調査方法編

設備からの漏水

1.住宅内の設備からの漏水

住宅内の設備で漏水の可能性のある設備には、給水設備・給湯設備・排水設備・厨房設備・サニタリー設備など給排水衛生設備、冷温水式冷暖房設備等がある。漏水の主なものは、これらの設備で使用される給水・給湯・排水・冷温水等であるが、その他に、給湯器等の膨張水・凝縮水、設備機器・器具及び配管・ダクト等からの結露水あるいはこれらドレン水が原因となり漏水を起こすこともある。
漏水の発生する部位としては、各設備の機器・器具、配管・ダクト、及びこれらの接続部である。なお、本資料集では、給排水衛生設備を主に取り上げるが、設備機器や衛生器具などの製品そのものからの漏水は対象外とし、配管部及びそれらとの接続部・周辺部までを対象とする。

2.設備からの漏水の種類と発生しやすい部位

(1)
配管類からの漏水
漏水の部位
給水、給湯、排水設備の配管とも、配管の継手部・接合部が多く、直管部からの漏水もある。漏水の部位が、床下や天井裏あるいは壁内等隠ぺい部にある場合は発見が遅れやすく、また、床下等に水たまり等が生じている場合は、木材の腐朽、結露、カビ等衛生上の問題等も発生しやすい。
a.
配管の継手部及び接合部からの漏水
  • 継手部及び接合部の割れ、腐食等による。
  • 接合部のゆるみ、劣化及びその他接合不良による。
b.
配管の直管部からの漏水
  • 割れ、腐食(孔食・かい食等による穴あき)等による。
  • 屋外の場合は、凍結により割れが生じることもある。
配管材料の種類
a.
給水配管材料の種類
  • 住宅の給水配管には、一般的に以下の管種が用いられる。
管 種
専有部分
共用部分
○水道用硬質ポリ塩化ビニル管(VP)
○水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)
○水道用架橋ポリエチレン管(PEX)
○水道用ポリブテン管(PB)
○水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-V)
○水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管(SGP-P)
○水道用ステンレス鋼管(SSP-SUS)
○一般配管用ステンレス鋼管(SUS)
○水道用銅管(多種あり)
○銅及び銅合金継目無管(CUP) ※1
※1
給水配管としての銅管類の使用は少ない。

この内、水道用架橋ポリエチレン管(PEX)、水道用ポリブテン管(PB)は戸建住宅や共同住宅の住戸内の専有部分の給水配管・給湯配管に使用される。(b.給湯配管材の種類の項を参照)一般配管用ステンレス鋼管(SUS)、銅及び銅合金継目無管(CUP)は受水槽以降の二次側の給水配管に限定される。

  • 住宅に用いられる主な給水配管材料の変遷を下図(引用1)に示す。

b.
給湯配管材料の種類
  • 住宅の給湯配管には、一般的に以下の管種が用いられる。
管 種
専有部分 共用部分
○耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HTVP)
○水道用架橋ポリエチレン管(PEX)
○水道用ポリブテン管(PB)
○水道用耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-HVA)
○水道用ステンレス鋼管(SSP-SUS)
○一般配管用ステンレス鋼管(SUS)
○水道用銅管(多種あり)
○銅及び銅合金継目無管(CUP)
  • 最近、共同住宅の給水・給湯配管の新しい配管方式として、さや管ヘッダー方式(※2)が用いられることが多くなってきている。さや管ヘッダー方式とは、ヘッダー部と水栓等の端末設備機器の間を、さや管の中を通した継手のないフレキシブルな樹脂配管材料(水道用架橋ポリエチレン管(PEX)、水道用ポリブテン管(PB)等)で、各々直接に接続したもので、従来の先分岐方式に比べ、単独に細い管を使用するため湯待ち時間が短く、継手が少ないため漏水の恐れが低い。また、さや管を使用していることから配管の補修・更新が容易でメンテナンスがしやすい特徴がある。
    (※2)さや管を使用しないヘッダー方式の配管も用いられている。
  • 住宅に用いられる主な給湯配管材料の変遷を下図(引用2)に示す。
引用1
  • 「設備配管・診断実技体験セミナーテキスト」(日本建築設備診断機構)

c.
排水配管材料の種類
  • 住宅の排水配管には、一般的に以下の管種が用いられる。
管 種
専有部分 共用部分
○硬質ポリ塩化ビニル管(VP)
○耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HTVP) (※3)
○排水・通気用耐火二層管
○排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(D-VA)
○排水用タールエポキシ塗装鋼管(SGP-TA)
○排水用鋳鉄管(CIP)
  • 住宅の排水管は、使用場所により以下の排水管が一般的である。戸建住宅の場合は、コスト及び施工容易性により硬質ポリ塩化ビニル管(VP)が採用されることが多い。
    低層共同住宅では共用部専有部共、戸建住宅同様に硬質ポリ塩化ビニル管の使用が多いが、中高層共同住宅の共用部は耐火性等の問題から排水用鋳鉄管(CIP)、排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(D-VA)、排水・通気用耐火二層管等が使用される。
    (※3)
    耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HTVP)は、食器洗い乾燥機等の温排水用の排水配管に使用される。

  • 住宅に用いられる主な排水配管材料の変遷を下図(引用3)に示す。
引用2
  • 「設備配管・診断実技体験セミナーテキスト」(日本建築設備診断機構)

(2)
器具及び器具周り等からの漏水
漏水の部位
機器・器具類や容器類本体の割れ・破損等による漏水もあるが、漏水の多くは、これらと配管等との接続部で発生しやすい。配管の漏水と同様に隠ぺい部での漏水は発見が遅れ、被害を大きくする場合もある。
a.
機器・器具類や容器類からの漏水
  • 外力や劣化等による本体の破損(割れ等)による。
  • 排水不良等によるあふれ等による。
  • 故障等による噴出し水・飛散水等による。
b.
機器・器具類や容器類と配管との接合部からの漏水
  • 接合部の割れ、腐食等による。
  • 器具使用時の振動等によるゆるみ・外れ、劣化及びその他接合不良による。
機器・器具類や容器類の種類
漏水につながる恐れのある主な機器・器具類や容器類は、次のものがある。
  • 各種水栓類
  • 給湯機、貯湯槽、水-水熱交換器、ポンプ等
  • 流し台、食器洗い乾燥機、浄水器等
  • 自動洗濯機、洗濯防水パン
  • 洗面器
  • 大(小)便器、便器ロー(ハイ)タンク、温水洗浄便座等
  • 浴槽、洗い場、浴室ユニット、風呂釜等
(3)
ドレンによる漏水
ドレン等には、エアコン室内機からのドレン、電気温水器からの膨張水、ヒートポンプ給湯室外機からの凝縮水、潜熱利用ガス給湯機からのドレン等があり、これらのドレンが適正に排出されない場合やドレン配管(ホース)の破損・外れ等が原因で漏水を起こすことがある。
引用3
  • 「設備配管・診断実技体験セミナーテキスト」(日本建築設備診断機構)