調査方法編

室内空気の汚染(シックハウス)

1.室内空気の汚染とは

住宅に使用されている建材等から発散される化学物質等による健康への影響が問題として指摘されている。 当財団の相談窓口に対する問合せや相談は、建築基準法の改正でシックハウス対策が施行された2003年に546件と最も多く、その後減少し、2010年以降は100件程度で推移している。(参考1)
化学物質と健康影響との因果関係に未解明の部分が多くあるなど、課題も多いものとなっている。このため、関連する諸研究の進展が期待されるほか、消費者の不審や懸念に対する的確な相談などの対応も求められている。
室内空気の汚染が生じる原因の一部として、建材や接着剤、塗料、防虫剤、防腐剤等から発散するホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(以下VOCとする。トルエン、キシレンなど)がある。さらに、住宅の気密性が向上したこと、ライフスタイルの変化(例えば窓を閉めてエアコンを使用することによる換気不足)等の状況も複合的に関連していることが考えられる。
また、原因の判定等に当たっては、化学物質による健康影響の現れ方にはかなりの個人差があること、室内に発散する化学物質の種類が多い上に、それぞれの濃度は比較的低いので、化学物質の測定機器や測定技術に高度のものが要求されること、室内の温度、湿度、換気方法、使われ方等の条件変動によって濃度が変わること、室内汚染物質の発生源は多様で、持ち込まれる家具、調度品はもちろん、燃焼器具からの発生ガス、喫煙による煙、生活用品等、建材以外のものからも原因になっている可能性があること等を総合的に勘案して対応する必要がある。

化学物質の室内濃度が高い場合は、居住者が「シックハウス症候群」(*1,2,3)や「化学物質過敏症」、「MCS」(*4,5)と呼ばれる症状になる場合がある。

現在、化学物質の室内濃度の目安として厚生労働省が発表している濃度指針値(*6)があるが、仮に室内濃度が指針値を超えていたとしても、居住者が必ずシックハウス症候群になるということではない。また、指針値以下であっても居住者がシックハウス症候群になる場合もある。これは、居住者の体質や体調やこれまでの化学物質に関する履歴などにかなり個人差があるためと考えられる。
そのような点についても十分留意して室内汚染や健康影響に対処することが必要である。

2.シックハウス対策について

(1)
建築基準法による規制の概要
平成15年7月にシックハウス対策のための規制導入改正建築基準法が施行された。規制対象物質はホルムアルデヒド及びクロルピリホスと規定され、住宅については以下のような対策が定められた。
① ホルムアルデヒド対策(a、b、d、e)
  • 対策Ⅰ
内装仕上げの制限
内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積を制限する。
  • 対策Ⅱ
換気措置の義務付け
原則として住宅に機械換気設備等の設置を義務付ける。
  • 対策Ⅲ
天井裏等の制限
天井裏等から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐ措置あるいは建材の制限をする。

ホルムアルデヒド対策の概要-戸建住宅(引用1)


ホルムアルデヒド対策の概要-集合住宅(引用1)
クロルピリホス対策(a、b、ⅽ)
居室を有する建築物では、クロルピリホスを添加した建築材料の使用を原則として禁止する。(「資料1 化学物質について ⑨クロルピリホス」の項を参照)
以下に①のホルムアルデヒド対策について説明する。
(対策Ⅰ)内装仕上げの制限
建築基準法令(告示)により、17品目の建材が内装仕上げへの使用が制限されている。(これを「告示対象建材」とよぶ(「資料4告示対象建材等について」の「(1)告示対象建材」の項を参照)
ホルムアルデヒドを発散するおそれがあるものとして、指定された17品目の建材のそれぞれについて、ホルムアルデヒドの発散量の少ないほうから、規制対象外建材(F☆☆☆☆)、第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料の4つに区分する。その材料を居室の仕上材あるいは建具の室内側に使用する場合、規制対象外建材は制限なく使用できるが、第3種建材及び第2種建材は別途に定められた計算式にもとづいて、使用面積が制限される。第1種建材は内装仕上材としては使用が禁止されている。
参考1
「住宅相談統計年報2016資料編」((公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p37(全 表71 シックハウス相談の件数推移)

(*1) 住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築・改修後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じている状況が数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれる。(厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 中間報告第1~第3回のまとめについて」平成12年6月)

(*2)居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅においてみられる健康障害の総称で、医学的に確立した単一の疾患ではない。主な症状として、皮膚や眼、咽頭などの皮膚・粘膜刺激症状、全身の倦怠感、頭痛、頭重等の不定愁訴などがある。(厚生労働省「室内空気健康影響研究会報告書」平成16年2月)

(*3) 診療報酬請求の病名リストに、シックハウス症候群は登録されている。病名整理番号は20084310。((一財) 医療情報システム開発センター)
(*4)
国際的には“MCS (Multiple Chemical Sensitivity:多種化学物質過敏状態)”、日本では“化学物質過敏症”の名称が一般に使用されている。微量の化学物質に反応し、非アレルギー性の過敏状態の発現により、精神・身体症状を示すとされ、病態や発症機序については未解明な部分が多い。感度や特異性に優れた臨床検査方法及び診断基準が開発されることが必要とされる。(厚生労働省「室内空気健康影響研究会報告書」平成16年2月)

(*5) 診療報酬請求の病名リストに、化学物質過敏症は登録されている。病名整理番号は20093547。((一財)医療情報システム開発センター)

(*6) 指針値は、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響を受けないであろうと判断される値を算出したものであり、その設定の趣旨はこの値までは良いとするのではなく、指針値以下が望ましいということである。

建築基準法関連
a.
建基法第28条の2第三号
b.
建基法令第20条の5
c.
建基法令第20条の6
d.
建基法令第20条の7
e.
建基法令第20条の8


引用1
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p14~15
ホルムアルデヒド発散建築材料の基準、制限等
名称 JIS、JASマークなどの表示記号(※) ホルムアルデヒドの発散速度(28℃相対湿度50%ホルムアルデヒド濃度100μg/㎥) 特 徴 内装仕上使用可能面積(但し換気回数0.5回/h以上で他の発散建材がない場合)(*7)
建築基準法の告示対象建材の内、規制対象外建材 F☆☆☆☆ 5μg/㎡h以下(0.005㎎/㎡h以下) ホルムアルデヒドの発散量が少ない、新しい区分 使用面積の制限なし
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 F☆☆☆(旧JIS、JASのE0、Fc0 20μg/㎡h以下5μg/㎡h超(0.02㎎/㎡h以下0.005㎎/㎡h超) ホルムアルデヒド発散量が比較的少ない、従来のE0、FC0相当 床面積の2倍以内
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 F☆☆(旧JIS、JASのE1、Fc1 120μg/㎡h以下20μg/㎡h超(0.12㎎/㎡h以下0.02㎎/㎡h超) ホルムアルデヒドの発散量がやや多い、従来のE1、FC1相当 床面積の約0.3倍以内
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 旧JIS、JASのE2、Fc2または表示なし 120μg/㎡h超 (0.12㎎/㎡h超) 最もホルムアルデヒドの発散量が多い、従来のE2、FC2、無等級に相当 使用できない
「資料3 建材のホルムアルデヒド放散量に関する規格」を参照
第2種及び第3種ホルムアルデヒド発散建築材料を居室の内装仕上材として使用する場合は、次の計算式を満たすことが求められる。
N2S2 + N3S3 ≦ A  ――――計算式
(第2種分)  (第3種分)
N2
:換気回数0.5回/h以上0.7回/h未満の場合 2.8
:換気回数0.7回/h以上の場合        1.2
N3
:換気回数0.5回/h以上0.7回/h未満の場合 0.50
:換気回数0.7回/h以上の場合        0.20
S2
:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
S3
:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
A
:居室の床
なお、告示対象建材以外の建材(告示対象外建材)は、建築基準法による内装仕上げの使用制限を受けずに使用できる。代表的な告示対象外建材は、「資料4 告示対象建材等について」の「(2)告示対象外建材」を参照。
ただし、これらの建材を張り合せたり、化粧加工する際に、告示対象建材(規制対象外建材を除く)である接着剤を使用した場合には、規制対象となる場合があるので注意が必要である。
(*7)通常の居室の他、隣接する居室と換気計画上一体と見なされる廊下、収納スペースなどの仕上材は、同じ制限を受ける。
(対策Ⅱ)換気設備設置の義務付け
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具等からの発散があるため、原則として住宅に機械設備等の措置が義務付けられる。
住宅の居室では、換気回数0.5回/h(*8)以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど)を設置しなければならない。
(対策Ⅲ)天井裏等の制限
機械換気設備を設ける場合には、天井裏、床下、壁内、収納スペースなど(「天井裏等」と呼ぶ)から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐため、次の①~③のいずれかの措置が必要。ただし、収納スペースなどであっても、建具にアンダーカット等を設け、かつ、換気計画上居室と一体的に換気を行う部分については、居室とみなされ、対策Ⅰの対象となる。
(*8)居室の容積と同じ量の空気が1時間で入れ替わるだけの換気量がある場合を、換気回数1回/hとする。0.5回/hはその半分。
①建材による措置 天井裏等に第1種、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない。
②気密層、通気止めによる措置 気密層(*9)又は通気止め(*10)を設けて天井裏等と居室とを区画する。
③換気設備による措置 天井裏等も換気できる換気設備をつける。

(2)
住宅性能表示制度におけるシックハウス対策
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)の中に「住宅性能表示制度」がある。建て主などが希望すれば、新築住宅は10分野32事項の性能について専門機関が評価して「住宅性能評価書」が交付される制度である。シックハウス関連では、分野6「空気環境に関すること」の中で以下の3項目が表示できるようになっている。
新築住宅を対象とした住宅性能表示制度の表示事項をまとめると以下のようになる。
ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)
居室の内装及び天井裏等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策の程度を評価して表示する。
「製材等(丸太及び単層フローリングを含む)を使用する」か「特定建材を使用する」、「その他の建材を使用する」のいずれかを選定する。
そのうち「特定建材を使用する」(建築基準法の告示対象建材に同じで告示対象外建材は含まない)場合のみ、居室の内装仕上げ及び換気等の措置のない天井裏等の下地材等に使用される特定建材からのホルムアルデヒドの発散量について3つの等級が定められている。
なお、以下の等級は、建築基準法の内装仕上げの制限に係る建築材料の区分(第2種ホルムアルデヒド発散建築材料や第3種ホルムアルデヒド発散材料)とは異なる点に留意する必要がある。また、天井裏等の制限(建材による措置の場合)についても、建築基準法を満足すれば「等級2」であるが、「等級3」については、建築基準法を上回る水準となっている点に留意する必要がある。
(*9)居室の周囲をプラスチックフィルムなどで隙間なく覆うこと。

(*10)間仕切り壁などの表面や上下部分を気密性のある材料でふさぐこと。
○等級3: ホルムアルデヒド発散建築材料については、全ての材料が第1種ホルムアルデヒド発散建築材料又は、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料もしくは第3種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当しないもの
○等級2: ホルムアルデヒド発散建築材料については、全ての材料が第1種ホルムアルデヒド発散建築材料又は、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当しないもの
○等級1: 第1種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当しないもの(*11)
換気対策
居室の換気対策:住宅の居室全体で必要な換気量が確保できる対策を評価して表示する。
局所換気対策 :換気上重要な室(便所、浴室及び台所)の換気のための対策を評価して表示する。
なお、建築基準法の換気対策を満足すれば、上記の「居室の換気対策」に該当することに留意する必要がある。
室内空気中の化学物質の濃度等
住宅の完成段階で、室内空気中の化学物質の濃度について実測し、その結果を測定方法とともに表示する。この項目は「選択事項」として位置づけられている。測定の対象となる化学物質(測定対象物質)は以下の5物質である。この事項の表示を希望するとホルムアルデヒドは必ず測定され、他は選択となる。
ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン
なお、建築基準法では、化学物質の濃度測定について義務づけられてはいない。

(3)
化学物質の濃度に関する留意事項
竣工直後は濃度が高い
化学物質の室内濃度は一般に竣工時に最も高く、時間の経過とともに低減する傾向にある。したがって、工事完了後直ちに入居するのではなく、しばらく養生期間をおいて、換気通風を励行した後に入居するのが望ましい。入居後もしばらくは積極的な換気通風に努めることが望ましい。
ホルムアルデヒドなどの発散は高温時に多くなる
ホルムアルデヒドなどは温度が高くなると発散量が増加する傾向があり、夏季に竣工した場合は濃度に特に注意して換気通風に努めることが望ましい。冬季に竣工した場合は、そのときは濃度が低くても、夏季に向けて増加する場合があるので夏季には通風などを励行するのが望ましい。
全般換気設備は24時間稼動させる
建築基準法に定められた全般換気設備(居室の常時換気に使用するもので、台所や浴室などの局所換気設備を除く)は止めることなく24時間稼動させることが求められる。建材等からだけでなく、家具や造作、カーテンやカーペット、その他の生活用品からも化学物質が発散する可能性があるので、居住者の健康を守るために常に所定の換気が必要である。
(*11)内装のみの等級で天井裏等には適用しない

3.室内空気汚染の発生原因

室内空気の汚染は、一つの原因によらず複数の要因によっていることが多いため、調査結果を踏まえて、慎重に判断する必要がある。
(1)
設計上の要因
内装仕上材、下地材、接着剤、塗料等の材料選択の問題
内装仕上材、下地材に化学物質の発散の多いものが選択されている場合、表面の塗装や床用ワックスなどに化学物質の発散の多いものが選択されている場合、仕上材の施工に使用する接着剤に化学物質の発散の多いものが選択されている場合、床暖房によってフローリングが加熱されホルムアルデヒドの発散が多くなっている場合などが考えられる。
配置計画・平面計画上の問題
一般的な建材においては、室内温度や建材温度が上がれば建材からのホルムアルデヒドなどの発散量も増える傾向にある。このため、特に夏季の直射日光が床や壁に当たるような建物においては、その配置や材料選択が原因になる場合がある。
気密層や気流止めの設計上の問題
屋根裏、天井裏、床下、壁内などに化学物質の発散の多い建材や防腐防蟻薬剤を使う場合は、居室とそれらの空間の間を気密材や気流止めで遮断し、汚染された空気が室内に漏れないようにする必要がある。しかし、その設計や工事が不十分な場合は室内汚染の原因になる。(参考2)
換気計画の問題
全ての居室に換気回数で0.5回/h以上の機械換気設備の設置が原則として義務付けられているが、設計が適切でない場合には必要な換気量が確保できず、室内空気汚染の原因となる場合がある。
1)
住宅の気密性が低い場合は、換気の方法によっては、近くの隙間とショートサーキットを起こしたり、予期せぬ外気の侵入や漏出を招いて、居室が換気不良になる場合がある。(参考3)
2)
居室からの換気経路上にある開き戸は、アンダーカットやガラリなどを設けて十分な通気性をもたせないと換気不良になる。
3)
換気ダクトを用いる場合、許容される以上の多くの曲がりなどを設計すると、静圧損失が増えて換気不良になる。
4)
居室の給気口、排気口の位置が適切でないと、居室の一部しか換気されない場合がある。
(2)
施工上等の要因
材料の誤った選択など
1)
壁紙、フローリング、カーペット、ボードなどの接着に使用する接着剤に化学物質の発散の多いものを使用した場合。設計の指定と異なる内装仕上材、下地材、接着剤等を施工で選択した場合。
2)
下地処理剤(シーラー)などに化学物質の発散の多いものを使用した場合。
施工上の問題
1)
気密層、気流止めの施工がずさんで隙間がある場合。
2)
接着剤、塗料等の施工が不適切である場合。
3)
施工した仕上材に塗装工事中に発散した化学物質が吸着した場合。
4)
施工中の換気が十分に行われない場合。
保管や養生の不良
1)
保管している材料が他の建材から発散した化学物質を吸着した場合(放散量の異なる建材との保管)。
2)
雨がかりのある状況で保管した場合
3)
工事終了直後に入居させた場合(養生期間の不足)。
(3)
使用・メンテナンス上の要因
全般換気が停止しているなど、常時稼動になっていない場合。
換気設備のメンテナンスが悪く、フィルターなどが詰まっている場合
室内の家具などが換気の流れを妨げている場合
調理の時に局所換気を動かしていない場合
化学物質を発散する家具、家電(電気ストーブ、パソコンなど)などを使用している場合。
化学物質を発散するカーテン、置き敷きカーペットなどを使用している場合。
化学物質を発散する床ワックスを使用している場合。
開放式の石油ストーブやガスストーブを使用している場合。
化学物質を発散する生活用品(タバコ、芳香剤、防虫剤など)を持ち込んだり、使用している場合。
(4)
外的要因
近隣にある工場、クリーニング店、幹線道路上の車等から放出される汚染物質の影響(工場から流出したトルエンが外気を汚染し、その外気が室内に流入した例などがある。)
外壁の塗料などから発散した化学物質が給気口や給気ファンから室内に流入した場合
近隣で行われた塗装工事、防蟻処理等の影響(近隣で行われた防蟻処理の薬剤が室内に流入した例などがある。)
参考2
通気止めの設計例について 「住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p27

参考3
「改正建築基準法の対応した 建築物のシックハウス対策マニュアル」(国土交通省住宅局建築指導課 他編集)p 245
事前確認等

調査の視点

  • 室内空気の汚染状況等を確認し、原因を推定するために必要と思われる基本情報を居住者から収集し、整理を行う。
    また、この段階において室内空気の測定を行い、その結果に応じて適切な調査フローを個別に検討することも有効と考えられる。
    なお、室内空気について何らかの測定を行っている場合には、何を対象としてどのような方法により測定が行われたのかを確認する。

調査方法

1.室内空気の汚染状況等の確認

「シックハウス相談チェックシート」(以下チェックシートという)を参考に、室内空気の汚染状況の確認、原因を推定するために必要と思われる基本情報(居住者の症状、発症時期、室内の状況、住まい方等)の収集、整理を行う。
居住者に対して、チェックシートの記入を依頼する。
必要かつ可能であれば、現地調査を行い、チェックシートに記入された内容について確認する。
■シックハウス相談チェックシート
□住まい手の属性
名前 住所
電話 業者名
家族構成 続 柄
性 別
年 齢
□建物の概要
住宅の区分 一戸建  共同住宅    
構造 木造軸組 2×4 鉄骨系プレハブ 木質系プレハブ RC
その他(                 )
規模 延べ面積     ㎡ (わかる範囲で)
建物階数     階
居住階の階数   階(共同住宅の場合)
周辺地域 住宅地域  商業地域  工業地域  農業地域
その他(                 )
近隣施設 幹線道路  ゴミ焼却施設  農地  果樹園  水田
工場  その他(                 )
設計者                        TEL
施工者                        TEL
着工と竣工(完成)年月 平成  年  月着工 ~ 平成  年  月完成
引渡年月日
入居年月日
□設計段階に関する情報確認
シックハウス対策に関する要望を設計者等に示したか 示した  示していない  覚えていない
上記の具体的な内容
□部屋の区分と主な仕様
居間 天井の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り天井  その他(                )
内壁の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り壁  その他(                )
床の主な仕上材 フローリング(板張り) 畳 カーペット
その他(                )
建具の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
その他(                )
ダイニング
キッチン
天井の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り天井  その他(                )
内壁の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り壁  その他(                )
床の主な仕上材 フローリング(板張り) 畳 カーペット
その他(                )
建具の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
その他(                )
個室1 天井の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り天井  その他(                )
内壁の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り壁  その他(                )
床の主な仕上材 フローリング(板張り) 畳 カーペット
その他(                )
建具の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
その他(                )
個室2 天井の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り天井  その他(                )
内壁の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
塗り壁  その他(                )
床の主な仕上材 フローリング(板張り) 畳 カーペット
その他(                )
建具の主な仕上材 板(塗装有) 板(塗装無) 織物 紙 ビニル
その他(                )
防蟻処理の有無 した ⇒ 工場処理 現場処理 不明
しない 不明
□換気の状況
換気方式 全般換気方式 ⇒24時間換気システムの有無  有・無
局所換気方式
24時間換気システムの稼動状況 常時稼動している 必要に応じて稼動している
常に止めている
窓明け換気の習慣の有無 頻繁に  必要に応じて  ほとんどしない
台所換気扇の使用状況 常時   必要に応じて  ほとんどしない
トイレ換気扇の使用状況 常時   必要に応じて  ほとんどしない
浴室換気扇の使用状況 常時   必要に応じて  ほとんどしない
居室換気扇の使用状況 常時   必要に応じて  ほとんどしない
□健康影響等の状況
健康影響を受けた方について 有無 有 ・ 無
属性
症状
医師の診断
家族の方が室内で臭気を感じることがあるか 常時ある  ときどきある  ない
臭気がする部屋・場所
臭気を感じる具体的な対象(該当する対象に○) 床・壁・天井の仕上材 カーテン 造り付け家具 その他の家具 押入 芳香剤・防虫剤・殺虫剤・防腐剤 防蟻・防ダニ処理剤 塗料 煙草の煙 冷暖房の気流 化粧品・洗剤 自動車用品 新聞や雑誌等のインク 農薬 排気ガス その他(            )
どんな回避行動をとったか
臭い 今は
第三者は
□日常生活の状況
新たに購入した家財道具 家具名称
購入時期
喫煙する方の有無 いる  いない
喫煙場所 室内  換気扇の下  室外
暖房器具 種 類 開放型  非開放型  床暖房
新規購入  既存(購入時期  年  月)
名 称
熱 源 電気  ガス  石油
ご使用の生活用品 芳香剤 消臭剤 防虫剤 殺虫剤 床ワックス 化粧品 趣味等の薬品(シンナー・ペンキ・ニス・接着剤等)
その他(     )
健康診断はしているか
その結果は
視力の傾向
□室内空気質の測定
空気測定(ホルムアルデヒド)をしたか
日 時
簡易法か標準法か
簡易法の場合の条件 窓の開放、測定箇所、結果報告書の有無
その他
「住まいのしおり」をもらったか
引き渡し時「住まい方についての注意説明」はあったか
説明に基づく生活行動をとったか
特記事項
上記の「住まいのしおり」及び「住まい方の注意説明」は、シックハウス対策に関する注意事項(持ち込み家具についての注意、換気設備の24時間運用や定期的なメンテナンスの必要性等)の内容が含まれているものとする。
2.室内空気の測定内容・状況の確認
(1)
室内空気の測定内容・状況の確認
測定結果を提出してもらい、以下の内容を確認する。
確認のポイント(参考4)
検査者の氏名
測定した化学物質の名称
測定した化学物質の濃度
測定器具の名称
測定方法
採取を行った年月日及び時刻(30分間以上継続して採取する場合にあっては、採取を開始した時刻及び終了した時刻)
内装仕上工事(造付け家具の取付けその他これに類する工事を含む。)の有無。工事がなされていた場合は、その完了年月日。
採取条件
居室の名称、間取り、採取位置及び高さ、採取位置又は近傍における採取中の室温(30分以上継続して採取する場合にあっては、平均の室温)、採取位置又は近傍における採取中の相対湿度(30分以上継続して採取する場合にあっては、平均の相対湿度)、採取中の天候及び日照の状況、採取前及び採取中の換気及び冷暖房の実施状況その他測定の対象となる特定測定物質の濃度に著しい影響を及ぼす採取条件
分析者の氏名又は名称
■ 測定内容・状況確認シート
確認項目
記入欄
検査者名
測定した化学物質の名称
測定した化学物質の濃度
測定器具の名称
測定方法
採取を行った年月日及び時刻(30分間以上継続して採取する場合にあっては、採取を開始した時刻及び終了した時刻)
内装仕上げ工事(造り付け家具の取り付けその他これに類する工事を含む)の有無。工事がなされていた場合は、その完了年月日。
採取条件 居室の名称
間取り (図面を添付するなどして対応)
採取位置及び高さ
採取位置又は近傍における採取中の室温(30分以上継続して採取する場合にあっては、平均の室温)
採取位置又は近傍における採取中の相対湿度(30分以上継続して採取する場合にあっては、平均の相対湿度)
採取中の天候及び日照の状況
採取前及び採取中の換気及び冷暖房の実施状況その他測定の対象となる特定測定物質の濃度に著しい影響を及ぼす採取条件
分析者の氏名または名称
参考4
  • 平13国交告1346号日本住宅性能表示基準「6-3 室内空気中の化学物質濃度等」
(2)性能表示制度による評価内容の確認
  • 空気環境に関する項目を選択していた場合は、居住者に建設住宅性能評価書を提出してもらい、その評価内容等を確認する。
  • 必要に応じ、登録住宅性能評価機関等に対するヒアリングや住宅紛争処理支援センター経由で建設住宅性能評価関連図書の提出要求を行い、評価した内容を詳細に確認する。

3.調査結果の保存

  • 調査結果に客観性と信頼性を持たせるためにはいつ、どこで、どのような条件で空気が採取され、分析されたのかを正確に確認、記録しておくことが望ましい。後日、当事者が裁判所に訴訟を提起した場合、その訴訟の中で証拠として活用される場合も考えられるので、記録の保存に配慮する必要がある。「1.室内空気の汚染状況等の確認」及び「2.室内空気の測定内容・状況の確認」の各シートを使用して記録し、保存しておくこと。
参考5
  • 「住宅性能表示制度日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説 2016」p367 ~368 (告示6-3(3)ハニ) (国土交通省住宅局生産課・国土交通省国土技術政策総合研究所・ 国立研究開発法人建築研究所 監修/日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説 編集委員会 編集、工学図書(株)発行)

調査結果の考え方

  • 化学物質濃度の測定結果は、ある特定の条件のもとで測定された濃度であり、測定後の時間変化や室温等の条件によって変化する。(引用2)
  • 建設住宅性能評価書に表示される濃度は、あくまでも測定時点の、ある特定の条件のもとで測定された濃度にすぎない。すなわち、測定後の時間経過や周辺条件の差異によって濃度の変化が生じないことを保証したものではなく、厚生労働省の濃度指針値を超えないことを約束するものでもない。従って、建売分譲住宅などの売買にあたり、建設住宅性能評価書に表示された濃度が契約内容とみなされている場合であっても、濃度が後日変化したことをもって、直接的に契約に反する住宅であるとは言えない。(引用3)
引用2
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p3

引用3
「改正建築基準法に対応した 建築物のシックハウス対策マニュアル」(国土交通省住宅局建築指導課 他編集)p124
設計内容の確認

調査の視点

  • 材料の選択、換気計画、平面計画、配置計画等が適切に行われているかどうかを確認する。

調査方法

1.設計内容の確認

確認のポイント
内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)等の選択
天井裏等の対策
換気設備の設置、換気計画
配置計画・平面計画
床の設計
なお、上記①~⑤の設計内容は、主として右記a~i、☆1、☆2と照らして、適切かどうかを確認する。

(1)調査方法

  • 当該住宅の設計図書(設計図、仕様書、使用建築材料表等)を用いるとともに居住者へのヒアリングにより、設計上、室内空気の汚染対策が適切に行われているかどうかを確認する。なお、適切であるかの検討にあたっては、建築基準法に則した対策が講じられているかどうかが判断の基準となる。また建設住宅性能評価関連図書も参考になる。
  • <確認のポイント>に沿って、確認する主な項目を以下に列記する。
    内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)等の選択(参考6,参考7)
    • 内装仕上材として、ホルムアルデヒドを発散する可能性のある告示対象建材(*12)(合板、パーティクルボード、フローリング、畳、壁紙、接着剤、塗料等)の選択が適切に行われているか。あるいはホルムアルデヒドの発散がほとんど認められない告示対象外建材(*13)を選択しているか。
    • 告示対象建材(合板、パーティクルボード、MDF、接着剤、塗料、断熱材等)を使用している場合は、ホルムアルデヒド発散等級について日本工業規格(JIS)又は日本農林規格(JAS)による表示記号や国土交通大臣による認定書(写し)または事業者団体等による表示により確認する。
建築基準法関連
a.
建基法28条の2第三号
b.
建基法令第20条の5
c.
建基法令第20条の6
d.
建基法令第20条の7
e.
建基法令第20条の8
f.
建基法令第129条の2の6
g.
平14国交告1112号
h.
平14国交告1113号~1115号
i.
平15国交告273、274号
☆1.
平13国交告1347号「評価方法基準」第6-1ホルムアルデヒド対策
☆2.
平13国交告1347号「評価方法基準」第6-2局所換気設備
参考6
  • 「室内空気汚染の低減に関する調査研究報告書」(設計・施工ガイドラインp8)(健康住宅研究会)
参考7
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)P185~200
(*12) 令第20条の7第1項第一,二号、平14国交告1113号~1115号に定められた、ホルムアルデヒドを発散する17品目の建材。ホルムアルデヒドの発散速度により等級が定められ、内装仕上げへの使用が制限される。

(*13) ホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないことから、制限を受けることなく、居室の内装材として、使用できる。
天井裏等の対策(引用4)
  • 天井裏等の対策として、以下のイ)~ハ)に示す3通りがあり、いずれかの対策を講じているかどうかを確認する。
    イ)
    下地材、断熱材その他これらに類する面材について、次に挙げる材料を使用しないことにより、ホルムアルデヒドの発散を抑制し、ひいては居室へのホルムアルデヒドの流入を抑制する。
    • 第1種ホルムアルデヒド発散建築材料
    • 第2種ホルムアルデヒド発散建築材料
    • 令20条の7第2項の規定により大臣認定を受けた建築材料(第2種ホルムアルデヒド発散建築材料とみなされる建築材料)
    ロ)
    気密層または気流止めにより居室へのホルムアルデヒドの流入を抑制する。
    ハ)
    居室の空気圧が当該天井裏等の部分の空気圧以上となるよう、機械換気設備等による措置を講じる。
引用4
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p182~183
換気設備の設置・換気計画(参考8)
イ)
換気設備設置の適用除外の建物かどうか。(以下のいずれかの場合)
  • 外気に常時開放された開口部等の換気上有効な面積の合計が、床面積に対して1万分の15以上の場合
  • 真壁造の建築物(外壁に合板その他これに類する板状に成型した建築材料を用いないものに限る)の居室で、天井及び床に合板その他これに類する板状に成型した建築材料を用いないもの、または外壁の開口部に設ける建具(通気が確保できる空隙のあるものに限る)に木製枠を用いるものの場合
ロ)
住宅の居室(居室とみなされる部分を含む)全体で1時間当たり0.5回以上の換気回数を確保できる機械換気設備が設置されているかどうか。
ハ)
機械換気設備の選定にあたっては、必要換気量を求め、ダクト等の圧力損失を計算で確認したうえで、これらの条件を満たすファンが選定されているかどうか。(計算内容が確認されているかどうか)
ニ)
住宅の居室(居室とみなされる部分を含む)には、給排気口、換気経路上にある開き戸等の建具にガラリやアンダーカット等が設けられているかどうか。(確認申請時に換気経路の図面等が提出されている場合には、その換気経路が適切かどうかを合わせて確認する。)
ホ)
給気口と排気口の位置は、室全体の空気が効果的に入れ替わるよう、適切な位置に配置されているかどうか。
ヘ)
給排気口の前に家具等が置かれ、空気の流通の妨げになっていないかどうか。
参考8
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p184、p246~258
配置計画・平面計画(参考9)
  • 居室か、居室以外の空間が居室と一体とみなされる空間かどうかは換気計画に関係するため、その点を確認する。
  • 内装仕上材等の表面の温度を上昇させるような、夏季の日射の入り込み等はないかどうかを確認する。
床の設計(参考10)
  • 現場において防蟻処理又は木材保存処理を行っているか。
  • 現場で防蟻処理、木材保存処理を行っている場合には、床下の有害な化学物質が、室内に流入しないような床の設計になっているかどうか。
  • また、施工部分の床下空気が室内に流入しないよう、床下の換気が十分行われる換気口等を設けているか。
  • 基礎断熱工法等、床下を密閉する場合には、床下空気中に防腐・防蟻剤が発散しないような工法・材料を選択しているか(工場であらかじめ木材保存処理を行った材料であれば、薬剤が発散する可能性はきわめて低い)。

(2)注意事項等

  • トルエン・キシレン等のVOCについての規制や建材の規格等は現時点では定められていないが、注意する必要がある。(注:「資料5 VOC(トルエン、キシレン等)に対する配慮について」参照)
  • 換気計画とは、必要な換気量を必要な場所に供給するための換気システムを建物全体として考えることで、そのためには必要換気量を算出することが必要となる。本来、必要換気量は、人体に影響のないレベル(許容濃度)と汚染物質の発生量が明らかでなければ算出できない。この両方が明らかになっている物質はきわめて少なく、特に汚染物質の許容濃度に関して、発生量データが十分でないため個々の物質に対する必要換気量を求めることは現状では難しい。
    なお、住宅に必要とされる換気量は、一般に、換気回数で1時間あたり概ね0.5回程度と言われており、これは居室において一般的に想定される二酸化炭素等の空気汚染物質の除去に必要な換気量として広く認知されている。
    建築基準法(ホルムアルデヒド対策)では、住宅に必要な換気回数を0.5回/h以上と定め、この換気回数に居室全体の容積(=気積)を掛けた値を当該住宅における必要換気量とし、この必要換気量を満たす風量を有するファンを適切に選定することとされている。
    また、ホルムアルデヒドについては建材からの発生がない場合にも家具等からの発生を考慮する必要があるため、換気回数0.5回/hは、最低限必要な換気量である。(参考11)
参考9
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p181、p184、p202~208、p268
参考10
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p221
参考11
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p184、p246~258

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、適切な室内空気の汚染対策が行われていない場合は、それに起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。
    内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)等の選択
    天井裏等の対策
    換気設備の設置、換気計画
    配置計画・平面計画
    床の設計

使用する検査機器

  • 特になし
施工状況等の確認

調査の視点

  • 施工段階において、内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)の選択等が設計どおり適切に行われているか、養生を含め施工状況を確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)の選択
内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)の品質
天井裏等の施工状況
接着剤、塗料等の施工状況
機械換気設備の設置の状況
床の施工状況
養生等の状況

(1)調査方法

  • 施工記録(完了検査申請書「工事監理の実施状況」の表)、工事状況報告書、材料購入伝票等)および建設住宅性能評価関連図書により、上記〈確認のポイント〉に沿って、把握できる範囲で、施工等が設計どおりに行われているかどうかを確認する。
  • 施工要領書、工程管理表等により、把握できる範囲で、接着剤、塗料等の使用量、乾燥期間等について確認する。また材料の保管状況や工事後の養生方法、養生期間等について確認する。
    (注)養生期間は建材・施工材の使用量と、施工場所の広さによって異なる。

2.目視等による施工状況の確認

  • 設計図書や施工記録通りの建材や仕上材等や換気設備が使用されているか、建材や仕上材等に示されている等級や換気設備を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考12
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p259~261

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、設計どおりの施工が行われていない場合又は不適切な施工が行われている場合は、それに起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。
    内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)の選択
    内装仕上材、下地材、施工材(接着剤等)の品質
    天井裏等の施工状況
    接着剤、塗料等の施工状況
    機械換気設備の設置の状況
    床の施工状況
    養生等の状況
  • 揮発性の高い溶剤等は、施工後短期間で発散量が急速に低下する。
  • 接着剤、塗料等の施工で乾燥期間が十分でない場合及び工事後の養生期間が十分ではない場合は、材料に含まれているトルエンやキシレン等のVOCが発散せずに残留し、居住者の入居後も発散して室内空気の汚染原因となっている可能性がある。
  • 特に竣工直前の手直しは、乾燥期間・工事後の養生期間を十分に確保することが難しい場合が多いので注意が必要。

使用する検査機器

  • 特になし
建設住宅性能評価書の確認

調査の視点

  • 建設住宅性能評価書の「空気環境に関すること」について、特に濃度測定の部分を中心に、評価内容を詳細に確認する。

調査方法

1.評価内容の確認

(1)調査方法

  • 調査内容としては、以下の4点があげられる。
住宅性能表示制度を利用して、化学物質の室内濃度を測定したかどうかを確認する。
住宅性能表示制度を利用した室内の化学物質濃度の測定内容を確認し、発生源の手がかりとして活用できる部分を確認する。
  • 測定物質とその濃度
  • 測定器具の名称
  • 採取年月日・時刻
  • 内装仕上げ工事完了日
  • 測定した居室の名称
  • 測定時の平均の室温、相対湿度
  • 天候、日照の状況
  • 換気の実施状況、その他
  • 分析した者の氏名又は名称
住宅性能表示制度を利用した濃度測定(=竣工時)の測定内容と、現在の状況(=入居後)の相違点(例えば、新しい家具やカーペット、カーテン等の有無など)を確認する。
必要に応じて、測定者にもヒアリングなどにより直接確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 化学物質の発生源となる可能性のある製品を、室内に持ち込んでいる場合には、それに起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。
  • 化学物質濃度の測定結果は、ある特定の条件のもとで測定された濃度であり、測定後の時間変化や室温等の条件によって変化する。特に、室温が高くなると建材等からの発散量が増加するため、一般に化学物質濃度は高くなる傾向にある。(引用5)
引用5
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p3

使用する検査機器

  • 特になし
使用・メンテナンス状況の確認

調査の視点

  • 室内空気の汚染は、居住者の使用(住まい方)に起因する場合もあるため、使用・メンテナンス状況を確認する。

調査方法

1.使用状況等の確認(目視等による確認)

(1)調査方法(参考13)

  • 換気設備の作動状況(24時間連続運転が基本)、給排気口のフィルター等の目詰まりの有無、家具等の配置による換気への影響の有無、積極的な窓開けによる換気等の換気状況を確認する。
  • 日常生活において、住宅と一体となった材料・部品以外にも、持ち込まれる新しい家具やカーテン、じゅうたん、家具や床に塗るワックス類にも化学物質を発散するものがあるので、有害な化学物質の発散の少ないあるいは発散のないものを選択しているかを確認する。
  • 防虫剤、芳香剤、消臭剤、洗剤、化粧品、香水、整髪料等が発生源となる可能性もあるため、これらの物品が大量に持ち込まれていないかを確認する。
  • 室内での喫煙、開放型ストーブその他排気を室内に出す暖房器具、電気ストーブやパソコンも化学物質の発生源となりうるため、日常生活においてこれらのものが使用されているかどうかを確認する。
  • 下図は、化学物質の発生源となる可能性があるものを例示している。
参考13
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p75~78

化学物質の主な発生源(引用6)

  • 持ち込み家具や日常品の状況の確認
    テーブル(椅子を含まない)(*14)
    机(椅子を含まない)(*14)
    応接セットのセット数
    椅子
    サイドボード
    食器棚
    タンス
    本棚
    その他
引用6
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p78
(*14) テーブルは、ダイニングテーブルや食卓用のテーブルなどとし、机は勉強机や作業机などとします。
なお、以下の点についても調査する。
  • 結露やカビ、ダニの発生原因につながるような、室内で過度に水蒸気が発生する恐れのある行為(洗濯物を室内に干すこと、植物を持ち込むこと等)が行われていないかどうかを確認する。
  • 加湿器を使用する際に、説明書どおりの使い方がなされ、適切な湿度が保たれているかどうかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考14
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) p75~78

調査結果の考え方

  • 機械換気を適切に運転していない場合や機械換気の目詰まり等により換気量が減少している場合等には、空気中の化学物質の濃度が上昇し、室内空気の汚染が発生している可能性がある。
  • 室内で過度に水蒸気を発生させる行為が行われている場合には、カビ・ダニの発生により、室内空気の汚染が発生している可能性がある。
  • 化学物質の発生源となる可能性のある製品(持ち込み家具、家電、防虫剤、暖房器具など)を、室内に持ち込んでいる場合には、それに起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。電気ストーブの保護枠又は保護網に塗装又は接着剤を使用した表面加工が施されている場合は、加熱された保護枠又は保護網から発生した化学物質に起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。(参考15、16)
参考15
「電気用品の技術上の基準を定める省令の一部改正について(改正の概要)」(経済産業省商務情報政策局製品安全課)平成21年9月11日経済産業省令第57号
経済産業省ホームページ 参考16
経済産業省通達「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」別表第八 電気用品安全法施行令 別表第一第六号から第九号まで及び別表第二第七号から第十一号までに掲げる交流用電気機械器具並びに携帯発電機p49~50
経済産業省ホームページ

使用する検査機器

  • 特になし
外的要因の確認

調査の視点

  • 室内空気の汚染は、室内の発生源だけではなく屋外に発生源がある可能性もあるため、敷地周辺における外気の影響を確認する。

調査方法

1.近隣の状況の確認

(1)調査方法

  • 近隣の住宅でも同様の不具合事象が発生していないか、ヒアリング等により確認する。
  • 近隣に工場、クリーニング店、交通量の多い幹線道路等がないか、化学物質が放出されることにより外気を汚染している可能性がないか等を確認する。
  • 室内空気汚染の発生時期に、近隣で塗装工事、防蟻処理等が行われていなかったかを確認する。
  • 隣家からの排気や臭気等の影響があるかどうかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.調査結果の記録

調査結果記録シートの備考欄に調査結果を記録しておく。

調査結果の考え方

  • 次のような影響がある場合には、それに起因して室内空気の汚染が発生している可能性がある。
    近隣にある工場、クリーニング店等から放出される化学物質の影響
    近隣で行われた塗装工事、防蟻処理等の影響
原因の推定と詳細調査の必要性の検討

調査の視点

  • これまでの調査結果から、室内の化学物質の濃度が高い原因の推定ができるかどうかを判断する。推定できない場合には、さらに詳細な調査を行う必要があるかどうかを検討する。

調査方法

1.調査結果による判断

(1)調査方法

  • 05の調査により、室内化学物質の濃度が高い原因が、どの部屋のどの部位のどの建材であるか、換気の問題であるのか、あるいは使用やメンテナンス上の問題であるのか推定できる場合には、「総合的な判定」に進み、濃度低減のための具体的な対策の検討を行う。
    • 外的要因によるものか、住宅内部からの発生によるものか
              ↓
    《住宅内部からの発生によると推定された場合》
    • 建材、施工材が原因と推定される場合
      (施工状況が原因の場合も含む)
    • 換気不足が原因と推定される場合
    • 家具、日常生活用品等が原因と推定される場合
  • 原因が推定できない場合、あるいは推定できても原因をさらに特定したい場合には、詳細な調査の実施について検討する。

(2)注意事項等

  • 特になし
詳細な調査による原因の特定

調査の視点

  • これまでの健康被害の症状、設計・施工状況等の調査からホルムアルデヒドが原因である可能性が高いが発生源が推定できない場合、詳細な調査を実施することにより原因を特定する。(VOCによる室内空気汚染についても準用する)

調査方法

1 現場調査(参考17)

  • 書類等の調査だけでは不明な点が多く、またその住宅に固有の状況がある場合もある。より詳細に状況を把握するため、現場へ直接行って調査を行う。
  • 入居後、すでに室内に家具や備品が持ち込まれ、生活や活動が行われている場合、建材、家具、生活用品、生活習慣等が原因として考えられる。現場で、家具、生活用品、置き敷きカーペット、カーテン等について、どのような材料が使われているかを調べる。また、原因の可能性のある家具、カーペット等を一旦その部屋から取り除いたり、喫煙や開放型ストーブの使用を一時やめて濃度の再測定を行うことによって、原因が建材であるか、その他であるかの推定ができることもある。但し、高濃度が続いた部屋では、吸着が生じて原因を除いても、数日濃度が下がらない場合がある。
  • 入居者には、喫煙、開放型のストーブやガスストーブの使用、殺虫剤の使用、溶剤(例えば油絵の具等)の使用等、生活用品や生活習慣についてヒアリングを行う。
参考17
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) 参考資料⑨ p118

2 室内濃度の再測定

(1)測定方法の種類(参考18)
  • 室内濃度の測定方法には、厚生労働省が定めた「標準的な測定方法(標準法)」と、住宅性能表示制度で採用されている「パッシブ型採取機器による測定方法(パッシブ法)」、取り扱いが容易で、その場で測定結果が得られる機器による「簡易法」と呼ばれる3種類の測定方法がある。また、日本工業規格(JIS)で室内空気質の測定方法が定められている。
    JIS A 1960:2015 室内空気のサンプリング方法通則
    JIS A 1961:2015 室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法
    JIS A 1962:2015 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量-ポンプサンプリング
    JIS A 1963:2015 室内空気中のホルムアルデヒドの定量-パッシブサンプリング
    JIS A 1964:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)のサンプリング方法
    JIS A 1965:2015 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenaxTA®吸着剤を用いたポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量
    JIS A 1966:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析-ポンプサンプリング
    JIS A 1967:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析-パッシブサンプリング
    JIS A 1968:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析-ポンプサンプリング
    JIS A 1969:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析-ポンプサンプリング
  • 住宅性能表示制度で認められている測定方法は、「標準的な測定方法(標準法)」と「パッシブ型採取機器による測定方法(パッシブ法)」の2種類である。
  • 簡易法は、測定結果がすぐにわかるというメリットがある反面、機器によっては精度上の問題があること等により、安定した測定値を得ることが難しいため、その特性をよく理解した上で使用することが必要である。
    例えば、簡易法はおよその目安を測定するためだけに使用し、その結果、濃度が高いと推定される場合には、標準法またはパッシブ法でより正確な値を測定する、といった手順が望ましいと言える。
    なお、測定・分析機関については、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターのホームページに「「厚生労働省で示されている室内空気中の化学物質の標準的測定方法」による測定が実施できる分析機関一覧表」が掲載されているので、これを参考にするとよい。ただし、この内容は平成15年10月当時に実施したアンケート結果であるため、現在の内容とは異なる場合がある。
    http://www.chord.or.jp/ kikan/sick_house.html
参考18
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) p3~6
(2)標準法による室内のホルムアルデヒド及びVOC濃度の測定方法の概要
  • 厚生労働省のシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会から、指針値を満たしているかどうかを判断するための標準的な方法が提示されている。
  • 標準法は、測定機器がやや大掛かりで複雑になるため、専門機関による測定や分析が必要となる。
測定方法の概要(参考19)
  • 30分間、すべての窓や扉を開け、換気を行った後、屋外に面する窓や扉を5時間以上閉鎖し、その状態で30分間ポンプで室内空気を吸引し採取する。
  • 分析は、専門機関でガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフなどの分析装置により行う。
  • 測定回数は2回、同時または連続して行う。また、測定時間は午後2時から3時に行うことが望ましい。
参考
ホルムアルデヒド及び個別の揮発性有機化合物(VOC)の標準的な採取方法、測定方法については、次表の厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書」を参考にする他、JIS A 1960:2015(サンプリング通則)、JIS A 1961:2015(ホルムアルデヒドのサンプリング方法)、JIS A 1962:2015(ホルムアルデヒド、アクティブ法)、JIS A 1964:2015(VOCのサンプリング方法)、JIS A 1965:2015(VOC、TenaxTA®を用いたアクティブ法)、JIS A 1966:2015(VOC、加熱脱離、アクティブ法)、JIS A 1968:2015(VOC、溶媒抽出、アクティブ法)を参考にすること。
化学物質名
掲載されている中間報告書及び厚生労働省の
ホームページアドレス
ホルムアルデヒド
トルエン
キシレン
パラジクロロベンゼン
「第1回~第3回のまとめ」
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1206/h0629-2_13.html
エチルベンゼン
スチレン
クロルピリホス
フタル酸ジ-n-ブチル
TVOC(暫定目標値)
「第4回~第5回のまとめ」
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1212/h1222-1_13.html
テトラデカン
フタル酸ジ-2-エチルヘ
キシル
ダイアジノン
「第6回~第7回のまとめ」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0107/h0724-1.html
アセトアルデヒド
フェノブカルブ
「第8回~第9回のまとめ」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/02/h0208-3.html
参考19
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p4
(3)パッシブ型採取機器による室内のホルムアルデヒド及びVOC濃度の測定方法の概要
  • 標準的な濃度測定方法に代替可能な方法として、いわゆる「パッシブ型の採取機器(サンプラー)」を用いた方法が、化学物質の分析方法が標準的な方法と共通であり、かつ、比較的長時間にわたる測定のための安定的な測定値が得やすいことから、住宅室内の化学物質濃度の測定方法として適切として考えられる。(引用7)
  • パッシブ型採取機器には、バッジ型のものやチューブ型のもの等があり、測定機器の取り扱いも標準法と比較すると容易である。(参考20)
  • JIS A 1960:2015(サンプリング通則)、JIS A 1961:2015(ホルムアルデヒドのサンプリング方法)、JIS A 1963:2015(ホルムアルデヒド、パッシブ法)、JIS A 1964:2015(VOCのサンプリング方法)、JIS A 1967:2015(VOC、加熱脱離、パッシブ法)、JIS A 1969:2015(VOC、溶媒抽出、パッシブ法)を参考にすること。
測定方法の概要(参考20)
  • 標準法と同様に、30分間、すべての窓や扉を開け、換気を行った後、屋外に面する窓や扉を5時間以上閉鎖する。
  • その状態で室内にパッシブ型採取機器を設置し、8~24時間測定を行う。測定回数は1回。
  • 分析は、標準法と同様に専門機関でガスクロマトグラフや高速液体クロマトグラフなどの分析装置により行う。
(4)簡易法による室内のホルムアルデヒド及びVOC濃度の測定方法の概要
  • 取り扱いが容易で、その場で測定結果が得られる機器による測定方法(参考21)である。
  • ホルムアルデヒドの測定については、検知管方式、検知紙方式、電気化学方式などがある。検知管方式、検知紙方式は、試薬や紙の色の変化、電気化学方式は、数値で読み取る。
  • VOCの測定が行うことができるものも市販されている。
(5)調査結果の保存について
  • 測定値に客観性と信頼性を持たせるためには、いつ、どこで、どのような条件で、空気が採取され、分析されたのかが正確に記録されていることが望ましい。後日、当事者が裁判所に訴訟を提起した場合、その訴訟の中で証拠として活用される場合も考えられるので、記録の保存に配慮する必要がある。
  • 指定住宅紛争処理機関が測定した場合は、「調査結果記録シート」や「関連情報記録シート」を用いて、測定条件、測定結果及び関連情報等を記録しておくこと。「室内空気中化学物質の測定マニュアル」(シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第6回~第7回のまとめ)及び「住宅におけるホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)の現場測定法(案)」(旧建設省建築研究所 官民連帯共同研究プロジェクト「健康的な居住環境形成技術の開発」室内環境実態調査部会報告書)が参考になる。
引用7
  • 「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」(編集:国土交通省住宅局建築指導課 他)p128
参考20
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) p5

参考21
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p6

3 対象部位や建材の測定

  • 建材(塗料や接着剤、キッチンシステム、造作家具等を含む)からの化学物質の発散が原因ではないかと推定されたものの、発散物質や発散量を詳細に把握する必要がある場合は、それを実証するための測定を行う。(引用8)
  • 例えば、パッシブ型測定機器を調査しようとする建材の近くに置いて測定し、その測定結果から発散源を推定する方法が考えられる。また、JIS A1903:2015(建築材料の揮発性有機化合物(VOC)のフラックス発生量測定法-パッシブ法)に従った測定器を建材の表面に密着させて測定し、発生源である建材を特定することも考えられる。
    現場で測定しなくとも、まったく同じ建材をメーカーから取り寄せたり、現場の建材の一部を切り取り、チャンバーで発散速度を測定することにより、発生源となっている建材を特定することができる。(引用8)(JIS A 1901:2015、建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定方法-小形チャンバー法)

小形チャンバー法による建材からの化学物質発散速度の測定(引用8)

4 換気の不足が原因と考えられる場合(引用8)

  • 換気量や室内の空気の詳細な流れなどを測定する必要がある場合には、流量計を用いて給気口、排気口等で測定し、室内が満遍なく換気されているかどうか、空気が澱んでいるところがないかどうか調査する。
  • 正確な換気回数は、室内に炭酸ガスを放出し、時間経過による濃度の低減度合いを測定した結果から計算できる。
引用8
住宅づくりのためのシックハウス対策ノート(18年版)」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)参考資料⑨ p118~119

詳細調査結果記録シート

0.事前確認等の段階で調査した結果については、「シックハウス相談チェックシート」にその結果を記入するが、より詳細な調査を行った場合には、この記録シートを利用する。

記録者          

住宅名                    所在地

測定日       年    月    日
①データNo.
②測定室名
測定室の方位及び日射侵入の有無
③測定手順・測定方法 換気時間と温度、湿度     :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
閉鎖時間と温度、湿度     :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
採取時間と温度、湿度     :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
    :    ~    :
      ~    ℃
      ~    %
平均室温     ℃
平均湿度     %
採取位置
採取方法
採取機器名
④対象物質名
⑤分析会社名又は分析者
測定結果 ppm
mg/m3
ppm
mg/m3
ppm
mg/m3
⑥測定時
室内条件
暖冷房 無 有(運転、停止) 無 有(運転、停止) 無 有(運転、停止)
換気 無 有(運転、停止) 無 有(運転、停止) 無 有(運転、停止)
喫煙 無 有(  本/時) 無 有(  本/時) 無 有(  本/時)
在室者 無 有(   人) 無 有(   人) 無 有(   人)
⑦隣室 在室者 無 有(   人) 無 有(   人) 無 有(   人)
外気
濃度
ppm
mg/m3
ppm
mg/m3
ppm
mg/m3
平均温度
平均湿度
⑧外気 平均風速 m/s m/s m/s
平均風向
気密性能 cm2/m2 cm2/m2 cm2/m2
換気回数 回/h 回/h 回/h
換気方式
⑨気密性  
 
 

⑩備 考※

※外的要因と思われる事実があった場合は、⑩備考欄に記録(例:隣にクリーニング店あり)
出典:旧建設省建築研究所 官民連帯共同研究プロジェクト「健康的な居住環境形成技術の開発」室内環境実態調査部会報告書(平成13年1月)

関連情報記録シート

0.事前確認等の段階で調査した内容以外の、より詳細な内容について調査を行う場合、この記録シートを利用する。この他、JIS A 1960:2015附属書Dも参考となる。

記録者          

0.建築図面    □あり    □なし
1.建物データ
(1)住戸の位置(集合住宅の場合)
住戸位置:□中間 □端部

(2)周辺状況(2㎞以内)
立地:□郊外 □都市域 □都心
交通量:□多い □少ない
地域:□小規模工場がある場合(種類       距離      )
大気汚染源:□なし □あり (種類       距離      )
土壌汚染:□なし □あり (                   )
日当たり:□よい □ふつう □悪い
通風:□よい □ふつう □悪い
その他:特記事項 (                           )

(3)改修の有無
最近3ヶ月以内に改修したか□しない □した(内容:                        )
最近3ヶ月以内に家具を購入したか□しない □した(種類・個数・使用室:                 )
2.対象室データ
(1)窓データ(建築図面に記述があれば不要)
室名
材質
サッシ
ガラス
気密性
大きさ
方位

(2)加湿器
室名
種類
台数
使用状況設定   %設定   %設定   %設定   %設定   %

(3)その他の空気汚染物質・化学物質の使用状況
室名
種類
使用状況

出典:旧建設省建築研究所 官民連帯共同研究プロジェクト「健康的な居住環境形成技術の開発」室内環境実態調査部会報告書(平成13年1月)

平面図 (図面を入手することが望ましい。その中に次の事項を適宜記入すること。)

記入事項
□方位 □各室の面積 □天井の高さ □窓の種類 □サンプリング位置 □暖冷房設備 □換気設備 □室内仕上げ □家具

平面概要のスケッチ
出典:旧建設省建築研究所 官民連帯共同研究プロジェクト「健康的な居住環境形成技術の開発」室内環境実態調査部会報告書(平成13年1月)

調査結果の考え方

  • 家具や生活用品の材料、室内の濃度測定など、現場での詳細な調査結果から、化学物質による室内空気汚染の原因として、以下のようなケースに分けて考えることができる。
    化学物質の発生源が特定でき、発生源となっている建材を交換あるいは除去することが可能である場合。
    化学物質の発生源が特定できない、または多岐にわたり室内全体が対策の対象となる場合。
    家具や生活用品、開放型暖房器具の使用や喫煙等の生活習慣など、生活由来が原因と考えられる場合。
    換気不足が原因と考えられる場合。

使用する検査機器

測定法と使用する検査機器の整理表
検査物質 精密法 簡易法
標準法
(アクティブ法)
パッシブ法

分析方法
ホルムアルデヒド系 DNPH誘導体化固相吸着/溶媒抽出-高速液体クロマトグラフ法による 取り扱いが容易で、その場で測定結果が得られる機器による測定方法であり、検知管法、検知紙法、低電位電解法等がある。
JIS A 1962 JIS A 1963
揮発性有機化合物
(VOC)系
固相吸着-溶媒抽出-ガスクロマトグラフ/質量分析法による
JIS A 1968 JIS A 1969
固相吸着-加熱脱着-ガスクロマトグラフ/質量分析法による
JIS A 1966 JIS A 1967

使用する検査機器
ホルムアルデヒド系 試料採取装置(捕集装置、流量計、ポンプ、ガスメータ等)、高速液体クロマトグラフ装置 パッシブ型採取機器(バッジ型・チューブ型(TEA含浸シリカゲル式DNPH含浸シリカゲル式))、高速液体クロマトグラフ装置 検知管法機器、検知紙・試薬、低電位電解法機器
JIS A 1962 JIS A 1963
揮発性有機化合物
(VOC)系
試料採取装置(捕集装置、流量計、ポンプ、ガスメータ等)、ガスクロマトグラフ質量分析装置 パッシブ型採取機器(バッジ型チューブ型)、ガスクロマトグラフ質量分析装置
JIS A 1966
JIS A 1968
JIS A 1967
JIS A 1969
共通の機器
温湿度計
資料1 化学物質について
汚染物質には様々なものがあるが、本資料においては厚生労働省が室内濃度指針値(引用9)を定めている13物質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカン、クロルピリホス、フェノブカルブ、ダイアジノン、フタル酸ジ-n-ブチル及びフタル酸ジ-2-エチルヘキシル)について取り上げる。
引用9
  • 「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書」
    第6回~第7回、8回~9回のまとめについて(厚生労働省)より

参考22
(*15)CAS番号:アメリカ化学会の機関であるCASが個々の化学物質もしくは化学物質群に付与している登録番号

(*16)空気(主に窒素、酸素等の混合物である)と比較したときに、同体積の気体がどれだけ重いかの指標になる。この値が大きいほど空気に比べて重くなる。

(*17) (International Agency-for-Research on Cancer)はWHOに所属する国際的ながんの研究機関で、物質の発がん性について以下のグループ分けを行っている。
グループ1:ヒトに対して発がん性を示す
グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性を示す
グループ2B:ヒトに対して発がん性を示す可能性がある
グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない
グループ4:ヒトに対しておそらく発がん性を示さない
①ホルムアルデヒド
濃度指針値 100μg/m3(0.08ppm)
別称(参考22) ・オキシメチレン  ・オキソメタン
・ホルマリン    ・メタナール 
・メチルアルデヒド ・メチレンオキサイド
CAS番号(*15) 50-00-0
一般的な性質 無色で刺激臭を有し、常温ではガス体である。水によく溶け、35~37%の水溶液はホルマリンとして知られている。分子量は30.03であり、常温での蒸気密度(*16)は約1.07である。これは、空気と比較してほぼ同じ重さである。
主な用途と推定される発生源 合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に用いられる尿素(ユリア)系、メラミン系、フェノール系等の合成樹脂や接着剤の原料となるほか、一部ののり等の防腐剤や繊維の縮み防止加工剤等、さまざまな用途の材料として用いられている。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、合板や内装材等の接着剤として使用されているユリア系、メラミン系、フェノール系等の接着剤からの放散(未反応物もしくは分解物)である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である(木製家具、壁紙、カーペット等)。また、喫煙や石油やガスを用いた暖房器具の使用によっても発生する可能性がある。
健康影響 短期暴露では0.08ppmあたりに臭いの検知閾値があるとされ、これが最も低い濃度での影響である。0.4ppmあたりに目の刺激閾値、0.5ppmあたりに喉の炎症閾値があるとされ、3ppmでは目や鼻に刺激が起こり、4~5ppmでは流涙し呼吸器に不快感が生じる。31ppmあたりで重篤な症状が起こり、104ppmあたりでは死亡する。IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す(グループ1)(参考22)」と分類されている。
②アセトアルデヒド (*18)アセトアルデヒドについては、厚生労働省が定めた指針値はWHOの指針と算定方法は異なっている。
濃度指針値 48μg/m3(0.03ppm)(*18)
別称 ・エタナ―ル   ・エチルアルデヒド
・酢酸アルデヒド 
CAS番号 75-07-0
一般的な性質 純品は無色の液体で刺激臭があり、薄い溶液では果実様の芳香がある。その臭気の閾値は90μg/m3との報告がある。分子量は44.1で、常温における蒸気密度は約1.5、蒸気圧は98.6kPaであり、揮発性は高い。空気より重いが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 エタノールの酸化により生成され、ヒト及び高等植物における中間代謝物でもあるため、様々な食物やアルコールを含むもの、またヒトそのものも発生源になり得る。また、喫煙により発生することも知られている。ホルムアルデヒド同様一部の接着剤や防腐剤に使用されている他、写真現像用の薬品としても使用される。
健康影響 いわゆる二日酔いの原因物質の一つとして知られる。蒸気は目、鼻、のどに刺激がある。目に侵入すると結膜炎や目のかすみを起こす。長期間の直接接触により発赤、皮膚炎を起こすことがある。高濃度蒸気の吸入による中毒症状として、麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等があり、初期症状は慢性アルコール中毒に似ている。IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す可能性がある(2B)(参考22)」と分類されている。
③トルエン
濃度指針値 260μg/m3(0.07ppm)
別称 ・トルオールン  ・フェニルメタン
・メチルベンゼン
CAS番号 108-88-3
一般的な性質 トルエンは無色でベンゼン様の芳香を持つ、常温では可燃性の液体。分子量は92.13で、常温での蒸気圧(*19)は約2.9kPa、蒸気密度は約3.1である。従って揮発性は高いが、空気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、通常は対流によって拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。 (*19) 一般的に化学物質の揮散のしやすさは、沸点と蒸気圧を指標に判断されるが、建材等からの物質の揮散は蒸発によるものであるので、この値を指標とする方が適していると考えられる。一般的には値が大きいほど揮散しやすいとみなされる。
主な用途と推定される発生源 接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、通常は他の溶剤と混合して用いられる。アンチノッキング剤として、ガソリン中に添加されることがある。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、内装材等の施工用接着剤、塗料等からの放散である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。
健康影響 労働環境における許容濃度(*20)として100ppmが勧告されている。480ppbあたりに臭いの検知閾値があるとされる。高濃度の短期暴露で目や気道に刺激があり、精神錯乱、疲労、吐き気等、中枢神経系に影響を与えることがある。また意識低下や不整脈を起こすことがある。生物学的半減期は約6時間前後と推定されている。また、比較的高濃度の長期暴露により、頭痛、疲労、脱力感等の神経症状へ影響を与えることがあり、心臓に影響を与え不整脈を起こすことがある。
IARC(*17)で「ヒトに対する発がん性について分類できない(3)(参考22)」とされている。
(*20) 一般的に、労働者が当該物質に暴露された場合に、空気中の濃度がこれ以下であれば健康影響が見られないとされる濃度で、通常1日8時間、週40時間程度の労働時間中に、肉体的に激しくない労働に従事する場合を想定して定められている。但し、感受性は個々人によって異なるので、この値以下でも、不快、既存の健康影響の悪化、あるいは職業病の発生を防止できない場合があると勧告されている。
④キシレン
濃度指針値 870μg/m3(0.20ppm)
別称 ・キシレン混合体  ・ジメチルベンゼン
・メチルトルエン
・m-キシレン及びp-キシレン
CAS番号 1330-20-7
一般的な性質 無色でベンゼン様の芳香を持つ。市販品はo-,m-,p-の混合物である。常温では可燃性の液体。分子量は106.16で、常温での蒸気圧は約1.3kPa(0.8~2.2kPaの混合)、蒸気密度は約3.7である。従って揮発性は高いが、空気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
主な用途と推定される発生源 接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、通常は他の溶剤と混合して用いられる。キシレンの市販品は通常エチルベンゼンも含んでいる。トルエンと同様、ガソリンのアンチノッキング剤として添加されることがある。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、内装材等の施工用接着剤、塗料等からの放散である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。
健康影響 トルエンと同様、労働環境における許容濃度として100ppmが勧告されている。また高濃度の短期暴露の影響はトルエンと類似している。蒸気はのどや目を刺激し、頭痛、疲労、精神錯乱を起こすことがあるという。200ppm程度の濃度で明らかに目、鼻、喉が刺激され、労働者の中に作業反応時間の延長するものが出るといわれている。生物学的半減期は4~7時間と推定されている。
また、比較的高濃度の長期暴露により頭痛、不眠症、興奮等の神経症状へ影響を与えることがあるといわれている。
IARC(*17)で「ヒトに対する発がん性について分類できない(グループ3)(参考22)」とされている。
⑤エチルベンゼン
濃度指針値 3800μg/m3(0.88ppm)
別称 ・エチルベンゾール ・フェニルエタン 
CAS番号 100-41-4
一般的な性質 無色で特有の芳香を持つ、常温では可燃性の液体。分子量は106.16で、常温での蒸気圧は約0.9kPa、蒸気密度は約3.7である。従って揮発性は高いが、空気より重く、低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
主な用途と推定される発生源 接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、また燃料油に混和して、通常は他の溶剤と混合して用いられる。キシレンの市販品は通常エチルベンゼンも含んでいる。
室内空気汚染の主な原因として推定されるのは、合板や内装材等の接着剤、塗料等からの放散である。建材だけでなく、これらを使用した家具類も同様である。
健康影響 臭い自体は10ppm以下でも感知できるといわれている。短期暴露では、蒸気がのどや目に刺激がある。数千ppmといったかなりの高濃度になると、目眩や意識低下等の中枢神経系に影響がある。また、長期間皮膚に接触すると皮膚炎を起こすことがある。発がん性や生殖毒性が指摘されている。(参考23)
IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す可能性がある(グループ2B)(参考22)」と分類されている。
参考23
⑥スチレン
濃度指針値 220μg/m3(0.05ppm)
別称 ・エテニルベンゼン ・スチレン(モノマー)
・スチロール    ・ビニルベンゼン 
・フェニルエチレン
CAS番号 100-42-5
一般的な性質 無色ないし黄色を帯びた特徴的な臭気のある、常温では油状の液体。分子量は104.14であり、常温での蒸気圧は約0.7kPa、蒸気密度は約3.6である。従って揮発性は高いが、空気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。
しかしながら、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
主な用途と推定される発生源 ポリスチレン樹脂、合成ゴム、不飽和ポリエステル樹脂、ABS樹脂、イオン交換樹脂、合成樹脂塗料等に含まれる高分子化合物の原料として用いられている。これらの樹脂を使用しているもの(断熱材、浴室ユニット、畳心材、人工大理石、化粧合板等の他様々な家具、包装材等)に未反応のモノマーが残留していた場合には、室内空気中に揮散する可能性がある。
健康影響 労働環境における許容濃度として20ppmが勧告されている。60ppm程度で臭気を感じはじめ、200ppmを超えると強く不快な臭いに感じるという。600ppm程度で目や鼻に刺激、800ppm程度になると目や喉に強い刺激を感じ、眠気や脱力感を感じるようになる。
比較的高濃度の長期暴露により、肺や中枢神経系に影響を与え、眠気や目眩を生じることがある。ヒトにおける遺伝子傷害性を示唆する証拠は得られていない。発がん性のおそれがあるとの指摘がある。(参考24)
IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す可能性がある(グループ2B)(参考22)」と分類されている。
参考24
⑦パラジクロロベンゼン
濃度指針値 240μg/m3(0.04ppm)
別称 ・1,4-ジクロロベンゼン ・p-ジクロロベンゼン
CAS番号 106-46-7
一般的な性質 無色又は白色の結晶で特有の刺激臭を有し、常温で昇華する。分子量は147.01で、常温での蒸気圧は約0.17kPa、蒸気密度は約5.1であり、空気より重く、蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、通常は対流により拡散し、空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になると思われる。
主な用途と推定される発生源 家庭内では衣類の防虫剤やトイレの芳香剤等として使用されている。
健康影響 15~30ppmで臭気を感じ、80~160ppmでは大部分のヒトが目や鼻に痛みを感じる。このように高濃度の短期暴露で目、皮膚、気道が刺激される。また、肝臓及び腎臓に影響を与え、機能低下及び損傷を生じることがある。
また、比較的高濃度の長期暴露により、肝臓、腎臓、肺、メトヘモグロビン形成に影響を与えることがある。平成8年11月にマウスに対するがん原生があるという結果が報告されたが、「種特異的な高感受性の結果によるものであり、人へのリスク評価に反映させることは困難である」とされている。
IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す可能性がある(グループ2B)(参考22)」と分類されている。
⑧テトラデカン
濃度指針値 330μg/m3(0.04ppm)
別称 ・n-テトラデカン
CAS番号 629-59-4
一般的な性質 石油臭のある、常温では基本的に無色透明な液体である。凝固点が6℃弱であるため、冬季には固化する可能性がある。分子量は198.39であり、常温における蒸気密度は約6.8、蒸気圧は約0.18kPaである。従って揮発性は他の溶剤に比べると低い。蒸気は空気より重く、高密度の場合は低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 工業的に灯油留分をさらに精製して生産されている。従って灯油は主要な発生源になり得る。また、塗料等の溶剤に使用されることがある。
健康影響 中毒の情報はあまりないが、高濃度では刺激性で麻酔作用があるとされる。皮膚に直接ついた場合、皮膚の乾燥、角化、亀裂を生じることがある。衣服についてそれが長時間皮膚に接触したような場合には接触性皮膚炎を起こすことがある。
⑨クロルピリホス
濃度指針値 1μg/m3(0.07ppb)小児の場合は0.1μg/m3(0.007ppb)
別称 ・チオリン酸O.O‐ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)
・モノチオリン酸O.O‐ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)
・O,O´‐ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)ホスホロチオエート
・O,O‐ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)チオホスファート:チオリン酸O.O‐ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)
CAS番号 2921-88-2
一般的な性質 純品は無色の結晶。分子量は350.6で、常温における蒸気密度は約12、蒸気圧は約2.5×10-6kPaである。前出の化合物と比べると揮発性はかなり低く、空気より重い。残効性がある有機リン系の殺虫剤である。
主な用途と推定される発生源 家庭内では防蟻剤として使用されていた。
(建築基準法の改正により、建築材料に添加しないことが規定され、平成15年7月1日に施行された)
健康影響 有機リン系の殺虫剤であり、アセチルコリンエステラーゼを阻害する。軽症の中毒時の症状として、倦怠感、違和感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、不安感および軽度の運動失調等の非特異的症状、吐き気、嘔吐、唾液分泌過多、多量の発汗、下痢、腹痛、軽い縮瞳があるとされる。重症の急性中毒の場合、縮瞳、意識混濁、けいれん等の神経障害を起こすとされている。
⑩フェノブカルブ
濃度指針値 33μg/m3(3.8ppb)
別称 ・BPMC 
・N-メチルカルバミン酸2-sec-ブチルフェニル
・2-(1-メチルプロピル)-フェニル-N-メチルカルバマート
・N-メチルカルバミン酸-2-ブチルフェニル
・N-メチルカルバミン酸-2-sec-ブチルフェニル
CAS番号 3766-81-2
一般的な性質 純品は無色の結晶でわずかな芳香臭がある。分子量は207.3で、常温における蒸気密度は約7.1、蒸気圧は1.6Paであり、揮発性は低い。蒸気は空気より重く、低部に滞留する性質があると考えられるが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 水稲、野菜などの害虫駆除に用いられるが、家庭内では防蟻剤として用いられている。防蟻剤用として特化した製品は、高濃度で揮発しないようマイクロカプセル化されており、土壌に適切に処理された場合、室内への放散は低いものと思われる。
健康影響 カーバメート系の殺虫剤であり、有機リン系と同様にアセチルコリンエステラーゼを阻害する。ただし、作用機序は異なっており、非可逆的抑制剤である有機リン系と異なりコリンエステラーゼの阻害作用は可逆的である。
高濃度蒸気や粉塵の吸入による中毒症状として、倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、腹痛などを起こし、重症の場合は縮瞳、意識混濁等を起こす。皮膚に付着すると、紅斑、浮腫を起こすことがある。
⑪ダイアジノン
濃度指針値 0.29μg/m3(0.02ppb)
別称 ・チオリン酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル)
・モノチオリン酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-4-メチル-6-ピリミジニル)
・2-イソプロピル-4-メチルピリミジル-6-ジエチルチオホスファート(別名ダイアジノン);チオリン酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル)
・O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-4-メチル-6-ピリミジニル)ホスホロチオエート
・O-(2-イソプロピル-4-メチルピリミジル)-6-ジエチルチオホスファート;チオリン酸O,O-ジエチル-O-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ピリミジニル)(別名ダイアジノン)
CAS番号 333-41-5
一般的な性質 純品では弱いエステル臭を持つ、無色の常温ではやや粘ちょう性の液体である。分子量は304.35であり、常温における蒸気密度は約10.5、蒸気圧は約1.2×10-6kPaである。従って揮発性は低い。蒸気は空気より重く、高濃度では低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 主に殺虫剤の有効成分として用いられる。
健康影響 有機リン系の殺虫剤であり、アセチルコリンエステラーゼを阻害する。具体的な中毒症状についてはクロルピリホスの項と同様である。
IARC(*17)で「ヒトに対しておそらく発がん性を示す(グループ2A)(参考22)」と分類されている。
⑫フタル酸ジ-n-ブチル
濃度指針値 220μg/m3(0.02ppm)
別称 ・ジブタン-1-イル=フタラート
・ジブチル-o-フタラート
・フタル酸ブチル
・ベンゼン-1,2-ジカルボン酸ジブチル
・ベンゼン1,2ジカルボン酸ジブチル
・1,2-ベンゼンジカルボン酸ジブチルエステル
・DBp
・n-ブチルフタラート
CAS番号 84-74-2
一般的な性質 無色~微黄色の特徴的な臭気がある、常温では粘ちょう性の液体である。分子量は278.3であり、常温における蒸気密度は約9.6、蒸気圧は0.01kPa未満である。従って揮発性は高くないが、空気より重く、高濃度の蒸気は低部に滞留する性質があると考えられる。しかしながら、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 主に塗料、顔料や接着剤に、加工性や可塑化効率の向上のために使用されている。
健康影響 高濃度の短期暴露で、目、皮膚、気道に刺激を与えることがある。誤飲により吐き気、目眩、目の痛み、流涙、結膜炎が見られたという報告がある。長期暴露の影響ははっきりしていない。
⑬フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
濃度指針値 120μg/m3(7.6ppb)
別称 ・ビス(2-エチルヘキサン-1-イル)=フタラート
・ジ-2-エチルヘキシル=フタラート
・フタル酸ジオクチル
・フタル酸ジオクチル(Dop)
・フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
・ベンゼン1,2ジカルボン酸ジオクチル
・DEHP ・DOP
CAS番号 117-81-7
一般的な性質 無色~淡色の特徴的な臭気がある、常温では粘ちょう性の液体である。分子量は390.5であり、常温における蒸気密度は約13.45、蒸気圧は約0.001kPaである。従って常温ではほとんど揮発しない。上記にあるように蒸気密度は空気よりかなり重いが、通常は低濃度で拡散した空気との混合気体になっており、相対的に空気と同じ密度になる。
主な用途と推定される発生源 代表的な可塑剤として、壁紙、床材、各種フィルム、電線被覆等様々な形で汎用されている。
健康影響 工場等における事故的な高濃度の短期暴露で、目、皮膚、気道に刺激を与えることがある。消化管に影響を与えることがある。反復または長期間の接触により皮膚炎を起こすことがある。
IARC(*17)で「ヒトに対して発がん性を示す可能性がある(グループ2B)(参考22)」と分類されている。

資料2 化学物質の室内濃度の測定方法

住宅やビルの室内濃度と指針値との比較を行うためには、実際に室内空気中の化学物質濃度の測定を行うことが必要である。室内空気中の化学物質濃度を測定する方法として、厚生労働省が「標準的な測定方法(標準法)」を定めている。また、住宅性能表示制度では、標準法または「パッシブ型採取機器による測定方法(パッシブ法)」のいずれかの方法により化学物質濃度を測定することとしている。(パッシブ法に対し、標準法は「アクティブ法」と呼ばれることもある。)詳細はJIS A 1960~1969を参照のこと。

(1)標準的な測定方法

測定位置(空気の採取位置)は居室の中央付近で床からおおむね1.2m~1.5mの高さとし、以下の手順で測定する。測定時間は30分である。
この方法は、測定機器がやや大がかりで複雑になるので、専門的な知識や経験が少ない方には適当な方法ではない。

(2)パッシブ型採取機器による測定方法

パッシブ型採取機器には、バッジ型のものやチューブ型のものなどがあり、標準的な方法に比べると測定時間は長くなるが、分析方法については標準法と同じである。
長時間の測定のため安定的な測定値が得やすく、測定回数も一回で十分である。また、測定機器の取り扱いが容易であることも特徴である。
測定位置は、居室の中央付近で床からおおむね1.2m~1.5mの高さとし、以下の手順で測定する。


参考 「改正建築基準法に対応した 建築物のシックハウス対策マニュアル」(国土交通省住宅局建築指導課、国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、シックハウス対策マニュアル編集委員会、編集) 平成19年7月 p129~130

図1バッジ型(丸型)サンプラの例

 図2 チューブ型サンプラの例
引用 「JIS A 1963:2015(室内空気中のホルムアルデヒドの定量-パッシブサンプリング)」附随書A 図A.2,図A.3(一財)日本規格協会発行

(3)その他の測定方法(簡易法)

標準法やパッシブ法のほか、取り扱いが容易で、その場で測定結果が得られる機器による測定方法を「簡易法」と呼んでいる。ホルムアルデヒドの測定については、検知管方式、検知紙方式、電気化学方式などがある。検知管方式、検知紙方式は試薬や紙の色の変化、電気化学方式は数値で読み取る。
最近はVOC(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等)の測定を行うことのできるものも市販されてる。
簡易法は、測定結果がすぐにわかるというメリットがある反面、機器によっては精度上の問題があること等により、安定した測定値を得ることが難しいため、その特性をよく理解した上で使用することが必要である。
例えば、簡易法はおよその目安を測定するためだけに使用し、その結果、濃度が高いと推定される場合には、標準法またはパッシブ法でより正確な値を測定する、といった手順が望ましいと言える。
なお、ビル管法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)によるホルムアルデヒドの測定方法としては、標準法ないしはパッシブ法のほか、簡易法の一部の機器の使用も認めている。

資料3 建材のホルムアルデヒド放散量に関する規格

(1)日本農林規格(JAS)

対象品目:普通合板、構造用合板、化粧ばり構造用合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板、構造用パネル、木質系フローリング、単板積層材、構造用単板積層材のホルムアルデヒドの放散量による区分は以下のとおりである。(コンクリート型枠用合板についてはF☆☆☆☆は設定されていない)

*20℃のガラスデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内の蒸留水に吸収された濃度。

合板の日本農林規格:最終改正 平成28年8月30日
フローリングの日本農林規格:最終改正 平成25年11月28日
構造用パネルの日本農林規格:最終改正 平成25年11月28日
単板積層材の日本農林規格:最終改正 平成28年8月30日

対象品目:集成材、構造用集成材のホルムアルデヒドの放散による区分は以下のとおりである。

*20℃のアクリルデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内の蒸留水に吸収された濃度。

集成材の日本農林規格:最終改正 平成28年8月30日

対象品目:直交集成板のホルムアルデヒドの放散による区分は以下のとおりである。

*20℃のアクリルデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内の蒸留水に吸収された濃度。

直交集成板の日本農林規格:制定 平成28年8月30日

(2)日本工業規格(JIS)

①MDF(JIS A 5905(繊維板):2014)、パーティクルボード(JIS A 5908:2015)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。(いずれもJISマーク品)

*20℃のガラスデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内の蒸留水に吸収された濃度。(JIS A 1460:2015(建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法-デシケーター法)による。)

②壁紙(JIS A 6921:2014)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。

*23℃のガラスデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内ーの蒸留水に吸収された濃度。

③壁紙施工用及び建具用でん粉系接着剤(JIS A 6922:2010)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。

*23℃のガラスデシケーター内に一定量の試料を24時間放置した際、デシケーター内の蒸留水に吸収された濃度。

④床仕上材用接着剤(JIS A 5536:2015)、木れんが用接着剤(JIS A 5537:2003)、壁・天井ボード用接着剤(JIS A 5538:2003)、発泡プラスチック保温板用接着剤(JIS A 5547:2003)、造作用接着剤(JIS A 5549:2003)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑤セラミックタイル張り内装用有機系接着剤(JIS A 5548:2015)、酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤(JIS K 6804:2003)、水性高分子-イソシアネート系木材接着剤(JIS K 6806:2003)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。(外装タイル張り用有機系接着剤(JIS A 5557:2010)は、ホルムアルデヒド放散の規定が設定されていない。)


⑥建築用仕上塗材(JIS A 6909:2014)のうち内装用の仕上塗材でユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂及びホルムアルデヒド系防腐剤のいずれも使用していないもののホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑦人造鉱物繊維保温材(JIS A 9504:2011)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑧建築用断熱材(JIS A 9521:2014)のうち、グラスウール断熱材、ロックウール断熱材及びフェノールフォーム断熱材のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑨建築用断熱材(JIS A 9521:2014)のうち、インシュレーションファイバー断熱材、ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材、押出法ポリスチレン断熱材、硬質ウレタンフォーム断熱材及びポリエチレンフォーム断熱材のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑩吹込み用繊維質断熱材(JIS A 9523:2016)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑪発泡プラスチック保温材(JIS A 9511:2009)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑫アルミニウムペイント(JIS K 5492:2014)、合成樹脂調合ペイント(JIS K 5516:2014)、フタル酸樹脂エナメル(JIS K 5572:2010)、一般用さび止めペイント(JIS K 5621:2008)、鉛・クロムフリーさび止めペイント(JIS K 5674:2008)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑬建物用床塗料(JIS K5970:2008)のホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑭ニトロセルロースラッカー(JIS K 5531:2003)、ラッカー系シーラー(JIS K 5533:2003)、ラッカー系下地塗料(JIS K 5535:2003)、塩化ビニル樹脂エナメル(JIS K 5582:2003)、合成樹脂エマルションペイント及びシーラー(JIS K 5663:2003)、合成樹脂エマルション模様塗料(JIS K 5668:2010)、アクリル樹脂系非水分散形塗料(JIS K 5670:2008)、家庭用屋内壁塗料(JIS K 5960:2003)で、ホルムアルデヒド系防腐剤、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂及びメラミン系樹脂のいずれをも含まないもののホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


⑮つや有合成樹脂エマルションペイント(JIS K 5660:2008)、合成樹脂エマルションパテ(JIS K 5669:2008)で、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ユリア・メラミン共縮合樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂及びホルムアルデヒド系防腐剤のいずれをも含まないもののホルムアルデヒド放散による区分は、以下のとおりである。


資料4 告示対象建材等について

(1)告示対象建材

ホルムアルデヒドを発散するおそれのある建材で内装仕上げへの使用が制限される建材について、建築基準法令(告示)において17品目の建材が定められており、これらの建材は告示対象建材と呼ばれている。各建材は、ホルムアルデヒドの発散速度によってF☆☆☆☆、F☆☆☆などの4等級に区分され、その等級はJISやJASによる等級表示や国土交通大臣の認定書により確認できる。

告示対象建材の種類(引用1)

(2)告示対象外建材

告示対象建材以外の建材(告示対象外建材)は、ホルムアルデヒドの発散がほとんど認められないことから、面積の制限を受けることなく、居室の内装材として使用することができる。また、告示対象外建材であっても、事業者団体等の表示制度を用いてホルムアルデヒドに関する発散区分の表示を行なっているものもある。

*参考文献:「住宅づくりのためのシックハウス対策ノート 平成18年版」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
*参照告示
平14国交告 第1113号 第1種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件(最終改正 平成27年6月4日)
平14国交告 第1114号 第2種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件(最終改正 平成27年6月4日)
平14国交告 第1115号 第3種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件(最終改正 平成27年6月4日)

資料5 VOC(トルエン・キシレン等)に対する配慮について

ホルムアルデヒドに関しては建築基準法により、建材の使用制限と機械換気設備の設置という形で明確に規制され、また建材の規格についても日本工業規格や日本農林規格で定められているが、それ以外のVOC(トルエン・キシレン等)については、法令による規制や建材に関する規格等が定められていない。
しかし、シックハウス対策としては、これらVOCに対する配慮も必要であるため、ここでは、現時点で明らかになっている、建材を選択する際のVOCに対する配慮事項として挙げられている内容を示す。

(1)VOC(トルエン、キシレンなど)に対する配慮事項について

①VOCが発散する可能性のある主な建材としては
塗料
接着剤
壁紙
仕上塗材等による塗壁
断熱材
などがある。
②これらの建材を選択する場合の配慮事項としては、住宅を供給する事業者がメーカーから入手できる「安全データシート(SDS)」によって、建材に含有する化学物質の成分を確認し、極力、VOCの含有量が少ないもの、あるいは含有していないものを選択する、という方法がある。
③また、住宅の設計者や施工者が建材を選択する際に、直接メーカーに問い合わせをして、VOCの発散の少ない建材を確認する、そういった建材の開発等に関する情報を収集する、という方法がある。
④塗料や接着剤を内装に用いる場合には、極力水性系のものや無溶剤系のものを選択し、溶剤系のものは耐水性などの性能が必要な場所に限るようにする。
建材の選択の際にVOCに配慮したかどうかについては、これらの点を調査する。

(2)VOC(トルエン、キシレンなど)への対策

建築基準法により、新築住宅におけるホルムアルデヒド対策はかなり明確になった。この規定に従って設計施工を行えば、通常の条件(建築基準法では所要の換気の確保と室内温度28℃で相対湿度50%を想定)であれば、室内のホルムアルデヒド濃度は厚生労働省の指針値(0.08ppm)を超えることはないであろうと考えられる。
一方、VOC(トルエンやキシレンなど)に関する対策については建築基準法等の規定がなく、どのように設計や施工をすればいいかということがまだ明確ではない。設計者や施工者は現時点で入手しうる知見にもとづいて、室内のVOC濃度をできるだけ低くする方策を採用するように努力する必要がある。
VOCのなるべく少ない建材を選択するときに目安とできるのは以下のような点である。
VOCをほとんど含んでいないことがわかっている建材を選択する。
例えば、建築基準法の告示対象になっていない建材で、ムクの木材類、金属板類、コンクリート類、窯業建材(ガラス・タイルなど)類、石材類、無機系ボード(せっこうボード、ケイカル板など)類、無機系塗壁(漆喰、プラスターなど)類。
事業者団体の規格に適合している建材を選ぶ。
例えば、事業者団体の規格に適合している建材として
  • 塗料、木質系ボードでエコマークを取得しているもの
  • 壁紙では、 (一社)日本壁装協会のISM 規格や壁紙工業会のSV 規格に適合しているもの
  • 塗料では、(一社)日本塗料工業会の「低VOC塗料自主表示ガイドライン 低VOC塗料(溶剤形)」や「室内環境対策の自主表示ガイドライン 非トルエン・キシレン塗料」に適合するとして自主表示しているもの
  • 床材では、インテリアフロア工業会の「インテリアフロア工業会自主基準」に適合するものとして表示されているもの
  • (一財)建材試験センターを事務局として策定された「建材からのVOC 放散速度基準」(4VOC:トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)に関する適合証明を受けている建材
などがある。
SDS(安全データーシート)により確認する。
Safety Data Sheetの略で、建材に含まれる化学物質の成分と含有比率を示すシート。大部分の建材にはSDSが用意されているので、それをメーカーから取り寄せることで、その建材に含まれる化学物質を調べることができる。それをもとにVOCの少ない建材を選択することも可能である。
以上のような方策をとったとしても、室内に存在している建材以外の様々なものから化学物質が放散される可能性があり、その結果として室内のVOC濃度が厚生労働省の指針値を超える場合もある。
(「住宅づくりのためのシックハウス対策ノート 平成18年版」(シックハウス対策ノート編集委員会監修、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)p39~p47参照)

資料6.用語解説

アクティブ法、パッシブ法
アクティブ法は標準法ともいい、ポンプを用いて強制的に一定流量の空気を捕集管に通し、試料を採取する方法である。一方、パッシブ法は、簡易法ともいい、動力を使わず室内の自然の気流の状態で試料を採取する方法である。
アレルギー性疾患
外部からの刺激(抗原:アレルゲン)と生体を守ろうとする抗体が結合(反応)して抗原の働きを止め、無毒化する反応を抗原抗体反応というが、この疾患は、激しい抗原抗体反応によって起こる疾患のことである。
例:皮膚及び粘膜に見られるアレルギー性疾患
  • 皮膚:アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎
  • 粘膜:花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息
ABS樹脂
ABSは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの頭文字で、これらの3物質の「共重合体」と呼ばれる樹脂である。熱可塑性(熱を加えると柔らかくなって、変形後もその形を保持する性質を持つ)樹脂に分類される。長期間使用でき、衝撃に強い、成形しやすい等の特徴があるため、自動車、家電製品、プリンターやパソコン等の機器、外装材や建材、玩具などに広く用いられている。
FF式ストーブ
室外から吸気し、燃焼ガス(一酸化炭素や窒素酸化物等)も室外へ排気する密閉型ストーブのことである。その中でも吸気部に小型のファンを付け、強制的に通風し壁から離れた位置にも設置可能なものをFF式燃焼機器という。
エマルション塗料
 塗料の主成分である油や樹脂を水中に乳化した塗料である。一般に互いに混合しない液体の一方が微細化し、他方の液体中に分散して乳化した液体のことをエマルションと呼ぶ。
エマルションは分散媒である水が脱却することにより、エマルション粒子が凝集・融着して連続した皮膜を形成する。
有機溶剤の代わりに水を使った水性塗料なので、人への健康や地球環境に悪影響を及ぼすことが少ないといえる。
エマルションは、その他にも接着剤、食品、化粧品、油剤などさまざまな分野で広く利用されている。
SDS(安全データシート)
SDS(Safety Data Sheet)とは、化学物質およびそれらを含有する製品(指定化学物質等)の物理化学的性状、危険有害性、取扱上の注意等についての情報を記載した安全データシートのことである。JIS Z 7253:2012(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS))に従って作成される。ただし、平成28年12月31日までは、JIS Z 7250:2010(化学物質等安全データシート(MSDS)-内容及び項目の順序)に従って作成してもよいこととなっている。
平成11年7月に公布、平成13年に施行(最終改正:平成14年12月)されたPRTR法(略称を「化学物質管理促進法」)において、政令で指定された指定化学物質等を取り扱う事業者(指定化学物質等取扱事業者)には、化学物質の人の健康や環境への悪影響をもたらさないよう化学物質等を適切に管理する社会的責任があることから、指定化学物質等を他の事業者に譲渡・提供するときは、その相手方に対してSDSの提供が義務付けられている。住宅生産者や購入者は、このシートの提出をメーカーに対して求めることができる。ただし、現状では、含有量1%未満の物質についてはSDSに記載する必要がない。
MDF
ミディアムデンシティファイバーボードのことで、木材などの植物繊維を原料とし、合成樹脂接着剤を加え、成型熱圧した密度0.35g/cm3以上の板のことをいう。断面は繊維がぎっしりつまり平滑で表裏面ともほぼ同様の平滑性をもっている。
開放型ストーブ
燃焼に室内の空気を使用し、燃焼ガス(一酸化炭素や窒素酸化物等)も室内に排気する開放型のストーブ。
化学物質過敏症
最初にある程度の量の化学物質に暴露されて、一旦過敏症になると、その後極めて微量の同系統の化学物質に対しても過敏症状をきたすものがあり、化学物質過敏症と呼ばれている。化学物質との因果関係や発生機序については未解明な部分が多く、今後の研究の発展が期待されている。
可塑剤
ポリ塩化ビニル等の材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくするために添加する物質である。その主成分は酸とアルコールから合成されるエステル化合物で、その代表的なものがフタル酸を使ったエステル化合物である。
感作性物質
生体がある物質に対して反応性を高めるように操作するような働きをもつ物質のこと。
具体的には、生体に抗原を投与して、同じ抗原の刺激に対し強く反応する免疫状態や、アレルギー症状の中で生命の危険をもたらすような反応を起こりやすくさせるような物質のことをいう。
揮発性有機化合物(VOC)
Volatile Organic Compoundsの略称で、空気中に揮発する有機化合物全体を指すものである。
しかし、範囲が広く漠然としているので、WHOでは室内空気汚染の観点から有機化合物の沸点をもとにVOCを定義している。
計画換気
計画換気とは、常時出入り口を明確にして必要な量の新鮮空気を取り入れ、汚れた空気を排出することである。その方法として機械換気と自然換気がある。自然換気の場合は、室内外の温度差や風の強さ・向き等によって換気量が左右され、一定の換気量が確保できない場合があるので、計画の際の十分な考慮が必要である。
高速液体クロマトグラフ法・ガスクロマトグラフ法
クロマトグラフは、複雑に混合した状態で存在している多数の微量有機化合物を細かく分離して、個々の化合物の存在量を調べることを可能する装置を利用した分析方法で、精密測定では一般的に用いられている方法である。クロマトグラフ法は大きな面積を有する固定相と呼ばれる部分と、これに接して流れる移動相との間に、分離すべき成分を分配させる物理的な方法である。成分が含まれた試料が液体状か気体状かの違いにより液体クロマトグラフ法とガスクロマトグラフ法に分類される。
自然換気
自然換気は、室内外温度差に基づく空気の密度差を利用する重力換気と、風圧力を利用する風力換気とに分けられる。自然換気は、自然力に依存しているため、動力を必要としないという利点はあるが、条件によっては期待される換気量を確保できない場合があるので、採用する際にはその点を考慮する必要がある。
シックハウス症候群
住宅の気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築・改築後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染により、居住者の様々な体調不良が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれている。(厚生労働省による参考定義)
全般換気と局所換気
全般換気は、希釈換気とも呼ばれ、汚染源から室内へ放出された汚染質を、室内空気を排出することにより室外に排出する換気方法で、家全体を常時換気する。一方、局所換気は汚染された部分を局所的に換気する方法で、住宅ではレンジフードが代表的なものである。
第1種換気から第3種換気
換気の種類には以下の3つがある。
第1種機械換気(機械給排気型):機械給気と機械排気を用いる換気システムで、熱交換器や冷暖房システムとの組合せが可能である。特徴として確実な換気量が確保できることがあげられる。
第2種機械換気(機械給気型):機械給気と適当な自然排気口との組合せで構成される換気システムで、一般的に外気取入れ口に空気清浄機が設置される。このシステムを使用する場合、室内が正圧となる。したがって、壁体内に結露が生じる可能性が高くなるので、その点の対応を考えておく必要がある。
第3種機械換気(機械排気型):機械排気と適当な自然給気口を組合せることによって構成される換気システムである。この換気方式を使用する場合には、住宅の気密性を高めることが必要である。
単板積層材
合板は単層の板(単板)を繊維方向に交互にクロスさせて重ね合わせているが、単板積層材は主として繊維方向を平行にして重ね合わせ接着したもので、平行合板あるいはLVLとも呼ばれている。強度・寸法の安定性、長尺製品が得られることなどの特徴からおもに骨組材(棒状製品・軸材)として使用される。
TVOC
TVOC(Total Volatile Organic Compounds)は、JIS A 1965:2015において、「吸着管Tenax TAでサンプリングした場合の、水素炎イオン化検出器又は質量分析計を用いて無極性のキャピラリーカラムでn-ヘキサンとn-ヘキサデカンの範囲で溶出・検出される、クロマトグラムピーク面積の合計をトルエン相当量に換算した値としている。なお、サンプリング方法や分析方法に依存することを考慮すること。」と記載されている。現在、わが国では、室内空気質のTVOCについては、暫定目標値として 400μg/m3とされている。この数字は、現時点で得られる室内VOC実態等の調査結果を最大限活用し、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した空気質の状態の目安で、毒性学的見地から求めた値ではない。
登録住宅性能評価機関
住宅性能表示制度を利用する方に対して、住宅性能評価を行い、住宅性能評価書の交付を行う機関のことで、国土交通大臣の資格審査を経て、登録された機関のみが登録住宅性能評価機関となる。
住宅性能評価は、国土交通大臣が定める評価方法基準に従って行う。具体的な内容としては、設計図書の評価と「設計住宅性能評価書」の交付、 現場での3回以上の中間検査と竣工時の完成検査の計4回以上の検査と「建設住宅性能評価書」の交付である。この2つの評価書には「住宅性能表示マーク」が付けられる。このマークは、登録住宅性能評価機関が適正に評価した時以外は、付けることが禁じられている。
日本住宅性能表示基準に基づく特定測定物質
日本住宅性能表示基準において、厚生労働省で指針値が定められている化学物質のうち、濃度表示を申請した場合に、測定することが定められている化学物質のことで、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンをさしている。このうち、ホルムアルデヒドは必ず測定することが定められており、他の4物質は申請者が選択することができる。
特定建材
日本住宅性能表示基準(平13国交告1346号)に定義され、評価方法基準(平13国交告1347号)第5の6-1(2)イに規定されている。日本工業規格(JIS)及び日本農林規格(JAS)において、ホルムアルデヒドの放散量によって等級が定められ表示等が実施されている材料で、パーティクルボード、MDF、合板、構造用パネル、フローリング、集成材、単板積層材、壁紙、塗料、接着剤、保温版、断熱材、仕上塗材等をさしている。平14国交告1113号に規定される告示対象建材と同等である。
パーティクルボード
木材の残廃材、建築解体材、小径木などを原料とし、細かく切削した木材の小片に合成樹脂接着剤を加え、高温、高圧で成形したものである。木材の方向性をなくし狂いを防ぐ目的で作られたものである。
ppmとμg/m3
ppmというのは化学物質の量を体積として示した単位で、空気の体積1000Lに対して100万分のいくつに当るかを示したものである。たとえば、ホルムアルデヒド0.01ppmとは、空気1000Lに対して0.01mLとなる。一方、μg/m3は空気の体積1m3あたりの化学物質の量を重量で示したものである。気体の体積は、温度が高くなると増加するため学術的にはmg/m3やμg/m3という単位が用いられる。ホルムアルデヒドの場合、空気室温25℃で換算すると0.1mg/m3は約0.08ppmとなる。
複合フローリング
木質系材料からなる床板であり、表面加工その他所要の加工を施したもので、合板や集成材などの木質材料を基材としている。表面に木材の薄板を張り合わせたもの(天然木化粧)と合成樹脂オーバーレイ、塗装、プリントなどの加工を施したもの(特殊加工化粧)とに分類される。
モノマー
構造中に鎖が連なるように、多数の繰り返しの単位を含む高分子量化合物のことをポリマーといい、その製品はプラスチック、合成繊維などと呼ばれている。これに対しモノマー(単量体)とは、ポリマーを合成する際の原料となる低分子化合物のことをいう。ポリマーは化合物同士が固く結びあっており、安定した状態ということができるが、モノマーは他の化合物のモノマーと反応する性質があるため、不安定な状態であり、これが室内へ放散する原因となる。
有効開口面積
換気上有効な面積。自然換気の場合、換気量Qと開口部前後差圧⊿Pの間に
Q=αA √(2/ P・⊿P)
の関係があるときのαAをいう。
Aは開口面積、αは流量係数で、大開口ではα=0.6~0.7となる。
開口部前後の流れの抵抗により、実開口面積よりも小さくなる。改正前の品確法では、見なし規定として測定によらない場合の開口部のαAを実開口面積をAとして1/4Aとすることを許容していた。