調査方法編

給湯設備からの漏水(給湯配管)

1.住宅内給湯配管の漏水

住宅内の給湯配管の漏水は給水配管の漏水に類似しているが、給水配管の場合よりもより注意を必要とすることは、熱伸縮によるトラブル(変形、破損等による漏水等)が発生し易いこと、金属管(ステンレス鋼管、銅管等)使用の場合は腐食によるトラブル(こう食・かい食等による漏水等)が多くなること等である。
最近では樹脂管の使用例が多く配管からの漏水は少なくなってきている。

2.発生原因

(1)
不適切な給湯配管等の設計
給湯配管等の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、漏水につながることがある。
管材・継手の種類、規格の選定
配管ルート及び点検口の設定
管材・継手の腐食対策
熱伸縮対策
断熱保温仕様
給湯温度・圧力・流速の設定
  • 腐食、熱伸縮、ウォータハンマ等への配慮
(2)
不適切な給湯配管等の施工
給湯配管等の施工段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、漏水につながることがある。
使用した管材・継手の種類、規格の選定
使用した管材・継手の品質
施工した配管ルート及び点検口
管材・継手の防食施工
熱伸縮処理施工
断熱保温施工
配管の接続及び支持固定
ウォータハンマ防止対策(使用した機器・器具の仕様・性能)
くぎの打ち抜き
(3)
不適切な使用・メンテナンス
居住者の使用・メンテナンスに、以下のような不適切な点がある場合には、漏水につながることがある。
水栓操作部の過剰な締付け
水栓の止水部分のパッキン等の劣化状態での継続的使用
高温水での継続的使用
過大な使用圧力・流速での使用
(4)
間違いやすい類似の不具合
給湯配管からの漏水と間違い易い類似の不具合には、以下のようなものがある。
配管類や機器・器具類の外表面からの結露水の流出により、壁・床面などが濡れたり異常な湿気が発生したりすることがあり、微少な漏水の場合と類似の状況を呈することがある。
水槽類や水受容器からの溢水、外部からの雨水などの浸入・吹込みなども考えられる。
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
漏水の発生状況の確認

調査の視点

  • 雨水による漏水や結露ではなく、設備配管等からの漏水であると想定される場合に、各配管等の特徴により原因を絞っていく調査を行う。
  • 設備配管等からの漏水の場合は、配管の通水時の漏水の状況を確認することにより、大まかに原因を推定することが可能である。

調査方法

1.漏水発生箇所の確認

(1)調査方法

  • 漏水(又は漏水によるしみ、はがれ等)が住戸内部のどの部分に発生しているかを目視にて確認する。漏水発生箇所周辺に設備配管、設備機器等が設置されているかをあわせて確認する。

(2)注意事項等

  • 共同住宅の場合は、漏水住戸以外にも、上階住戸や同一階の隣接住戸の設備配管等からの漏水も考えられる。
  • 管理者や居住者へのヒアリングにより事前確認をし、配管状態(管材・継手の種類、配管ルート等)、漏水履歴(漏水時期、期間、頻度等)を把握しておくことも重要である。新築直後か、経過年数が長いか、又は漏水発生時期の直前に機器・器具・配管等の補修や取替え、及び内装等の改修工事を行ったか等を調査しておく。

2.漏水の性状の確認

(1)調査方法

  • どの設備配管等からの漏水であるかを推定するために、漏れている水の残留塩素、臭い、色、温度、混入物の有無等を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

3.配管の通水時の漏水状況の確認

(1)調査方法

  • 漏水発生箇所周辺に給湯配管がある場合は、その配管端末の給湯栓を開き、水の出方を見ることにより水圧に異常がないかを確認する。
  • 給湯の元バルブを閉め、漏水が止まるかどうかを確認する。
  • 次に給湯の元バルブを開き再通水し、漏水の有無を確認する。通水時に漏水箇所周辺の漏水の程度(音、量等)を確認する。
  • なお、給湯系統に試験用ポンプ等で加圧し、末端に接続した圧力計の指針を確認することにより、漏水を調査する方法もある。
    (専門家による調査を依頼する必要がある。)

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 漏水の性状が無色無臭の場合や水温が高い場合は給湯配管等からの漏水の可能性がある。残留塩素が検出された場合は給水配管、臭い、色、混入物などが認められる場合は排水配管等からの漏水の可能性が大きい。
    • 無色無臭・・・
    給水配管、給湯配管
    冷暖房機器等の冷温水配管、ドレン配管
    設備機器の結露水
    • 残留塩素・・・
    給水配管
    残留塩素は、水道水の消毒に使われる物質で大気に放散されやすいため水道水からの漏水であっても検出されるとは限らない。
    • 有臭  ・・・
    排水配管(特に台所と便所)
    • 有色  ・・・
    排水配管(台所の洗剤・泡、便器の有色洗浄剤、浴室の洗剤・入浴剤等)
    • 混入物 ・・・
    排水配管(台所の生ゴミ片・錆・油分、便所の汚物片、浴室の水あか・髪の毛等)
  • 給湯配管の通水時の漏水状況において、給湯の元バルブ、又は端末水栓の開閉に伴い漏水の程度が変化する場合は、給湯配管に原因がある可能性が大きい。漏水の程度が変わらない場合は、他の配管に原因がある可能性がある。

使用する検査機器

  • スケール
  • リトマス試験紙
  • 懐中電灯

<診断(調査)の専門性>

①給排水衛生設備に関する専門技術者
給湯設備の設計内容の確認

調査の視点

  • 給湯設備配管等の設計が適切に行われているかを確認する。

調査方法

1.給湯設備配管等の設計内容の確認

(1)調査方法

  • 設計図書(設計図、仕様書等)を用いて、給湯設備配管等の設計が適切に行われているかを確認する。
以下に確認する主な項目を示す。
管材・継手の種類、規格の選定
  • 用途や使用条件に適合した管材・継手の種類や規格(※1)が選択されているか。
  • 管材の種類に応じた継手や接合方法が選択されているか。
  • 水栓、バルブ類が適切に選択されているか。
    ※1
    同種の管材・継手でも用途により規格が異なるものがあるので注意する。
配管ルート及び点検口の設定
  • 曲がり箇所が多い複雑な配管ルートとなっていないか。
  • 他の設備配管との交差箇所が適切に配管されているか。
  • メンテナンスに必要な点検口が適切に指定されているか。
管材・継手の腐食対策
  • 管材・継手やバルブ類は防食を考慮した製品・仕様となっているか。
  • 異種金属による接続部は防食を考慮した製品・仕様となっているか。
熱伸縮対策
  • 熱伸縮を配慮した配管工法(熱伸縮吸収継手の使用等)支持方 法等が指定されているか。
断熱保温仕様
  • 適切な断熱保温仕様が指定されているか。(特に寒冷地の場合)
給湯温度・圧力・流速の設定
  • 給湯温度や、圧力、管内流速の設定は適切か。

(2)注意事項等

  • 必要に応じて設備設計者へのヒアリングを行う。
  • 配管施工は、配管施工図(実施図)に基づき行う場合が多く、設備設計図書と実際の現場の配管位置が違う場合やリフォームによって配管が変更されている場合があるため注意が必要である。

調査結果の考え方

  • 調査時に確認した以下の項目について、設計が適切に行われていない場合は、給湯設備配管等の設計内容が原因で漏水につながっている可能性がある。
    管材・継手の種類、規格の選定
    配管ルート及び点検口の設定
    • 給水配管等他系統の配管との交差が生じる場合や給湯配管を迂回させる場合、交差部での他系統配管との接触や熱伸縮処理の不備により、配管・継手の局部に集中応力や金属疲労(金属管の場合)による亀裂等を生じさせることがある。配管ルートの設定方法によりこれらの問題を解消できることもある。
    管材・継手の腐食対策
    • 管材だけでなく継手や弁類が防食仕様になっていない場合や、異種金属接合部の防食処理が不充分な場合等は、腐食が進行し穿孔が生じやすくなる。
    熱伸縮対策
    断熱保温仕様
    給湯温度・圧力・流速の設定
    • 給湯圧力や流速が過大な場合はウォータハンマが生じやすくなり、振動等により配管に損傷が起きやすい。

使用する検査機器

  • 特になし

<診断(調査)の専門性>

①給排水衛生設備に関する専門技術者
給湯設備の施工状況等の確認

調査の視点

  • 給湯設備配管等の施工が適切に行われているかを確認する。
  • また、施工において設備工事以外の他の工事の影響を受けていないかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
使用した管材・継手の種類、規格
使用した管材・継手の品質

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、施工状況報告書、工事写真等)により、把握できる範囲において、給湯設備配管等の工事が設計どおりに適切に行われているかを上記<確認のポイント>に沿って確認する。
  • 特に給湯配管材の仕様が設計どおりとなっているかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視等による施工状況の確認

確認のポイント
施工した配管ルート及び点検口
管材・継手の防食施工
熱伸縮処理施工
断熱保温施工
配管の接続及び支持・固定
ウォータハンマ防止対策(使用した機器・器具の仕様・性能)
くぎの打ち抜き

(1)調査方法

  • 書類により確認した内容と実際の施工状況が一致しているか、不適切な施工が行われていないかを目視等により確認する。
  • 不適切な箇所が発見された場合には写真等で記録する。確認した結果を設計図書等と照らし合わせて確認する。
  • 水栓接続部等の確認は、点検口より行う。必要に応じ、内装仕上材等の一部をはがし、給湯配管等の施工状況を確認する。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を示す。
    施工した配管ルート及び点検口
    • 設計どおりの配管ルートとなっているか。また、施工時に配管ルートの変更がなかったか。
    • 点検口は適切な仕様で適切な場所に設置されているか。
    断熱保温施工
    • 断熱保温が適切に行われているか。
    配管の接続及び支持・固定
    • 配管の固定方法、接続方法が適切か。(配管がぐらついていたりたわんでいないか。また、配管の接続部にゆるみや施工不良がないか。)
    • 配管に亀裂、傷、腐食等がないか。
    ウォータハンマ防止対策
    • 給湯圧力・流速は適切か。
    • 使用している機器・器具の仕様・性能は適切か。
    くぎの打ち抜き
    • くぎが配管を打ち抜いていないか。

(2)注意事項等

  • 給湯配管の熱伸縮による支持部の損傷、継手の損傷等がないかを注意する。

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、施工が設計どおりに行われていない場合、又は不適切な施工が行われている場合は、給湯設備配管の施工等が原因で漏水につながっている可能性がある。
    使用した管材・継手の種類、規格
    使用した管材・継手の品質
    施工した配管ルート及び点検口
    管材・継手の防食施工
    熱伸縮処理施工
    断熱保温施工
    配管の接続及び支持・固定
    ウォータハンマ防止対策(使用した機器・器具の仕様・性能)
    くぎの打ち抜き

    配管の接続及び支持・固定
    • 銅管の継手のろう付けが適切に行われていない場合は、継手部の施工不良が原因で漏水につながることがある。
    • 給湯配管の曲がり部等で強固に固定している場合は、伸縮応力が曲がり部に集中し亀裂が生じ漏水につながることがある。
    • 水栓等に締め付け不良がある場合は、その部分より漏水することがある。
    ウォータハンマ防止対策
    • 給湯圧力が高い場合はウォータハンマが生じやすくなり、振動等により配管に損傷が生じ、漏水につながることがある。
    くぎの打ち抜き
    • 床ふところや壁内の配管を内装工事のくぎが打ち抜いている場合等、施工時に他の工事の影響を受け給湯配管が損傷し、漏水につながることがある。

使用する検査機器

  • スケール
  • 懐中電灯

<診断(調査)の専門性>

①給排水衛生設備に関する専門技術者
②給排水衛生配管施工に関する専門技能者
給湯設備の使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」によるほか、以下の確認を行う。

調査の視点

  • 給湯設備の使用・メンテナンスが適切に行われているかを確認する。

調査方法

1.使用状況等の確認

(1)調査方法

  • 事前確認等を参考にして、給湯設備の使用・メンテナンスが適切に行われているかを居住者へのヒアリングや目視等により確認する。
    水栓操作部の過剰な締付けを行っていないか。
    水栓の止水部分のパッキン等の劣化がないか。
    高い給湯温度での継続的使用を行っていないか。
    使用圧力・流速が適切か。

(2)注意事項等

  • 給湯システムの変更や給湯器の取替えはなかったか。変更や取替えがあった場合は、その前後の変化(給湯温度・圧力等)は認められないか等も確認する。

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項に該当する場合は、使用・メンテナンスの不良が原因で漏水につながっている可能性がある。
    水栓操作部の過剰な締付け
    水栓の止水部分のパッキン等の劣化状態での継続的使用
    高温水の継続的使用
    過大な使用圧力・流速

    水栓の止水部分のパッキン等の劣化状態での継続的使用
    • パッキン等にごみ等が付着したり、変形したりすると水が止まらなくなり、劣化した状態のままで継続して使用した場合漏水につながることがある。
    高温水の継続的使用
    • 居住者が高温水の給湯を継続的にしている場合は、配管の伸縮が繰り返され、管の穿孔が生じ漏水につながることがある。
    過大な使用圧力・流速
    • 使用圧力が過大になっている場合は、ウォータハンマが原因で配管の損傷につながっている可能性がある。
    • ウォータハンマ防止機構付の混合水栓やウォータハンマ防止器を使用している場合も、適正な仕様・性能でない場合や性能低下を生じる場合があることにも留意する。

使用する検査機器

  • スケール
  • 懐中電灯

<診断(調査)の専門性>

①給排水衛生設備に関する専門技術者
②給排水衛生配管施工に関する専門技能者
外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。