加筆>)
4.先張りシートおよび入隅防水テープの施工 以下の手順で、透湿防水シートまたは防水紙を張り直す
窓台の全幅と両側の柱の高さ100㎜以上に先張り防水シートを張る。(参考:参考文献3)
柱と窓台の入隅に生じるすき間は、防水テープ等を用いて止水を行う。(参考:参考文献3)
既存と新設の透湿防水シートまたは防水紙との接合部は、十分な止水を行う。
  • 防水テープは張り直しを行った場合や、しわが生じている場合には漏水につながることがあるため新たなテープで張り直す。

先張りシートの施工例(引用:参考文献1)


入隅防水テープの施工例(引用:参考文献1)
5.サッシ取り付け
サッシ下枠の水平を保ち、先張りシートを破損しないように開口部にはめ込む。
サッシ釘打ちフィンにへこみが生じないように釘打ちまたはビス留めをする。

サッシの取付例(引用:参考文献3)
  • サッシ釘打ちフィンを固定する下地は、壁下地の種類に応じて取り付けた面合わせ材の上から固定する。
6.サッシ外周防水テープ貼り 防水テープは、サッシ釘打ちフィンの幅全体に掛かるように、次の①・②の順に貼る。(参考:参考文献1)
サッシ縦枠と面合わせ材および壁下地にかかるように両面テープ貼りする。
サッシ上枠と面合わせ材および壁下地にかかるように両面テープ貼りする。この際、①のテープの上まで貼る。
  • 吹き上げ防止等の処置が必要な場合は、6.備考を参照する。




防水テープ貼りの例(引用:参考文献1 (一部加筆))
7.防水紙張り
(参考:参考文献1)
  • 防水紙は、次の①~③の順に張る。防水テープのはく離紙は、粘着力を低下させないよう、防水紙を張る直前にはがすようにする。
サッシ下の先張り防水シートの内側に挿入して張る。
サッシの両側を下から順に横張りする。重なり代は上下90㎜以上、左右150㎜以上となるようにする。(参考:参考文献1)
サッシの上を張る。

防水紙張りの例(引用:参考文献1)
8.外壁仕上げの施工および四周シーリング
外壁の仕上げを施工する。(※1)
建具の四周をシーリングする。(※2)(※3)
  • 吹付塗装仕上げの場合には、建具の四周にシーリングを施した後に外壁を塗装で仕上げる。
9.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
降雨時に浸水がないことを確認する。足場、養生等の撤去を行う。
備考 施工上の注意点
  • 下地に面合わせ材を施工する場合は、壁面との納まり寸法等が変わるので事前に納まりを確認する必要がある。
  • 補修工事には、漏水による汚れや劣化の影響範囲の補修が別途必要となる場合がある。

    面合わせ材を使用した納まりの例(chord作成)
  • 工事手順例の6.サッシ外周防水テープ貼りは、吹き上げ防止等の措置が必要な場合は、下図のようにサッシ下枠にも貼ることがある。この場合は、最初に片面防水テープを下枠に貼り、続けて工事手順例6の①②のテープを貼る。(参考:参考文献1)

    サッシ下枠にも防水テープを貼る場合の例(引用:参考文献2)
(※1)サッシまわりの胴縁及び通気胴縁に、防腐処理された胴縁を使用する場合は、防腐処理に使用している薬剤が透湿防水シートの性能を低下させることがあるため、施工中は胴縁を濡らさないようにし、胴縁の施工後は速やかに外装材を施工するよう留意する。(参考:参考文献1、5)
(※2)外壁仕上げ材と取り合うサッシの四周は、シーリングを施すことが一般的であるが、軒の出が大きく雨がかりになりにくい部分の湿式仕上げの場合は、シーリングを施さないことがある。(参考:参考文献2)
      
窯業系サイディングの例

ラスモルタルの例
サッシ回りシーリング処理の例 (引用:参考文献2)

(※3)建具の四周にシーリングを施した場合はサッシ上部の壁内に浸入した雨水を排出するため、必要に応じて排出口(排水路)をサッシ上枠のシーリング部分に設ける。

サッシ上部シーリングの排水路の例 (引用:参考文献4)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 平成28年版[p154,p190~199(11.1),p196参考図11.1.4-1, p197参考図11.1.4-2, p198参考図11.1.5-1①②③] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 まもりすまい保険設計施工基準・同解説(2012年版)第4版[p54(図9-2)、p56(図9-5)] 住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構(株) 住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構(株)
3 サッシまわりの雨水浸入防止対策(木造住宅用)[p60,p64] (社)日本サッシ協会 (社)日本サッシ協会
4 窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)[p29](NPO法人住宅外装テクニカルセンター) 日本窯業外装材協会
5 JIS A6111:2016透湿防水シート[p解5~6(解説7)] 揖斐敏夫 (一社)日本規格協会