補修方法編

補修方法シート

【鉄筋コンクリート造住宅】

界床に係る遮音不良
(軽量床衝撃音)
軽量床衝撃音に対する遮音性能のある
直張り床への交換
SO-2-302
RC造
工事概要

界床の軽量床衝撃音遮断性能の向上を目的として床仕上材を交換し、新しく張り直す。



家具の傾きへの対応

床の構成例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 界床に係る遮音不良 (椅子の移動音や物の落下音等の床衝撃音)(SO-2)
原因
  • 床仕上材の性能不足
適用条件
  • スラブ素面から床仕上げ面までの厚さが補修前の厚さと概ね変わらないこと。(※2)
  • 本補修に伴う不陸調整のためのモルタル等による荷重の増加が構造計算上支障とならない場合に適用が可能である。
工事手順の例
施工手順や詳細は、選定した製造所によるため、ここでは一般的な直張りフローリングの張り直しの例を示す。なお、製品の選定及び施工方法は各製造所の仕様による。
1.事前調査
当事者へのヒアリングを行うと共に、現場での騒音の発生状況の確認を行い、原因調査を行う。
原則として界床の軽量床衝撃音遮断性能の測定を行い、実態を把握する。
  • 測定方法は、JIS A 1418-1によるものとする。
2.目標性能を満たした製品の選定
事前調査で得られた結果に応じて、適用条件及び目標性能を満たす直張りフローリング材を選定する。(※1)
3.床下地材・仕上材の撤去
フローリング材、幅木、壁ボードの施工状態を確認し、以下の順序で撤去する。
  • 幅木
  • フローリング等の床仕上材
  • 床下地材(根太等)
4.下地の確認・施工
下地の段差、不陸の確認を行う。一定以上の不陸等がある場合は、下記の下地調整を行う。
  • モルタル等で平滑にする。
  • 接着不良を起こさないように、十分に乾燥させる。
5.床仕上材の施工
下地面を清掃する。
フローリング材の割付、墨打ちを行う。
際根太を突き付け部(玄関かまち、敷居等)に設置する。
接着剤を専用コテ等で塗布する。
フローリング材を張る。さね部に接着剤が入らないように注意する。ただし、張り始め、張り終わりのフローリング材のさねには接着剤を塗布し固定する。
製造所が指定する期間、養生する。
6.幅木の設置
幅木を取り付ける。
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
養生等を撤去の上、片付け、清掃を行う。
原則として補修後の界床の軽量床衝撃音遮断性能の測定を行い、発現性能の確認を行う。
備考
(※1)
  • 目標性能については、軽量床衝撃音レベル低減量(床仕上げ構造)とほぼ対応している床材の床衝撃音に対する低減性能の等級(ΔLL等級)が参考になる。なお、性能の計測は公的な試験機関等で行われたものであることが望ましい。
  • 製品の性能については、製造所のカタログ等の資料に軽量床衝撃音に対する遮音性能が表記されており、参考になる。
(※2)
  • スラブ素面から床仕上げ表面までの厚さが補修前の厚さと変わる場合には、評価方法基準の第5の9「高齢者等への配慮に関すること」の「9−1高齢者等配慮対策等級」や段差、建具の開閉等の対応を検討する必要がある。
  • 本補修方法のほかに、仕上材をカーペット等に変更することも有効である。また、仕上材を変更することが困難な場合に、緩衝効果が期待できる材料(ラグマット等)を敷き込むことで一定の効果が期待できる。以下にフローリング仕上げの場合とその上にラグマットを敷き込んだ場合の測定結果の例を示す。

    軽量床衝撃音遮断性能におけるラグマット上敷きの効果(引用:参考文献2)
  • 遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
    したがって、遮音補修によってある一定の遮音性能を確保すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献1)

施工上の注意点
  • 界床の遮音性能を確保するためには、床の振動が壁等を伝って下階に伝搬しないよう、床材と壁等が取り合う箇所はすき間を開けて施工する。
    • 床材周囲の壁際、サッシ下枠等との間にすき間を開ける。
    • 敷居や上がりかまち等の突き付け部には、すき間を開ける。当該すき間が居住者の使い勝手上不都合があると想定される場合は、すき間部にシーリング材を充填することは可である。ただし、シーリング材の定期的なメンテナンスや、取合う木部材の収縮やあばれに対する補修が必要になるので注意が必要である。
    • フローリング材の短辺部の接合部には飼いもの等を用いてすき間を開ける。
  • 壁際に家具を配置する場合の傾きへの対応を行う場合は、壁際に際根太を設置する。また、たわみ防止として壁際のフローリング材の両側に根太を設置する等の対応を検討する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社
2 日本建築学会大会学術講演梗概集(九州)2016年8月[40112 集合住宅における床衝撃音トラブル解決のための実験的検討 その1.床仕上げの効果 p251、252 図5] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会