補修方法編

補修方法シート

【鉄筋コンクリート造住宅】

外壁のひび割れ・欠損注入口付アンカ-ピンニング
エポキシ樹脂注入タイル固定工法
G-2-313
RC造
工事概要
  • タイル陶片の浮き部分を下地モルタル(コンクリートに直張りの場合はコンクリート)に密着させるためにタイルの中央部に穿孔し、この穿孔部分にアンカー機能と注入口を兼ね備えた注入口付アンカーピンを挿入して機械的に固定し、エポキシ樹脂を充填して、下地と仕上材を一体化する工法である。
工事概念図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
原因
  • 下地調整層の不良
  • 外壁仕上材等の選択・品質不良、養生不良
適用条件
  • タイル陶片の浮きに適用可能である。(参考:参考文献2)
  • 小口タイル以上の比較的大きなタイルに適用し、モザイクタイル等の小さなタイルの補修には適用できない。(引用:参考文献2)
  • 補修部分の外壁にひび割れがないか、又は補修された場合に限り適用できる。
  • 補修により美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り適用する。(※1)
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
浮きの状況を確認し、工事計画を立てる。
2.準備
必要に応じて足場を設置し、施工時に発生する粉塵が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
3.注入口付アンカーピン固定部の穿孔(※2)
タイル中央にピンを打つための孔を無振動ドリル(※3)を用いて穿孔する。(引用:参考文献2)
  • 穿孔は、注入口付アンカーピン外径(※4)より0.5㎜程度太い直径とし、壁面に対し直角に構造体コンクリートの中に20mm以上の深さに達するまで行う。 (引用:参考文献1)
  • 穿孔深さは、使用する注入口付アンカーピンの長さより5㎜程度深くするが、注入口付アンカーピンの長さは構造体コンクリートに少なくとも20mm入る長さとする。(引用:参考文献2)
穿孔後、孔内をブラシ等で十分に清掃し、圧搾空気、吸引機等で接着の妨げとなる切粉等を除去する。(引用:参考文献1)
穿孔内が湿潤状態にある場合には、穿孔内の乾燥を待ってから注入を行う。(参考:参考文献1)
4.材料の選定
注入口付アンカーピンから注入するエポキシ樹脂は、建築補修用注入エポキシ樹脂(JIS A6024)の硬質形の高粘度形または中粘度形を標準とする。(引用:参考文献2)
注入口付アンカーピンは、ステンレス鋼(SUS304)とし、呼び径は外径6mmを標準とする。(参考:参考文献1)
5.注入口付アンカーピンの打込み
注入口付アンカーピンを孔に挿入し、ハンマーで軽く叩いて仕上げ面まで打込んだ後、専用の打込み工具で先端の開脚部を拡張し、注入口付アンカーピンを固着する。(引用:参考文献1)
6.注入口付アンカーピンへのエポキシ樹脂の充填
注入用エポキシ樹脂を手動式注入器を用い、注入口から徐々に充填する。(引用:参考文献1)
7.穴埋め
注入後の孔の処理は、タイルと同色に焼き付けまたは塗装した成形物をはめ込む方法や同色に調色した樹脂パテまたはポリマーセメント系のパテで埋める方法等により仕上げる。長期耐候性や黄変に留意して材料を選択する。引用:参考文献2)
8.清掃・養生
アンカーピン固定部は、夏期で15時間程度、冬期で24時間程度は衝撃を与えられないようにし、降雨等からも養生を行う。(参考:参考文献1)
注入部以外に付着した材料は、適切な方法で除去し、清掃する。(引用:参考文献1)
9.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • 注入口付アンカーピンの施工状況は、「注入口付アンカーピンニング工法(鉄筋コンクリート造G-2-309)」5.工事手順の例の図を参考にすることができる。
  • タイル張り仕上げのタイル張りモルタル層と下地モルタル層間及び下地モルタルと構造体コンクリート間の浮き、又はモルタル塗り仕上げのモルタルと構造体コンクリート間の浮きは「アンカーピンニング工法(鉄筋コンクリート造G-2-308)」、または「注入口付アンカーピンニング工法(鉄筋コンクリート造G-2-309)」による。(参考:参考文献2)

(※1)タイルが暗色の場合はほとんど目立たずに違和感が少なく仕上げることができる。明色のタイルの場合は処理後の状態が目立ちやすい。(引用:参考文献2)
(※2)注入口付アンカーピンの本数は、浮きの調査結果を基に決める。基本的な考え方は、浮いているタイルすべてに行うのが望ましいが、タイル目地が深目地でなく、目地が劣化していない場合で3~4枚に1枚の割合で施工した例もある。 (引用:参考文献2)
(※3)振動ドリルやハンマードリルのように衝撃力の強いドリルはタイルを破損するおそれがあり好ましくないため、無振動ドリルを用いる。 (引用:参考文献2)
(※4)注入口付アンカーピンの品質基準は(社)建築研究振興協会から提案されている「注入口付アンカーピンの品質・性能基準(2013年3月改訂)」(建築改修工事監理指針 平成25年版(上巻)(第2版第2刷)[p357~358])が参考にできる。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築改修工事標準仕様書 平成28年版(第1版)
(建築工事編)[p84、100、103、104、119(4.5.15)]
(国土交通省大臣官房官庁営繕部)
一般財団法人建築保全センター 一般財団法人建築保全センター
1 建築改修工事監理指針 平成28年版(第1版)(上巻)
[p362~364、p403、p416~419(図4.4.7)、p427、p457~459](国土交通省大臣官房官庁営繕部)
一般財団法人建築保全センター 一般財団法人建築保全センター