補修方法編

補修方法シート

【鉄筋コンクリート造住宅】

騒音排水管からの音・振動の伝搬を防止する措置 V-3-302
RC造
工事概要

排水立管及び排水立管の最下部横主管に生じる振動の躯体への伝搬を防ぐことを目的として絶縁処理を行う。また、排水管から放射される音を低減させることを目的として配管にグラスウール及び遮音シート等の被覆材を施す。


平面図

断面図

排水管の補修例(chord作成)
防振対策を施している部分を赤色で示す。
対応する不具合と原因 不具合
  • 設備からの騒音、振動(排水管からの振動及び騒音)(V−3)
原因
  • 配管の支持・固定方法の不良(排水立管の最下部曲がり管に排水が衝突することで排水立管が振動し、固体伝搬音が発生(参考:参考文献1))
  • 床を貫通する配管の防振対策の不良(排水立管が貫通スラブの充填モルタル部に接触している事で、排水管振動が固体伝搬音として発生)
  • 配管の遮音対策不良(排水管から放射される空気伝搬音の発生)
適用条件
  • 取付け作業に必要なスペース・足場等が確保できること。
  • パイプスペースが住戸内に設置されている場合は、当該住戸及び上下階住戸の居住者の了解が得られること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者へのヒアリングを行うと共に、現場での振動及び騒音の発生状況を確認し、原因調査を行う。
原則として対象住戸の騒音測定等を行い、実態を把握する。
2.騒音の発生を防止できる工法及び製品の選定
事前調査で得られた結果に応じて、適用条件を満たし、騒音の発生を防止できる防振方法、防振材及び吸音材等を選定する。
  • 各工程における施工方法は各製造所の仕様による。
3.パイプスペース仕上材及び立管貫通部モルタルの撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
天井材、壁ボードの施工状態を確認し、解体する。
立管の床スラブ貫通部の充填モルタルを、排水管の破損に注意し除去する。
4.排水立管の固定金具交換・防振ゴム設置
排水立管の既存固定金具を取り外し、防振ゴムを床バンドの下部に挟み込み取り付け、排水立管に固定する。
5.立管貫通部へのロックウール充填
立管の床スラブ貫通部にはロックウールを充填する。
必要に応じて躯体とロックウール取り合い部分に耐火パテを施工する。
6.排水横主管の固定金具交換・防振金具設置
排水横主管の既存固定金具を取り外し、防振吊り金具(防振ゴム付き)へ交換する。
7. 排水立管への吸音材及び遮音シートの設置
排水立管にグラスウールを設置する。
グラスウールの上に高比重の塩化ビニル樹脂製遮音シートを巻き込む。アルミテープ等で仮留し、鉄線または亀甲金網を巻いて表面を保護する。
8.壁・天井ボード材の施工
軽量鉄骨下地材等の壁下地材を設置する。
壁ボードを二重張り施工する。
天井ボードを設置する。
9.幅木の設置、壁・天井仕上材の施工
幅木を取り付ける。
ビニルクロス等の仕上材を施工する。
10.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場、養生等を撤去のうえ、片付け、清掃を行う。
原則として補修後の対象住戸の騒音測定を行い、補修措置の性能向上効果の確認を行う。
備考
  • 遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
    したがって、遮音補修によってある一定の遮音性能を確保すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献2)
  • 中間階部分においても主にスラブ貫通部分で遮音性能上問題になる場合がある。
  • 防振材の物性や設置箇所数については、防振系の固有振動数等を計算の上、適正な値になるよう決定する必要があり、必要に応じて専門家に確認を行う。

施工上の注意点
  • パイプスペース壁の二重張りの際、ボード材の継ぎ目から排水音が漏れないように、ボードの継ぎ目は前後で一致させないように注意する。
  • ボード同士の取り合い部及び既存鉄筋コンクリート躯体との取合い部分は確実にすき間をなくす措置を施す。
  • 配管が躯体を貫通する部分にモルタルが充填されている場合は、モルタルを除去し、ロックウール等の緩衝材を挿入することが必要である。
  • 横引管がスラブと干渉しないように、適正なすき間を確保することなどが必要である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 音響技術No.104[p51,52 D.固体音・振動対策編(13)(14)]/No.121[p40-42 高層集合住宅における設備機器の騒音防止 3.トイレ排水管流水騒音の低減対策例] /No.136[p29,30 C.固体音 Q33] (一社)日本音響材料協会 (一社)日本音響材料協会
2 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社
3 集合住宅の遮音性能・遮音設計の考え方[p148,149 8.3] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
4 集合住宅の騒音防止設計入門[p110-114 ,p123] NPO法人建築音響共同研究機構 (株)学芸出版社
5 建築技術2016年2月号[p132-135,p142,143] (株)建築技術 (株)建築技術