調査方法編

外壁のひび割れ・欠損(はがれ・浮きを含む)(モルタル・タイル張り)

1.外壁のひび割れ・欠損(はがれ・浮き)とは

外壁のひび割れとは、外壁の表面に部分的な割れが発生することをいう。
コンクリートやモルタルでは、乾燥収縮によるある程度のひび割れは、材料の特性から避けられないものであり、コンクリートやモルタルの表面に細かいひび割れとして発生する。これらの細かいひび割れを一般にヘアクラック(髪の毛のような細かくて長いひび割れ)という。

これに対して建物の歪みや不同沈下等に伴い生じる構造クラックのほか、モルタルの品質や施工不良により生じる有害なひび割れがある。
参考1
  • 「欠陥住宅被害救済の手引」全訂三版 (日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編集、(株)民事法研究会発行)
RC建築物の屋外面のひび割れの例(引用1)
外壁の欠損とは、外壁の一部が欠け損ずることをいう。
外壁のひび割れや欠損(以下、「ひび割れ等」という。)は、雨水の浸入、または外壁の構造耐力の低下の原因となる可能性もあるので、注意を要する。
外壁仕上材(モルタル・タイル)のはがれや浮き(以下、「はがれ等」という。)の不具合事象が進行し、ひび割れ・欠損につながることがある。
また、かぶり厚さ不足の場合は、鉄筋の錆によりコンクリートのひび割れ・欠損につながることもある。ここで取り上げるひび割れ等は、構造材がコンクリートで、仕上材がモルタルまたは施工現場で張付けるタイル張りの場合とする。
引用1
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針 2013」p70((公社)日本コンクリート工学会編集、発行)

2.発生原因

(1)
適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微なひび割れ等
適切な設計・施工が行われていても、コンクリートやモルタルの乾燥収縮により軽微な外壁のひび割れ(ヘアクラック)等は発生することがある。
(2)
基礎の沈下等
基礎が何らかの理由で沈下した場合や、外壁が何らかの理由で傾斜した場合、これらに連動して外壁のひび割れ等が発生することがある。
(基礎の沈下の発生原因は[基礎の沈下]を参照
外壁の傾斜の発生原因は[外壁の傾斜]を参照)
(3)
不適切な外壁の設計
外壁の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、外壁のひび割れ等につながることがある。
<柱、大梁、小梁、壁>([外壁の傾斜-2]を参照)
柱・大梁・小梁・壁のコンクリート及び鉄筋の規格
柱・大梁・小梁・壁の断面寸法等
柱・大梁・小梁・壁の配筋方法
<外壁のひび割れ・はがれ防止対策>
鉄筋のかぶり厚さ
外壁仕上材等(※)の選択
ひび割れ誘発目地の入れ方
打継ぎ目地の入れ方
伸縮調整目地の入れ方
補強筋の入れ方
傾斜した外壁のはく離防止対策
外壁仕上材等:外壁仕上材、下地材
(4)
不適切な外壁の施工等
外壁の施工段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、外壁のひび割れ等につながることがある。
<柱、大梁、小梁、壁>([外壁の傾斜-3]を参照)
(材料)
柱・大梁・小梁・壁のコンクリート及び鉄筋の品質
(施工)
柱・大梁・小梁・壁の断面寸法等
柱・大梁・小梁・壁の配筋方法
型枠・支保工の組立て方法
コンクリートの打込み・締固め
コンクリートの養生
工事中の一時的な過荷重の積載
<外壁仕上材等>
(材料)
外壁仕上材等の選択
外壁仕上材等の品質
(施工)
ひび割れ誘発目地、打継ぎ目地、伸縮調整目地
下地処理
下地調整層
外壁仕上材等の養生
タイル目地
傾斜した外壁のはく離防止対策
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

-1 ひび割れ等の損傷状況の確認

調査の視点

  • 適切に設計・施工された外壁であっても、コンクリートやモルタルの乾燥収縮に起因するひび割れ等は発生することがある。
  • ひび割れ等は、目視で確認したひびの形状・位置等から外力の種類、発生の経緯等が類推できる場合がある。
  • 表面に仕上材(モルタル・タイル)がある場合には、仕上材部分のみのひび割れ等で、外壁コンクリート自体は損傷していない場合もある。
  • ひび割れ等の形状や発生状況等を把握し、不具合の程度を確認する。

調査方法

1.目視確認

(1)調査方法

  • 目視等により、外壁のひび割れ等の形状・位置等を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.打音診断(仕上材のある場合)

(1)調査方法

  • ひび割れ等が生じている周辺部を打診用ハンマーまたはタイル用テストハンマーで軽く叩き、打撃音の変化で仕上材の浮きの有無を確認する。仕上材の浮きの範囲を立面図等に記録する。

(2)注意事項等

  • タイル仕上げにエフロレッセンス(白華現象)が発生している場合は、タイルの浮きが生じている可能性が高いため、その部分の浮きの有無を確認することが重要である。
  • 赤外線サーモグラフィ装置を用いた方法と併用する場合は、打音診断により健全部分とはく離部分を設定し、その部分が明確に温度差を生じることを赤外線サーモグラフィ装置で確認してから、本格的な調査を行うことが重要である。(引用2)
引用2
  • 「特定建築物定期調査業務基準(2016年改訂版)」p109((一財)日本建築防災協会編集・発行)

3.ひび割れ幅および貫通などの有無の測定

(1)調査方法

  • ひび割れ部にクラックスケールまたはルーペをあて、ひび割れ幅(ひび割れ方向に直交する幅)を測定する。
  • 必要に応じて一部仕上材をはがし、外壁コンクリートのひび割れ等の状況を観察する。
  • コンクリートの表裏面が観察できる場合は、表面と裏面のひび割れパターンが一致しているかどうかをもって貫通の有無を確認することができる。

(2)注意事項等

  • タイル仕上げ等の場合には、外壁コンクリートのひび割れ位置と仕上材のひび割れ位置が異なる場合があり、貫通の有無が確認できない場合もあるので注意を要する。
  • 原則として補修を必要としないわずかなひび割れでも、進行性のものについては注意を要するため、必要に応じて、ひび割れ幅、長さの変動状況の成長過程を観察し、ひび割れ等の進行状況を定期的に確認する。(期間は6ヶ月~1年)(参考3)
参考2
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の耐久性向上技術」(絶版)p50~52(建設大臣官房技術調査室監修、(財)国土開発技術研究センター編、技報堂出版(株)発行)

ひび割れ先端位置を記録する方法(例)(引用3)
  • ひび割れ幅は温度や湿度によって変化するため、ひび割れ幅の変動を測定する場合は、測定時の温・湿度条件をできるだけ同じようにすることが望ましい。(参考3)
引用3
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p27解説図-2.3.1(b)(公社)日本コンクリート工学会編、発行
参考3
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p16~28 (公社)日本コンクリート工学会編、発行

調査結果の考え方

  • 外壁のコンクリートのひび割れ幅が大きい場合は、コンクリートの品質あるいは構造にかかわる問題に起因するひび割れの可能性があり、外壁コンクリートのひび割れ幅が小さい場合は、乾燥収縮等による「通常起こり得るひび割れ」である可能性がある。ただし、これらはひび割れの位置・形状等も勘案して判断する必要がある。
  • ひび割れ等の形状が下記のような場合には、発生原因を推察することが可能である。
45°方向の斜めに入ったひび割れの場合は、地震による大きなせん断荷重によるひび割れ等である可能性もある。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
①(引用4)
コンクリートの打重ね箇所にひび割れが生じている場合は、先に打ったコンクリートが凝結を始め、後から打ったコンクリートとの間に不良な打重ね面が生じた可能性がある。(コールドジョイントという。)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
②(引用5)
柱や梁等の中心部付近において、その材軸方向にほぼ平行なひび割れが生じている場合はアルカリ骨材反応によるひび割れの可能性がある。壁等で、亀甲状のひび割れが生じている場合はアルカリ骨材反応によるひび割れの可能性がある。寒冷地の場合にはアルカリ骨材反応によるひび割れまたは凍結融解作用によるひび割れ等の可能性がある。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
③(引用4)
引用4
  • 「鉄筋コンクリート造のひび割れ対策(設計・施工)指針・同解説(2002)」p100,p104((社)日本建築学会編集、発行)
引用5
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の耐久性調査・診断および補修指針(案)・同解説」p42((社)日本建築学会編集、発行)
柱や梁で周辺を拘束された壁にある開口部の入隅部に斜めにひび割れが生じている場合は、乾燥収縮あるいは温度変化によるひび割れ等の可能性がある。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
④(引用5)
帯筋やあばら筋など鉄筋の位置に沿ったひび割れは、かぶり厚さ不足等が誘発する鉄筋腐食(錆)の膨張圧(体積膨張に伴う内圧)によるひび割れ等の可能性がある。

自然現象によって建物に加わる一方向への不可避な強制変形もある。例えば、建物最上階端部で生ずる強制変形による八の字型のひび割れの原因は屋上スラブの日射による膨張によって生じるひび割れ等の可能性がある。また、建物1階端部で生ずる強制変形による逆八の字型のひび割れの原因は外気温低下に伴う建物地上部全体の冷却収縮によるひび割れ等の可能性がある。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
⑥(引用6)
面積の大きい壁で、縦に生じている場合や、端部に生じている場合は、乾燥収縮によるひび割れ等の可能性がある。

引用6
  • 鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)((社)日本建築学会編集、発行)
参考4
  • 「土地・建物の不具合」p195((財)不動産適正取引推進機構編集、㈱東洋書店発行)
参考5
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の耐久性向上技術」(絶版)(建設大臣官房技術調査室監修、(財)国土開発技術研究センター編、技報堂出版(株)発行)
  • 打音診断の結果、他の部分と明らかに異なる音がした場合には、仕上材と外壁コンクリートとの間に浮きがある可能性が高いと考えられる。
    外装接着剤張りでは、タイルと接着剤との接着状態が施工の良否の重要な判断材料になる。タイル裏面への接着剤の接着率が60%以上、かつ、タイル全面に均等に接着していること(引用7)が判断基準とされている。
    「住宅の調査と補修 -平成28年度版
    住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
外装接着剤張りにおける接着面積の例(引用7)
引用7
  • 「建築工事標準仕様書・同解説 JASS19 陶磁器質タイル張り工事(2012)」p163(4.4.2 b.)、p164 (4.4.2 解説写真4.2~4.9)、p165(4.4.3 b.) ((一社)日本建築学会編集、発行)
  • 仕上材と外壁コンクリートは常に変形を生じており、変形の差(相対ムーブメント(ディファレンシャルムーブメントともいう。))によりはく離を生じさせる。その代表的な要因に下記のものがある。
    ①温冷ムーブメント: 塗られたモルタル等に太陽の直射熱や、昼と夜の繰返しの温度変化に伴い伸縮、反り等の変形挙動がおきる。
    ②乾湿ムーブメント: 塗られたモルタル等に雨水や湿分の影響で乾燥と湿潤の相互の繰返し変化による伸縮、反り等の変形挙動がおきる。
参照
  • (一社)日本左官業組合連合会ホームページ
    「リフォーム事例集(外装の不具合)【1】劣化のメカニズム」
    ホームページ

使用する検査機器

1-2 外壁の傾斜の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>については[外壁の傾斜 1]の該当項目に準ずる。

外壁の設計内容の確認

2-1 外壁コンクリートの設計内容の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>については、[外壁の傾斜 2]の該当項目に準ずる。

2-2 外壁のひび割れ・はがれ防止対策の確認

調査の視点

  • 外壁仕上材等のひび割れ等は、ひび割れ・はがれ防止対策が行われていれば軽減することは可能であるため、設計段階において適切なひび割れ防止対策が行われているかを確認する。

調査方法

1.ひび割れ・はがれ防止対策の設計内容の確認

確認のポイント
鉄筋のかぶり厚さ(a)
外壁仕上材等の選択
ひび割れ誘発目地の入れ方
打継ぎ目地の入れ方
伸縮調整目地の入れ方
補強筋の入れ方
傾斜した外壁のはく落防止対策

(1)調査方法

  • 設計図書(設計図、仕様書等)を対象として、上記の<確認のポイント>に沿って、外壁仕上材等のひび割れ・はがれ防止対策が適切に行われているかを確認する。なお、適切であるかの検討にあたっては、住宅金融支援機構監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」、日本建築仕上学会「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」、その他の仕様書、基準等が参考となる。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を以下に列記する。
    鉄筋のかぶり厚さ(a)
    • 最小かぶり厚さ(※1)の設定値
    • 設計かぶり厚さの設定値
      (設計かぶり厚さ:最小かぶり厚さ+施工誤差(※2))
      ※1
      最小かぶり厚さ:鉄筋コンクリート部材の各面、またはそのうちの特定の箇所において、最も外側にある鉄筋の満足すべきかぶり厚さ。(引用8)
      ※2
      施工誤差:かぶり厚さのばらつきに対する割増しで、「公共建築工事標準仕様書」、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事」等が参考となる。一般的には10㎜程度である。
    外壁仕上材等の選択
    • コンクリート面の下地処理、下地調整の仕様
    • モルタルの調合
    • タイルの種類、寸法、あり足形状
    • タイル張り下地モルタルの調合
    • タイル張付けモルタルの調合
    • タイル張り接着剤の品質(※3)
    • モルタル塗り工程、工法
    • タイル張り工程、工法
      ※3
      「住宅の調査と補修 -平成28年度版
      住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
    ひび割れ誘発目地の入れ方
    • ひび割れ誘発目地の寸法
    • ひび割れ誘発目地の位置
    打継ぎ目地の入れ方
    • 打継ぎ目地の寸法
    • 打継ぎ目地の位置
    伸縮調整目地の入れ方
    • 伸縮調整目地の寸法
    • 伸縮調整目地の位置
    補強筋の入れ方
    • 補強筋の径・長さ
    • 補強筋の位置
    傾斜した外壁のはく落防止対策(参考12)
    • 防水層の下地モルタルの塗厚
    • 防水層上の外壁仕上材等のずれ防止仕様
    • 防水層の下地モルタルとの接着を考慮した仕様
    • 連続する一般外壁との防水層の納まり状況
    • 伸縮調整目地の位置

(2)注意事項等

  • 凍害のおそれのある地域の場合、設計時にモルタル、コンクリートの調合や、タイルの仕様の選択が適切であったか、その他の凍害防止のための必要な対策を講じていたかを確認する。
建築基準法関連
a.
建基法令第79条
参考6
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」p53(5)((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考7
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考8
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)」P8、p94((社)日本建築学会編集、発行)
参考9
  • 「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」(絶版)(日本建築仕上学会編集、㈱技術書院発行)
参考10
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5 鉄筋コンクリート工事2015」((一社)日本建築学会編集、発行)
参考11
  • 「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説 2010」3.1 設計かぶり厚さ((社)日本建築学会編集、発行)
引用8
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5 鉄筋コンクリート工事2015」p5((一社)日本建築学会編集、発行)
引用9
  • 「建築工事標準仕様書・同解説 JASS19 陶磁器質タイル張り工事」p153 4.1.1 b.(2012)
    ((一社)日本建築学会編集、発行)
参考12
  • 「まもりすまい保険設計施工基準・同解説」p73(2012)
    (住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構(株)編集、発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、設計段階で適切な対策が行われていない場合は、材料の品質等が原因で外壁仕上げ等のひび割れ等が発生している可能性が高い。
    鉄筋のかぶり厚さ
    外壁仕上材等の選択
    ひび割れ誘発目地の入れ方
    伸縮調整目地の入れ方
    打継ぎ目地の入れ方
    補強筋の入れ方
    傾斜した外壁のはく落防止対策
参考13
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)」p8,p94(社)日本建築学会編集、発行)

使用する検査機器

  • 特になし
外壁の施工状況等の確認

3-1 外壁コンクリートの施工状況等の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>については、[外壁の傾斜 3]の該当項目に準ずるほか、以下の確認を行う。

調査の視点

  • ひび割れ等を誘発する不適切な施工が行われていないかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

2.目視等による施工状況等の確認

外壁の傾斜-3の①~⑦に準ずるほか③については以下による)

(1)調査方法

柱、大梁、小梁、壁の配筋方法
1)
鉄筋のかぶりの厚さ(参考14)
  • 豆板や錆汁の漏出の有無、コンクリート表面の鉄筋模様の有無等を目視にて確認する。
  • かぶり部分のコンクリートが密実であるか、有害な打込み欠陥がないかを目視にて確認する。
  • 必要に応じて、ひび割れ等の発生部分を中心に、鉄筋探査機(電磁誘導法や電磁波レーダ法、X線法等)による非破壊試験またはドリル穿孔等の微破壊試験を行い、かぶり厚さを確認する。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
柱における所定のかぶり厚さが不足する例(引用10)

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
かぶり厚さの不足が発生しやすい柱・梁接合部分の例(引用10)





参考14
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(上巻)」p480(6.9.6(c))(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)

引用10
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事(2015)」p387(解説図11.3a、11.3b)、p388(解説図11.4a)(一社)日本建築学会編集、発行)
2)
開口部および最下階・最上階の建築物端部に設けられた補強
  • 鉄筋探査機(かぶり厚さ測定機能付き)にて、開口部回りおよび建築物端部に設けられた外壁の最下階・最上階のひび割れ等の発生部分を中心に、かぶり厚さ、配筋状況等を確認する。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
建築物両端の斜めひび割れ(引用11)
建築物両端スパンに設ける
補強筋(ダブル配筋)の例(引用11)

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
開口部の斜めひび割れ(引用11)

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
誘発目地による開口部の
斜めひび割れ対策の例(引用11)
誘発目地がない場合の
開口部補強の例(引用11)

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
鉄筋による開口補強要領
溶接金網・鉄筋格子による開口補強要領
壁開口補強の例(引用12)
参考15
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)」p94~99(社)日本建築学会編集、発行)
引用11
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)」p97解説図4.3、4.4、p98 解説図4.5、4.6、p153解説図6.5(d)の(1)(社)日本建築学会編集、発行)
参考16
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(上巻)」p410~p416(6.6.4)、p477(6.9.4)(5)(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
引用12
  • 「鉄筋コンクリート 造配筋指針・同解 説( 2010 )」p232 d.(a)(b)((一 社)日本建築学会 編集、発行)
コンクリートの打込み・締固め
1)
豆板(ジャンカ)・空洞
  • コンクリートの欠損、豆板および空洞の状況を目視にて確認する。
  • 欠損部等の位置が豆板や空洞の生じやすい箇所(壁や柱の下の部分、開口部下部の腰壁、鉄筋が混んでいる箇所、鉄骨フランジ下など)である場合は、状態の確認範囲を必要に応じて拡大する。(参考16)
豆板の程度(引用13)
豆板の程度
なし
表面的に軽微であり、粗骨材はたたいても落ちない。
粗骨材は互いに強く結ばれていて、たたくと落ちるものもあるが、連続的にバラバラに落ちることはない。内部には大きな空洞はない。
内部にも空洞が多くなる。粗骨材がセメントペーストでまぶされたような状態で露出し、表面から内部まで、粗骨材相互がわずかの部分のみで連結されているような状態である。
豆板の程度(A~D)により補修方法が異なる。
2)
コールドジョイント
  • コールドジョイントが生じた部分は、豆板や空洞を伴っていないか目視にて確認する。
  • 豆板や空洞が確認された場合には、必要に応じコールドジョイントに沿って同様の不具合がないか確認する。
(2)
注意事項等
  • 鉄筋探査機による検査で得られた数値だけで、鉄筋径、配筋状況、かぶりの厚さを判断するのは難しいため、注意を要する。
引用13
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(上巻)」p478表6.9.3(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)

調査結果の考え方

  • ひび割れ等が生じている部分周辺のかぶり厚さが、建築基準法施行令第79条の規定に満たない場合、さらに設計図書の指示に従っていない場合は、かぶり厚さが確保されていないことによるひび割れ等である可能性が高い。また、かぶり厚さが極端に大きい場合は、かぶり厚さ過多によるひび割れ等である可能性がある。
    <参考:建基法令>
    (鉄筋のかぶり厚さ)
    第79条 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁または床にあっては2㎝以上、耐力壁、柱またははりにあっては3㎝以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははりまたは布基礎の立上がり部分にあっては4㎝以上、基礎(布基礎の立上がり部分を除く。)にあっては捨てコンクリートの部分を除いて6㎝以上としなければならない。
  • 開口部回りにひび割れ等が発生しており、周囲に乾燥収縮や応力に対する適切な補強が行われていない場合は、開口部の配筋補強不足によるひび割れ等である可能性が高い。
  • かぶり厚さが確保され開口補強が適切になされている場合であっても、コンクリートの品質・養生等について、設計どおりの選択がなされていない場合、養生方法や期間が守られていない場合等は、各部位の所要の品質が得られないこと等が原因で外壁のひび割れ等が発生している可能性がある。
建築基準法関連
a.
建基法令第79条

使用する検査機器

3-2 外壁仕上材等の施工状況等の確認

調査の視点

  • ひび割れ防止に係る工事が、設計どおりに行われているかを確認する。
  • ひび割れ等を誘発する不適切な施工が行われていないかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
(材料)
外壁仕上材等の選択
外壁仕上材等の品質
(施工)
ひび割れ誘発目地、打継ぎ目地、伸縮調整目地
下地処理
下地調整層
外壁仕上材等の養生
タイル目地
傾斜した外壁のはく落防止対策

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)及び建設住宅性能評価関連図書により、上記<確認のポイント>に沿って把握できる範囲において、施工時に外壁仕上材等に係る以下の項目が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、住宅金融支援機構監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、「建築工事監理指針(下巻)」、日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」、日本建築仕上学会「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。
    (材料)
    外壁仕上材等の選択
    • モルタル塗り工法
    • タイルの種類、タイル張り工法
    外壁仕上材等の品質
    • 吸水調整材の品質
    • モルタルの調合(各塗工程の調合,混和剤の種類)
    • タイル張り下地モルタルの調合(各塗工程の調合,混和剤の種類)
    • 下地調整材の品質
    • タイル張付けモルタルの調合
    • タイル張り接着剤の品質
    • タイルの材質,寸法,あり足形状,目地材質
    (施工)
    ひび割れ誘発目地、打継ぎ目地、伸縮調整目地
    • 各目地の寸法、位置、シーリング材の施工状況、バックアップ材の施工状況
    • シーリング材の品質
    下地処理
    • 粗面仕上げ(サンダー掛け、高圧水洗)
    下地調整層
    • 吸水調整材塗り状況
    • モルタルの塗厚(各工程)
    • つけ送り状況
    外壁仕上材等の養生
    • 外壁仕上材等施工時の天候、気温
    • 凍害対策
    タイル目地
    • タイル目地の目地深さ
    傾斜した外壁のはく落防止対策
    • 躯体精度に対する下地モルタルのつけ送り状況
    • 防水層上の外壁仕上材等のずれ防止状況
    • アンカー周囲の防水処理状況(外壁仕上材等のずれ防止にアンカーを用いる場合)
    • 防水層の下地モルタルとの接着状況
    • 連続する一般外壁との防水層の納め方
    • 伸縮調整目地の寸法、位置、シーリング材の施工状況、バックアップ材の施工状況
    • シーリング材の品質

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視等による施工状況等の確認

(1)調査方法

  • ひび割れ等の発生箇所、形状を目視にて確認し、立面図等に記入する。また、同時に写真撮影し、記録する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考17
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」p53(5)、p139(13.4)、p150(16.3)((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考18
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成25年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)、(一社)公共建築協会発行)
参考19
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(下巻)」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考20
  • 「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2006)」p8,p90((社)日本建築学会編集、発行)
参考21
  • 「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」(絶版)(日本建築仕上学会編集、㈱技術書院発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、適切な施工が行われていない場合は、材料の品質または施工不良が原因で外壁仕上材等のひび割れ等およびはがれ等が発生している可能性が高い。
    (材料)
    外壁仕上材等の選択
    外壁仕上材等の品質
    (施工)
    ひび割れ誘発目地、打継ぎ目地、伸縮調整目地
    下地処理
    下地調整層
    外壁仕上材等の養生
    タイル目地
    傾斜した外壁のはく落防止対策

使用する検査機器

使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。