補修方法編

補修方法シート

【鉄骨造住宅】

外壁のひび割れ、欠損ALCパネル下地タイル伸縮調整目地新設工法G-2-403
S造
工事概要
  • ALCパネル下地タイル張りにおいて、ALCパネルの目地にまたがってタイルが張られ目地沿いにタイル張りのひび割れ・欠損、はがれ・浮きが生じている場合に、タイルを部分的に張り替えるとともに、伸縮調整目地を新たに設置する工法である。(引用:参考文献2)

タイル伸縮調整目地新設工法例(引用:参考文献2一部加筆)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ、欠損(G-2)
原因
  • 外壁仕上材等の留付方法の不良
  • 外壁仕上材等の割付不良
適用条件
  • 既存タイルと同じ又は美観的に調和できるタイルが用意できる場合に適用する。
  • ALCパネルの取付け構法は、縦壁ロッキング構法および横壁アンカー構法(横壁ボルト止め構法)であること。(参考:参考文献1)
  • ALCパネルの厚さは、100㎜以上であること。(参考:参考文献1)
  • タイル張りのひび割れ・欠損、はがれ・浮きがALCパネルの割付目地沿いであること。(参考:参考文献2)
  • 建込みにおけるALCパネル相互の目違いが6㎜以内であること。(参考:参考文献3、参考:参考文献4)
工事手順の例

(既存のタイル張り付け材がセメントモルタルの場合)

1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
タイル張りのひび割れ、はがれ等がALCパネルの割付目地沿いであることを確認する。
タイル張りのひび割れ、はがれ等の状況を確認し、工事計画を立てる。
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、撤去時に発生する粉塵が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
3.ひび割れタイルの撤去
ひび割れ等が生じたタイルの張替え部と健全部の縁を切るため、ダイヤモンドカッター等を用いて張替え部の周辺を切断する。(参考:参考文献2)
張替え部のタイルおよびモルタルを撤去する。(※1)
4.伸縮調整目地の位置・長さの設定
タイルの撤去部に現れたALCパネル伸縮目地の延長線をタイルにライン引きする。
ひび割れ、はがれ等が関係するALCパネルの全長または伸縮目地の全長の端部が分かるように印を付ける。(※2)
5.浮きタイルの撤去
タイルにライン引きしたALCパネル伸縮目地の延長線に沿って、浮きが生じている範囲を打診用ハンマー等で確認する。
浮きがある部分は、工事手順3の方法でタイルおよびモルタルを撤去する。(※1)
6.伸縮調整目地切り
工事手順4でライン引きした範囲の健全部のタイルに、ダイヤモンドカッター等を用いて伸縮調整目地切りを行う。
工事手順3および5のタイル撤去範囲に再施工するタイル割付け(工事手順8の割付け)と健全タイル部の目地割りが合わない場合は、必要な範囲の健全なタイルも撤去する。

伸縮調整目地切り・タイル割付け(引用:参考文献2)

ALCパネルの伸縮目地シーリング材が損傷していないか確認する。損傷している場合は、必要な範囲のシーリングを撤去し、復旧する。
伸縮調整目地切り沿いの健全タイル部に、目地切り時の振動や衝撃により浮きが発生していないことを確認する。(参考:参考文献2)

6から
セメントモルタル張りの場合
7.セメントモルタル張りタイル下地の施工
気温が3℃以下、および施工後3℃以下になることが予想される場合は、施工を行わない。(参考:参考文献3)
次の下地の確認を行い、適合しない場合は適合するよう処理する。(参考:参考文献3)
  • ALCパネルの不陸がある場合は④による
  • ALCパネル表面が雨水等により著しく濡れていないこと
  • ALCパネル表面にほこり、異物、ALC粉等が付着していないこと
タイルの伸縮調整目地部に下記④および⑤の塗り付け面まで仮目地材(バックアップ材)を設ける。(参考:参考文献3)

不陸調整の施工例(引用:参考文献3一部加筆)

吸水調整材のみの塗布、または吸水調整材を塗布したのちJIS A 6916(建築用下地調整塗材)に規定するセメント系下地調整厚塗材2種(CM-2)(下地調整材ともいう)を塗り付ける。(参考:参考文献3)
不陸がある場合は、JIS A 6916(建築用下地調整塗材)に規定するセメント系下地調整厚塗材2種(CM-2)(不陸調整材ともいう)を塗り付ける。(参考:参考文献3)
8.タイルの張付け
タイルは、裏あしを有しその形状が「あり状」のものとする。(参考:参考文献3)
タイルの張付けは、JIS A 6916(建築用下地調整塗材)附属書A(タイル張付け用モルタルの試験方法)における「試験用タイル張付けモルタルの品質」に適合する既製調合ポリマーセメントモルタルを用いて、目地どおりよく張り付ける。(参考:参考文献3)
  • タイル張り工法は、表紙張りユニットタイル(50角や50二丁、50三丁、50四丁など)の場合、モザイクタイル張りとし、一枚張りのタイル(100×100mmや60×200㎜など)の場合は、密着張りとする。(引用:参考文献3)

モザイクタイル張り(引用:参考文献3)

密着張り(引用:参考文献3)

タイルの割付けは、タイルの張付け強度に支障が生じないタイル寸法となるようにする。
伸縮調整目地部に工事手順12のシーリング材を充填するための仮目地材を設ける。
9.タイル張りの養生
張付けモルタルの硬化養生を行う。
10.タイル目地詰め
タイル張り後24時間以上経過したのち目地詰めを行う。(参考:参考文献3)
目地モルタルを混練りし、塗り込んで仕上げる。
11.タイル目地詰め
目地モルタルの養生を行う。タイル表面に付着した余分なモルタルはぬぐい取り十分清掃する。
工事手順8で設けたタイル伸縮調整目地部の仮目地材を撤去する。
12へ

6から
外装壁タイル接着剤張りの場合
7.外装壁タイル接着剤張り下地の施工
気温が5℃以下、および施工後5℃以下になることが予想される場合は、施工を行わない。(参考:参考文献4)
次の下地の確認を行い、適合しない場合は適合するよう処理する。(参考:参考文献4)
  • ALCパネルの不陸がある場合は④による
  • ALCパネル表面が雨水等により著しく濡れていないこと
  • ALCパネル表面にほこり、異物、ALC粉等が付着していないこと
タイルの伸縮調整目地部に下記④および⑤の塗り付け面まで仮目地材(バックアップ材)を設ける。(参考:参考文献4)

不陸調整の施工例(引用:参考文献4一部加筆)
吸水調整材を塗布したのちJIS A 6916(建築用下地調整塗材)に規定するセメント系下地調整塗材2種(C-2)(下地調整材ともいう)を塗り付ける。(参考:参考文献4)
不陸がある場合は、JIS A 6916(建築用下地調整塗材)に規定するセメント系下地調整厚塗材2種(CM-2)(不陸調整材ともいう)を塗り付ける。(参考:参考文献4)
8.タイルの張付け
タイルの張付けは、JIS A 5557:2006(外装タイル張り用有機系接着剤)に適合する変成シリコーン樹脂系一液反応硬化形またはウレタン樹脂系一液反応硬化形を用いて、目地どおりよく張り付ける。(参考:参考文献4)(※3)
タイルの割付けは、タイルの張付け強度に支障が生じないタイル寸法となるようにする。
伸縮調整目地部に工事手順12のシーリング材を充填するための仮目地材を設ける。
9.タイル張りの養生
接着剤の硬化養生を行う。
10.タイル目地詰め(※4)
タイル張り後24時間以上経過したのち目地詰めを行う。(参考:参考文献4)
目地モルタルを混練りし、塗り込んで仕上げる。
11.タイル目地の養生・清掃
目地モルタルの養生を行う。タイル表面に付着した余分なモルタルはぬぐい取り十分清掃する。
工事手順8で設けたタイル伸縮調整目地部の仮目地材を撤去する。
12へ
12.伸縮調整目地の施工(※4)
シーリング材および被着体に適したプライマー処理を行い、変成シリコーン系(一成分形)、変成シリコーン系(二成分形)またはポリサルファイド系(二成分形)シーリング材を充填する。(引用:参考文献3、引用:参考文献4)
13.最終確認
工事全体の仕上がりを目視で確認するとともに打診よる確認を行う。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • この工法を採用する場合は、一般部について「ALCパネル下地タイル部分張替え工法(G-2-402)」を併用する。
(※1)張替え部のタイルおよびモルタルを撤去する際、ALCパネル下地面の破損が生じた場合は、S造G-2-704(充填工法(ALCパネル))により破損部の修復を行い、充填した修復材の養生期間を十分にとったのち、「5.工事手順の例」の「7.セメントモルタル張りタイル下地の施工」又は「7.外装壁タイル接着剤張り下地の施工」の作業を行う。
(※2)ALCパネルの伸縮目地にタイルがまたがって張られている場合においても、タイルのひび割れ、はがれは伸縮目地全長にわたらないことがある。このような場合でも、タイル張りの伸縮調整目地は、ひび割れ、はがれ部分のみではなく、ALCパネル全長または伸縮目地全長にわたって設けることが必要である。(引用:参考文献2)
(※3)有機系接着剤によるタイル張り工法に用いるタイルは、原則として接着剤張り専用タイルとする。(参考:参考文献5)
(※4)外装壁タイル接着剤張りの場合は、タイルに目地を詰める場合と、タイルに目地を詰めない場合があり、伸縮調整目地の納まりが異なる。また、接着剤を目地として露出させる場合には、耐候性に優れ変退色の少ない接着剤を選定する配慮が必要である。(参考:参考文献4)

(1)タイルに目地を詰める場合の伸縮調整目地部分の納まり

(2)タイルに目地を詰めない場合の伸縮調整目地部分の納まり

外装壁タイル接着剤張りの伸縮調整目地の納まり例(引用:参考文献4一部加筆)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築工事標準仕様書・同解説JASS19 陶磁器質タイル張り工事(2012)[p141] 一般社団法人 日本建築学会 一般社団法人 日本建築学会
2 ALC外壁補修工法指針(案)・同解説[p27解説、p53~57、p60] 日本建築仕上学会 日本建築仕上学会
3 ALCパネル現場タイル張り工法指針・同解説(第3版)[p25~27,32~34,36~39,40~41] 日本建築仕上学会 日本建築仕上学会
4 ALCパネル現場タイル接着剤張り工法指針(案)・同解説(第1版)[p71~74,78~80,82~84,p87~89] 日本建築仕上学会 日本建築仕上学会
5 公共建築工事標準仕様書 平成25年版(建築工事編)[p180(11.3.2)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
6 JIS A 6916:2014(建築用下地調整塗材)[附属書A タイル張付け用モルタルの試験方法] 一般社団法人 日本規格協会 一般社団法人 日本規格協会
7 JIS A 5557:2006(外装タイル張り用有機系接着剤)[4.種類] 一般社団法人 日本規格協会 一般社団法人 日本規格協会