補修方法編

補修方法シート

【木造住宅(在来軸組工法)】

床の傾斜梁と柱の仕口部分を受け金物により補強F-1-108
木軸
工事概要

端部仕口でずれ下がった横架材をジャッキアップして、下がりを補正した上で、接合金物で受け、支持する。


不具合概要図
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
  • 勾配屋根の変形(はがれ・ずれ・浮き)(R-1)
  • 床振動(V-1)
  • 水平振動(V-2)
原因
  • 床組構成部材の架構・接合方法の不良
  • 軸組の架構・接合方法の不良
  • 小屋組材の架構・接合方法の不良
適用条件
  • 添え柱による補強ができない場合にも適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、仕口部分が負担する荷重に対して梁受け金物が構造耐力上安全であることを確認する。
2.足場の設置
補修する梁の直下の周囲に足場を設置する。
  • 足場で床仕上げを傷つけないよう、シート、コンパネ等による保護、養生を行う。
3.仕上材等の撤去 以下の部位を取り外し、ずれ下がった梁を露出させる。
ずれ下がった梁の下部周辺の天井の仕上げ、下地材等
ずれ下がった梁の上下階でこの梁に接する建具および建具枠
ずれ下がった梁の影響でゆがみが生じた内外壁の仕上材、下地材等
ずれ下がった梁の接合部の周辺の上階床の仕上材、下地材、根太等
4.パイプサポートの設置
梁と床仕上面の間に、パイプサポートを設置する。
  • 荷重チェックを行なった上で、H形鋼等を利用して1階床組に力が伝わるような適切な支持をし、パイプサポートを設置する。
5.パイプサポートによるジャッキアップ
パイプサポートのナットハンドを回してパイプサポートを伸長し、建物構造体および仕上面のゆがみが生じないよう5㎜程度ずつ、上階の床が水平になるまでジャッキアップする。
上階の床で水準器を用いて、梁または床が水平になり、変形が補正されたことを確認する。
6.梁仕口の補強
梁受け金物を梁下方向から押し上げるように密着させてセットし、柱の両側の桁等にラグスクリューと六角ボルトを併用して固定する。
羽子板ボルトで梁を柱・桁に引き寄せて固定する。
梁受け金物の側面からラグスクリューをもみ入れ、梁と梁受け金物を一体化する。

通常の梁受け金物

  • 箱形の梁受け金物の例
    梁受け金物を柱の両側の桁に固定できない場合や、桁に無理な力が加わる恐れがある場合には、箱型の梁受け金物を使用することも考えられる。
7.パイプサポートの撤去
徐々にパイプサポートを短縮し、再度梁のたわみや変形が生じていないことおよび上階の床が水平であること等を確認した上で、パイプサポートを取り外す。
8.下地材・仕上材の補修
撤去した上階の内壁および床の下地材、建具枠、仕上材を張り替える。
撤去した下階の天井および壁の下地材、建具枠、仕上材を張り替える。
撤去した建具を取り付ける。既設の建具にゆがみ等がある場合は調整し、調整の限界を超えるものについては交換して取り付ける。
  • 足場は適宜撤去する。
9.最終確認
水準器を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
足場等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考 施工上の注意点
  • 設備配管(電気・給排水・ガス)が影響を受ける可能性がある場合は継手部分の確認を行う。
  • 振動に関する不具合に当該補修方法を適用する場合、「5.工事手順の例」におけるジャッキアップ工程は必要ない。
  • 梁と柱が構造上主要な部分となる場合には、その接合部が建基法告示平12建告第1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」に適合していること。
  • 建設住宅性能評価書を交付された住宅で該当する等級が2以上のものでは、補強された接合部は、原則として品確法告示平13第1347号第5の1「構造の安定に関すること」の基準を満たすこと。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所