補修方法編

補修方法シート

【鉄骨造住宅】

基礎の沈下基礎のジャッキアップ+鋼管圧入工法K-1-402
S造
工事概要

基礎下に油圧ジャッキをセットし、建物荷重を反力として鋼管を支持層まで圧入する。必要箇所の圧入が完了した後、圧入鋼管の支持力を反力として建物をジャッキアップする。


工事概要図
(引用:参考文献1一部加筆)
対応する不具合と原因 不具合
  • 基礎の沈下(K-1)
原因
  • 地盤条件の設定過程の不良
  • 地盤条件設定値の不適合
  • 施工方法の選択不良
  • 基礎形式選定の不適合
  • 基礎の断面寸法
  • 基礎の配置・間隔不良
  • 敷地の安全対策の不備
  • 既存擁壁への対応不備
適用条件
  • 鋼管を杭として用いる場合は、当該杭の構造方法が建基法告示平12建告第1347号「建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件」の基準を満たすものであること。ただし、自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物又は建築物の部分に有害な損傷、変形及び沈下が生じないことが構造計算により確かめられる場合にあっては、この限りでない。
  • ジャッキアップ時に必要な反力が確保できること。
  • 既設の基礎が直接基礎、又は、杭基礎の場合で、地表部分の地盤では十分な反力が確保できない場合や、既設杭の支持力が期待できない場合に適用する。
工事手順の例

<既設基礎が直接基礎の場合の工事手順>

1.事前調査
現場調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
沈下の状況、原因を確認し、施工計画をたて、工期を決定する。
2.準備
仮囲い、仮設電力引き込みを行う。
器材及び資材を搬入する。
3.地盤の掘削
繰り返し作業
鋼管を圧入する基礎の直下を掘削し、圧入に必要な作業スペースを確保する。(深さ:作業空間が確保できる程度)
残土処分し、必要に応じ山留めを行う。

掘削状況の断面概念図(chord作成)

掘削状況の平面概念図
4.鋼管の設置
  • 柱の直下の部分に鋼管(φ200~400mm、長さ1m程度)を設置する。鋼管の垂直を確認する。
5.鋼管の圧入及び建物全体の仮受け
鋼管と基礎底面との間に油圧ジャッキを設置する。
ジャッキを作動させ、建物荷重を反力として鋼管を圧入する。追加の鋼管を溶接し、継ぎ足しながら支持層まで圧入する。圧入力の数値を記録し、杭支持力を確認する。
圧入後、鋼管頭部をサポートジャッキにて仮受けし、プレロードを行う。
  • 建物が沈下しないように注意しながら、3~5の工程を建物の端から順次繰り返し、建物全体を仮受けする。
給排水、ガス等の設備配管を切断、先止めする。

鋼管圧入の概念図(chord作成)
仮受け状況の概念図(chord作成)
建物全体の鋼管圧入・仮受け状況の概念図(chord作成)
6.ジャッキアップ及び建物の水平調整
サポートジャッキ内側に油圧ジャッキをセットし、建物全体をジャッキアップして沈下を修正し、建物の水平調整を行った上で、サポートジャッキのネジを締め、本受けする。
建物レベル及び水平を確認する。
油圧ジャッキを撤去する。
給排水、ガス等の設備配管を接続する。
7.鋼管と基礎の定着
地盤条件、建物条件等より鋼管と基礎の接合方法や固定度を決定する。定着が必要な場合、鋼管上端に作用する力に安全なように鋼管上端を補強し定着させる。

建物全体の仮受け作業終了時の概念図(chord作成)
(定着が必要な場合鋼管上端を定着させる)
8.埋戻し
基礎下の掘削部分を埋め戻す。基礎下の埋戻しは転圧が十分に出来ないため、流動化処理土等を用いる。充填が不十分となる場合には発泡モルタル等を使用する場合もある。
基礎底面から地表面まで埋め戻す。

掘削部分の埋戻し(chord作成)
9.最終確認
レベルや水盛管等を用いて建物全体の設置高さ、水平を再度確認する。
器材及び資材を撤去・搬出のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • 鋼管圧入工法は、圧入のための反力として建物荷重を利用するので圧入力に限度があるが、圧入時には圧力計により圧入力を読みとることが可能であり、載荷試験のように支持力の確認ができる利点(通常の載荷試験とは異なり完全なものではないが)がある。
  • 施工は、ほぼ基礎下のみであり、設備配管等の盛替えにより、建物を平常通り使用しながらの施工も可能な場合がある。
  • 工事実施後においても、定期的に沈下の進行状況を確認する。沈下の進行が認められる場合、補修方法を再検討する必要がある。
  • ジャッキアップに伴い、外壁等にひび割れ等が生じた場合には、併せて補修する必要がある。
  • 施工に際しては、以下の条件も重要である。
    • 基礎下掘削用の進入口が確保できること。
    • 圧入する鋼管を仮置きするスペースに配慮すること。
    • 基礎下掘削時に地下水の大量な湧水が生じない地盤であること。
    • 基礎に変形に伴うひび割れ等がないこと。
  • 既設の基礎が擁壁等に近接している場合は、注意して補修すること。
  • 擁壁を併せて補修する場合には、擁壁に有害な損傷、変形及び沈下が生じないように安全性を確認すること。(建基法令第142条及び建基法告示平12建告第1449号「煙突、鉄筋コンクリート造の柱等、広告塔又は高架水槽等及び擁壁並びに乗用エレベーター又はエスカレーターの構造計算の基準を定める件」参照)
  • 鋼管を継ぎ足す場合、耐力低下が生じないような継ぎ手溶接を行い、鉛直精度を確保するような施工が必要である。
  • 打ち止めは圧力計により支持力を確認すると共にリバウンド量を観測し適切に判断する。
  • 鋼管が柱下に設置できない場合、または鋼管の設置間隔によっては、基礎梁に生じる曲げせん断力による安全性を確認する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築技術1995年9月号[p54~62,98~99] 田村昌仁・間瀬哲・大沢一実 (株)建築技術