補修方法編

補修方法シート

【鉄骨造住宅】

外壁の傾斜ガセットプレートの補強G-1-407
S造
工事概要

既設ブレースの強度及び剛性を向上させるため、ガセットプレートにカバープレートを溶接する。


補強の概念図(chord作成)
(参考文献2を元に作図)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
  • 水平振動(V-2)
原因
  • 水平構面の剛性の不足
  • 骨組の断面寸法等の不足、配置・支持間隔の不良、架構・接合方法の不良
適用条件
  • 既設ガセットプレートの断面が不足している場合、溶接部以外に破断や変形が生じていない場合に適用可能である。なお、単に溶接に問題がある場合は溶接を補修する。
工事手順の例
1.事前調査
構造計算等により、カバープレートの大きさ等を決定する。
現場調査において、接合部の取り合い等が構造計算書及び構造計画検討時の適用条件を満たしていること、また工事の妨げになるものがないことを確認する。
傾斜の影響を受け、交換の必要のあるサッシ等の部品・材料を確認し、工事計画を立てる。
2.足場設置・仕上材等の撤去
補強する柱の周囲に足場を設置する。
以下の部位を撤去し、ブレースを露出させる。

<鉛直ブレースの場合>
  • ブレース設置面の壁仕上げ、下地材等
  • 上記壁に接する床・天井の仕上げ、下地材等
  • 柱の傾斜により影響を受け傷んだ上階床の仕上げ、下地材等

<水平ブレースの場合>
  • ブレース設置面の床仕上げ、下地材等
  • ブレース設置面の天井仕上げ、下地材等
  • 上記床、天井に接する壁の仕上げ、下地材等
3.ブレースの撤去
ガセットプレートからブレースを取り外す。
4.建入れ直し
傾斜した柱周辺の梁・柱にチェーンロープを架け、徐々に加力し、下げ振りで倒れを見ながら、柱が垂直に補正されたことを確認する。
5.高力ボルト用孔あけ
カバープレートに、ブレースの高力ボルトの取合い用孔の位置を罫書く。
高力ボルト用の孔あけを行う。
※孔あけはドリルによる。
6.カバープレート・補強リブの溶接(参考:参考文献2)
溶接部まわりの塗装、じんあい、油、錆等を完全に除去する。
カバープレート取付け位置を罫書く。
必要に応じ、予熱を行う。
カバープレートをガセットプレートに重ねて全周をすみ肉溶接で取り付ける。
補強リブを柱に溶接する。
冷間成形角形鋼管のコーナー部に溶接してはならない。
カバープレートを補強リブに溶接する。
溶接部の外観検査及び非破壊検査を行う。
カバープレートの摩擦面は、すべり係数値が0.45以上確保できるよう、ミルスケール(くろかわ)を平グラインダー掛け等により座金外径の2倍以上の幅を除去した後、一様に錆を発生させたものとする。(参考:参考文献1)
7.ブレースの設置
ブレースを仮止めする。
高力ボルトは、ボルトにマーキングを行った後に、本締めする。
高力ボルト締付け後検査を行う。
補強範囲の塗装(防錆処理)等を行う。
8.下地材・仕上材の復旧
以下の部分を復旧する。
  • 外壁下地材、仕上材、開口部、
  • 床下地材、仕上材(フローリング等)
  • 天井下地材、仕上材
  • 内壁ボード、仕上材
9.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • 耐火被覆がある場合には、その撤去、復旧工事が発生する。
  • 振動に関する不具合に当該補修方法を適用する場合、「5.工事手順の例」における建入れ直し工程は必要ない。
  • 炭素鋼ボルトの強度が240N/m㎡を超える場合の許容応力度等については建基法令第90条、第96条、平12建告第1451号「炭素鋼のボルトのせん断に対する許容応力度及び材料強度を定める件」に依る。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築工事標準仕様書 平成28年版(第1版)
[建築工事編p88(7章4節)](国土交通省大臣官
房官庁営繕部)
(一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
2 既存鉄骨造建築物の耐震改修施工マニュアル
〈改訂版〉[p77,112]
建設省住宅局建築指導課
(社)日本鋼構造協会
(財)日本建築防災協会
(社)日本鋼構造協会
3 2013年改訂版 既存鉄骨造建築物の耐震改修施工
マニュアル[p39,64](独立行政法人建築研究所)
(一社)日本鋼構造協会
(一財)日本建築防災協会
(一社)日本鋼構造協会