調査方法編

内装仕上材の汚損

1.内装仕上材の汚損とは

内装仕上材の汚損とは、床・内壁・天井などの仕上材に汚れ(しみ、カビ、錆等)が付着した状態をいう。

2.発生原因

内装仕上材の汚損は、漏水・結露により発生する場合と漏水・結露によらないで発生する場合に分けられる。
ここでは、漏水・結露によらないで発生する内装仕上材の汚損を示す。
<漏水・結露の発生原因については、「水による不具合」「結露」をそれぞれ参照のこと。>
(1)
適切な設計・施工でも発生する軽微な汚損
適切な設計・施工が行われても、室内の空気の流れ(壁体内の部分通気、換気扇等)や静電気等により、軽微な内装仕上材の汚損は発生することがある。換気扇等の回りが汚れたり、ボード張りの場合に下地の胴縁、野縁等に沿って汚れたりする場合がある。また、ビニル系床材の場合は、ゴム、染料等着色剤、粘着テープ、防腐・防蟻剤、カビ及び接着剤などにより表面又は下地から汚染される場合がある。
(2)
不適切な内装仕上の設計
内装仕上の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、内装仕上材の汚損につながることがある。
内装仕上材、接着剤・留付け材の選択
(3)
不適切な内装仕上材の施工等
内装仕上材の施工段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、内装仕上材の汚損につながることがある。
(材料)
内装仕上材、接着剤・留付け材の選択
内装仕上材、接着剤・留付け材の品質
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
汚損の程度の確認

調査の視点

  • 汚損の発生している箇所・状況(臭い、湿気等)等を確認し、内装仕上材の汚損が漏水・結露によるものか、漏水・結露によらないものかを特定する。

調査方法

1.目視等による確認

(1)調査方法

  • 内装仕上材の汚損の発生箇所を目視、指触等により確認する。
  • 汚損の状況(色、臭い、湿気、カビ等)を確認する。
  • 必要に応じ、汚損している仕上材の一部をはがして、下地材の状況を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 汚損箇所の周辺にカビがはえていたり、カビ特有の臭いがある場合、湿気がある場合等は、漏水又は結露が原因の可能性が高い。
  • 汚損箇所の周辺に排水特有の臭いがある場合は、設備配管等からの漏水が原因である可能性が高い。
  • 内壁・天井に錆が一定の間隔で発生している場合は、下地材の留付け釘等の錆が原因である可能性が高い。
  • 内壁・天井の壁紙が変色(黄変)している場合は、接着剤、油煙、タバコの煙などが原因である可能性が高い。
  • 椅子や脚立等が置かれているビニル系床材の床が変色している場合は、それらの脚にはめたゴムなどが原因である可能性が高い。
  • 台所等で、汚損の状況が油特有の粘着性のある場合等は、調理による油の飛散が原因である可能性が高い。
  • 換気扇等の吸気口回り等の汚損は、空気の流れにより空気中のほこりが吸着したことが原因である可能性が高い。
  • テレビや扇風機等の電気製品の回りの汚損は、静電気により空気中のほこりが付着したことが原因である可能性が高い。
  • 電気のコンセント、スイッチ等の回りの汚損は、手あか等の付着が原因である可能性が高い。

使用する検査機器

  • 特になし
内装仕上の設計内容の確認

調査の視点

  • 設計段階において、内装仕上材、接着剤・留付け材の仕様等が適切に選択されているかを確認する。

調査方法

1.内装仕上材の仕様の確認

確認のポイント
内装仕上材、接着剤・留付け材の選択

(1)調査方法

  • 当該住宅の設計図書(設計図、仕様書等)を対象として、適切であるかを確認する。なお適切であるかの検討にあたっては、建設住宅性能評価関連図書により、また、住宅金融公庫監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、その他の仕様書、基準等が参考となる。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を示す。
    内装仕上材、接着剤・留付け材の選択
    • 内装仕上材及び接着剤の種類、規格(JIS規格等)等

(2)注意事項等

  • 特になし
参考1
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」 p150(16)((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考2
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)

調査結果の考え方

  • 壁紙張りにおいて接着剤の選択が適切でない場合は、接着剤が変色(黄変)し、汚損が発生している可能性が高い。
  • 壁紙張りにおいて仕上材(壁紙)の仕様(防カビ仕様、汚れ防止仕様等)の選択が適切でない場合は、材料の選択不良により汚損が発生している可能性が高い。

使用する検査機器

  • 特になし
内装仕上材の施工状況等の確認

調査の視点

  • 施工段階において、内装仕上材、接着剤・留付け材の仕様等が設計どおりに適切に選択されているか、施工が適切に行われているかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
内装仕上材、接着剤・留付け材の選択
内装仕上材、接着剤・留付け材の品質

(1)調査方法

  • 施工記録(工事状況報告書、材料購入伝票等)及び建設住宅性能評価関連図書により、把握できる範囲において内装仕上材に係る工事が、設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、住宅金融公庫監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」「建築工事監理指針(下巻)」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を示す。
    内装仕上材、接着剤・留付け材の選択
    • 種類・規格(JIS規格等)、メーカー等
    内装仕上材、接着剤・留付け材の品質
    • 釘等の種類、材料等

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視等による施工状況の確認

(1)調査方法

  • 不適切な施工が行われていないかを現場において目視等により確認する。
  • 必要に応じ、内装仕上材の一部をはがし、下地材の留付け状況を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考3
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」p150(16)((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考4
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考5
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(下巻)」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)

調査結果の考え方

  • 「①内装仕上材・接着剤・留付け材の選択」について、設計で指定された種類、規格(又は同等の性能を有するもの)の材料を選択していない場合は、材料の選択不良により、汚損が発生している可能性がある。
  • 「②内装仕上材、接着剤・留付け材の品質」について、規格どおりでない不適切な釘等(鉄釘など)を使用している場合は、鉄釘の錆が仕上げ面に現れることがあることから、材料の品質不良により汚損が発生している可能性が高い。

使用する検査機器

  • 特になし
使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。