補修方法編

補修方法シート

【鉄筋コンクリート造住宅】

外壁のひび割れ・欠損ひび割れの進行防止G-2-310
RC造
工事概要

ひび割れ誘発目地は、主としてコンクリートの乾燥収縮に起因する収縮ひび割れの発生位置をあらかじめ設定した目地の部分に集中させ、ここにシール材を使用して防水処理を行い、避けることのできないひび割れの発生による害を少しでも小さくしようとするものである。所定の目地を外壁の表・裏に設け、表側目地にシーリング材を充填して誘発目地を新設する。(*1)

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
誘発目地(収縮目地)の配置例
(参考:参考文献1、引用:参考文献2)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
原因
  • 配筋方法の不良
  • ひび割れ誘発目地の入れ方の不良
適用条件
  • 初期(竣工後1~2年程度の建物外壁)に発生したひび割れに対し適用可能である。
  • 目地を施工後、必要な鉄筋のかぶり厚さが確保できる時に適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れの状況等を確認し、工事計画を立てる。
外装仕上材に合わせてシーリング材料、プライマーの選定を行う。
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、目地堀込み時に発生する粉塵が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
3.誘発目地の堀込み
目地の掘込みはダイヤモンドカッター等を用いて、所定の目地幅及び深さで、凹凸の広狭がないように切断する。
目地の軽微な欠陥部をポリマーセメントモルタル等で、補修する。
  • 誘発目地は、主として壁部材に断面欠損箇所を設け、乾燥収縮によって部材内部に生じる引張応力を集中させひび割れを目地内に誘発させることから、目地がその効果を発揮するためには、目地部分の断面欠損が必要である。このため、誘発目地の間隔を決めるのに水平及び垂直の目地で囲まれた1枚の壁の面積を25㎡以下とし、垂直目地は、ほぼ3m以内間隔で設け、位置としては柱際かまたは柱心から1.5m程度以内に設けるのがよいとされている。また、断面欠損率は20%程度とされている。
    「住宅の調査と補修 -平成28年度版
    住宅紛争処理技術関連資料集-」
    のCD-ROMをご参照ください
    誘発目地(収縮目地)の例(引用:参考文献2)
4.マスキングテープ張り
マスキングテープは、シーリング材の接着面にかからない位置に通りよく張り付ける。
  • 塗装面にテープ張りをするときは、塗装が十分硬化していることを確認し、除去に際して塗膜をはがさないように注意する。(*2)
  • 接着剤が残存した場合は、速やかに清掃用洗剤等で除去する。
5.シーリング材充填
プライマーを塗りむら、塗残しあるいは目地からはみ出しのないように均一に塗布する。
シーリング材の充填は、目地幅よりわずかに細く、底まで届くノズルを装着したガンを用い、目地底部から加圧しながら3面接着で入念に行う。
充填したシーリング材は、内部まで力が十分に伝わるように、へら押さえして下地と密着させた後、平滑に仕上げる。
  • シーリング材の充填は交差部あるいは角部から隙間、打残し、気泡がないように目地の隅々まで充填する。
  • シーリング材の充填はプライマー塗布後、製造業者の指定する時間内に行う。
  • シーリング作業は、外気温5℃以上、湿度80%以下で行い、降雨時や強風時(10m/sec以上)は施工しない。
6.清掃及び養生
シーリング充填直後にマスキングテープを除去し、目地周辺の外装材に付着したシーリング材を清掃用洗剤でふき取る。
シーリング材表面がタックフリー(*3)の状態になるまでは、触れないようにし、硬化するまでは塵埃等が付着しないように養生する。
7.外装仕上再施工
外装仕上げ(複層仕上塗材(吹付タイル等)、タイル張り等)を行う。(*2)
8.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
防塵シートを取り外し足場を撤去したうえ、片付け・清掃を行う。
備考
(*1)誘発目地の堀込みは、可能であれば表・裏の両側が望ましい。裏面にも堀込み目地を設ける場合には当該箇所の内装仕上等の撤去・再施工が発生する。
(*2)シーリング材の充填は、吹付け等の仕上げ前に行うことが原則であるが、仕上げが施された後に充填することもある。この場合は、目地周辺を養生し、はみ出さないように行う。
(*3) JIS A1439:2016(建築用シーリング材の試験方法)は、平成28年12月20日に改正され、用語及び定義において、旧規格の「タックフリータイム」が「指触乾燥時間」に変更された。 (参考:参考文献4)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・
施工指針(案)・同解説(2006)[p95]
(社)日本建築学会 (社)日本建築学会
2 鉄筋コンクリート造のひび割れ対策(設計・施工)指針・
同解説(2002)[p45,49]
(社)日本建築学会 (社)日本建築学会
3 建築改修工事監理指針 平成28年版(第1版)(上巻)
[p271~296(3.7節)](国土交通省大臣官房官庁営繕部)
(一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
4 JIS A1439:2016建築用シーリング材の試験方法[p解3(解説4)] 揖斐敏夫 (一財)日本規格協会