調査方法編

床のたわみ

1.床のたわみとは

「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」
のCD-ROMをご参照ください
曲げ材のたわみ性状(引用1)
床のたわみとは、床の表面が凹型に変形することをいう。
床のたわみには、家具等が置かれた直後に発生する初期たわみ(初期変形)の他、長期にわたる載荷により次第に増大するクリープたわみ(クリープ変形)、荷重が繰返されるたびに発生する弾性たわみ(繰返し変形)がある。(右図参照)
また、床のたわみを
  • 全体が広い範囲にわたってたわむもの(大たわみ)
  • 歩行等に伴い床が局部的にたわむもの
の2つに分けることができるが、RC造の住宅の床では、後者の局部的なたわみは発生しにくく、前者のタイプのたわみの発生とともに、曲げひび割れ、「床鳴り」や「振動」等他の不具合事象を伴うことが多い。

たわみの概念図
床のたわみは、たわみが生じている部分の水平方向距離(支持間隔)(L)に対する最大たわみ量(たわみの中心)の距離(d)=d/Lで表す。

床の変形として「床のたわみ」とは反対に中央部が凸型に変形する「床のむくり」もまれにあるが、ここでは「床のたわみ」についてのみ対象とする。

2.発生原因

(1)
適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微なたわみ
適切な設計・施工が行われていても、床自体の重量や家具、人等の荷重により軽微なたわみは発生することがある。
(2)
基礎の沈下

(chord作成)
基礎が何らかの理由で沈下した場合、これに連動して床のたわみが発生することがある。(基礎の沈下の発生原因は[基礎の沈下]を参照)
(3)
不適切な床の設計
床の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床のたわみにつながることがある。
スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の規格
スラブ・梁の断面寸法等(床厚さの不足)
スラブ・梁の配筋方法
(4)
不適切な床の施工等
床スラブ、梁の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床のたわみにつながることがある。
(材料)
スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の品質
(施工)
スラブ・梁の断面寸法等
スラブ・梁の配筋方法
コンクリートの打設
コンクリートの養生
支保工の早期取外し
工事中の一時的な過荷重の積載
(5)
不適切な床仕上材等の施工等
床仕上げの工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、床のたわみにつながることがある。
(材料)
床仕上材等(※)の選択
床仕上材等の品質
(施工)
床仕上材等の留付け
床仕上材等:下地材・床材(床仕上材)
(6)
不適切な使用・メンテナンス
居住者の使用に、以下のような不適切な点がある場合には、床のたわみにつながることがある。
重量物(ピアノ、本棚等)の設置等、想定以上の載荷がある。
引用1
  • 「木質構造設計規準・同解説」(2006) p181((社)日本建築学会編集・発行)
参考1
  • 「建築技術1994年12月号」p82(㈱建築技術編集、発行)
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

調査の視点

  • 適切に設計・施工された住宅であっても、軽微な床のたわみは発生することがある。
  • たわみ量を測定し、発生しているたわみの程度を確認する。

調査方法

1.たわみ量の測定

  • 床面が水平面に対してどの程度たわんでいるかを測定する。具体的方法としては、水糸を用いた方法(1-1)、レーザーレベル等を用いた方法(1-2)、勾配計を用いた方法(1-3)が想定される。
  • 発生しているたわみが「歩行等に伴い生じるたわみ」の場合には、測定は荷重をかけた状態(最大たわみの状態)で行う。
  • 測定は、部屋単位を基本として行う。
  • 仕上材に局部的な浮きや反りがある場合は、その部分を測定部位に含まないようにする。
  • カーペット敷きのような床が平滑でない仕上げの場合には、可能な限り仕上材をはがし、平滑な床下地材等の面で測定する。はがすことが不可能な場合は、カーペット等の影響を受けないよう、スケールをあてる部分に硬いプレートを置いて測定する。
  • 積載荷重がある場合は、除荷した状態で測定する。

1-1.水糸を用いた方法

<方法1>

(1)調査方法

たわみがあると想定される部屋の床に対角線上に水糸を張る。
中央又は最もたわんでいると見られる箇所で、床と水糸との垂直の距離を測定する。
上記②の測定値を部屋の短辺方向の水平距離で除し、たわみ量「xx/1000」を算定する。

(2)注意事項等

  • 特になし
<方法2>

(1)調査方法

たわみがあると想定される部分を中心にして、(部屋の壁の線に平行になるように)直交するX軸、Y軸を想定する。
脚部に底板がついて安定した棒(固定具)を2本1組で2組(計4本)用意し、うち2本の固定具の底板の下から5cmの位置に水糸を巻き付ける。
X軸、Y軸方向の部屋の長さを測定し、水糸の総長(2本の固定具間の長さ)はこのそれぞれの部屋の長さより長くなるように用意する。水糸の一方の端部を床から5cmの位置に固定する。

(chord作成)
固定した端部を基点にして、X軸、Y軸に沿って、水糸がたるまないように両側を固定する。
X軸、Y軸の各軸について、最もたわんでいる地点の床と水糸の垂直距離をスケールを用いて測定する。
局部的なたわみと想定される場合は、水糸を短くして、部分的に測定し、その時に使用した水糸の長さを確認しておく。
測定値から5cm引いたものを、部屋の短辺方向の水平距離で除し、たわみ量「xx/1000」を算定する。

(2)注意事項等

  • 部屋の壁際にもたわみが発生している場合は、壁際に沿ってたわみを同様に測定し、上記のたわみに加える。

1-2.レーザーレベル等を用いた方法

(1)調査方法


(chord作成)
たわみがあると想定される部分を中心にして、(部屋の壁の線に平行になるように)直交するX軸、Y軸を想定する。
各軸毎に、両側の向かい合う壁の一方にレーザーレベルを設置し、反対側の壁に投射されたレーザーの中心と床との垂直距離が、レーザーレベルの発射位置の中心と床との垂直距離と同じになるよう調整する。(レーザーレベルの発射位置は、できるだけ床の近くにした方が測定しやすい。)
各軸について、最もたわんでいる地点でレーザーを遮るもの(白い紙等)を垂直に置き、投射されたレーザーの中心と床の垂直距離をスケールを用いて測定する。
測定値からレーザーレベルの発射位置の中心と床との垂直距離を引いたものを、部屋の短辺方向の水平距離で除し、たわみ量「xx/1000」を算定する。

(2)注意事項等

  • レーザーレベルのかわりに、レーザープレーナーを使用して測定することもできる。これらの機器の中には、自動的に水平調節するものもある。この場合は水平面に対する測定値となるため、測定結果を補正する必要がある。

1-3.勾配計を用いた方法

(1)調査方法

たわみがあると想定される部分を中心にして、(部屋の壁の線に平行になるように)直交するX軸、Y軸を想定する。
各軸毎に、両側に向かい合う壁のそれぞれから、たわみの凹部(最も低い地点)までの水平距離を測定する。
測定した水平距離を勾配計の1回の測定可能長さで割り(小数点以下を切り上げ)、測定回数を決める。
②で測定した距離を測定回数で割り、1回で測定する距離を決める。


(chord作成)
②で水平距離を測定した線に沿って、それぞれの壁際からたわみの凹部まで④で決めた測定距離ごとに勾配計をずらしながらたわみを測定する。(最後の1回はたわみの中心から測定する。)
たわみの凹部を挟む両側の傾斜の測定値の平均を1/2し、部屋の短辺方向のたわみ量「xx/1000」を算定する。
調査方法の例
  • 1mの勾配計を使用する場合で測定長②が5.5mであれば、
    5.5÷1=5.5 →切り上げて 6 →6回計測する。
    5.5÷6=0.92 →92cmごとに計測する。
    以上より92cmずつずらして6回測定する。
  • 凹部を挟む両側の3回ずつの測定値が以下の場合、
    *6/1000,4/1000,2/1000 の平均 4/1000
    *6/1000,5/1000,1/1000 の平均 4/1000

(2)注意事項等

  • 特になし

1-4.下階住戸から確認する方法(下階天井が直仕上げの場合)

(1)調査方法

梁のたわみの調査方法(ラーメン構造に適用)
上階でたわみが確認された部分の梁にたわみが生じていないか、目視にて確認する。
たわみの最大地点において、伸縮スケールを床に垂直に立て、伸縮させて天井又は梁下までの高さh1を測定する。
梁の付け根(柱又は大梁に接する部分)等たわみのないと考えられる地点において、伸縮スケールを床に垂直に立て、天井又は梁下までの高さhを測定する。
基本とする天井又は梁下までの高さhからたわみの最大地点の天井又は梁下までの高さh1を引いた値をたわみ量(α=h-h1)として、たわみ量を梁の長さLで除し、たわみ量「xx/1000」(=α/L)を算定する。
スラブのたわみ調査方法(ラーメン構造・壁構造に適用)
たわみがあると想定される部分を中心にして、(部屋の壁の線に平行になるように)直交するX軸、Y軸を想定する。
図面から天井高さを確認する。
部屋の四隅等たわみのないと考えられる地点にて、伸縮スケールを床に垂直に立て、天井高さにあわせる。伸縮スケールの長さを測定し、当該部屋の基本天井高さhを測定する。
たわみの最大地点において、伸縮スケールを床に垂直に立て、伸縮させて天井高さhを測定する。
部屋単位で測定した結果のたわみの最大地点を平面図に記録し、その点の天井高さh1を平面図に記録する。
基本とする天井高さhからたわみの最大地点の天井高さh1を引いた値をたわみ量(α=h-h1)として、たわみ量を部屋の短辺方向の長さLで除し、たわみ量「xx/1000」(=α/L)を算定する。
(chord作成)

スラブのたわみに伴うひび割れの確認(ラーメン構造・壁構造に適用)
  • 上階でたわみが確認された部分の天井スラブ面に右図のようなひび割れが生じていないか、目視にて確認する。

(床スラブ下面)
  • 大きいたわみを生じた床スラブの上面には右図のようなひび割れが生じていることが多いので、目視にて確認する。

(床スラブ上面)

(2)注意事項等

  • ①及び②の測定は、床の水平が確保されていることが測定条件となるので、事前に床の水平性を確認しておく。
  • レーザー距離計を用いて測定することもできる。

調査結果の考え方

  • 測定されたたわみ量については、たわみ制限等に係る資料等を参考にして、不具合の程度の大きさを判断する必要がある。
  • たわみ量が大きい場合は、基礎の沈下や躯体の変形等に起因する床のたわみである可能性がある。
  • たわみ量が小さく、かつ他の不具合事象が確認されない場合は、適切な設計・施工が行われていても発生することがある軽度のたわみである可能性がある。
  • たわみ量を測定した結果、最大たわみの発生位置から原因を推定しておくと、以降の調査が進めやすくなる。
    たわみ量の最大の位置が、床スラブの梁により端部を拘束された面の中央部にある場合は、「床スラブの剛性」に起因している可能性がある。
    たわみ量の最大の位置が、基礎の直上にある場合には、「基礎の沈下」に起因している可能性がある。
参考
曲げ材の最大たわみ量の設定
  • 曲げ材の曲げ剛性が小さい場合に発生するたわみが一定値以上になると、振動しやすくなって居住者に不安感を与えたり、仕上材等にひび割れ等の損傷を与えたりすることから、日本建築学会の『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説』では床スラブのたわみについて、以下のように設定している。
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
:Lxは、「1.床のたわみとは」のL(床の支持間隔)を表す。

引用2
  • 「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 2010年」p259((社)日本建築学会編集,発行)

使用する検査機器

床の設計内容の確認

調査の視点

  • 床スラブ及び梁が適切に設計されているかを確認する。

調査方法

1.スラブ・梁の設計内容の確認

確認のポイント
スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の規格(a.b.c.g.☆1)
スラブ・梁の断面寸法等(b.d.e.g.☆1)
スラブ・梁の配筋方法(b.d.e.f.☆1)

(1)調査方法

  • 設計図書(設計図、仕様書、構造計算書等)を対象として、各部材の仕様、部材の配置、寸法、配筋等が適切であるかを確認する。なお、適切であるかの検討にあたっては、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書により、また住宅金融支援機構監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事」、「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」、その他の仕様書、基準等が参考となる。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を以下に列記する。
    スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の規格
    • セメントの種類
    • 骨材の種類
    • 鉄筋の種類、規格
    • コンクリート種別、設計基準強度及び耐久設計基準強度・単位水量・単位セメント量・水セメント比・混和剤の種類
    • コンクリートのヤング係数、乾燥収縮率および許容ひび割れ幅(設定されている場合)
    スラブ・梁の断面寸法等
    • スラブ厚さ
    • 梁の幅・せい
    • 小梁の位置及びスパン
    スラブ・梁の配筋方法
    • 鉄筋径
    • 床配筋ピッチ
    • 床、主筋・配力筋ピッチ
    • 床主筋・配力筋の継手及び定着長さ
    • 床開口補強
    • 梁、あばら筋ピッチ
    • 梁、主筋の継手及び定着長さ
    • 梁開口補強

(2)注意事項等

  • 各部材の断面計画・部材の配置については必要に応じて構造設計者等に確認する。
建築基準法関連
a.
建基法第37条
b.
建基法令第73条第2項ただし書、第82条第四号、第91条、第97条、
c.
平12建告第1446号「建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料~」
d.
平12建告第1450号「コンクリートの付着、引張り及びせん断~」
e.
平12建告第1459号「建築物の使用に支障が起こらないことを確かめる~」
f.
平12建告第1463号「鉄筋の継手~」
g.
平13国交告第1024号「特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件」
品確法告示
☆1
平13国交告第1347号 評価方法基準 「第5の1 構造の安定に関すること」及び「第5の3 劣化の軽減に関すること」
参考2
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考3
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年(第1版)版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考4
  • 「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010年」((社)日本建築学会編集、発行)
参考5
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5 鉄筋コンクリート工事2015」((一社)日本建築学会編集、発行)
参考6
  • 「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説 2010」((社)日本建築学会編集、発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、適切な設計が行われていない場合は、鉛直力、水平力に対して床スラブ・梁の部材耐力が十分得られないことが原因で、床のたわみが発生している可能性が高い。
    スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の規格
    スラブ・梁の断面寸法等
    スラブ・梁の配筋方法
  • 「②スラブ・梁の断面寸法等」について、スラブ面積が過大な場合は、乾燥収縮等によりスラブ周辺部にひび割れが発生し、剛性不足となることがある。

使用する検査機器

  • 特になし
床の施工状況等の確認

3-1 スラブ・梁の施工状況等の確認

調査の視点

  • 床スラブ及び梁が適切に施工されているかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の品質
スラブ・梁の断面寸法等
スラブ・梁の配筋方法
コンクリートの打設
コンクリートの養生
支保工の早期取外し
工事中の一時的な過荷重の積載

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)及び建設住宅性能評価関連図書により上記<確認のポイント>に沿って把握できる範囲において、床の工事が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、住宅金融支援機構監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、「建築工事監理指針(上巻)」、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」、「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事」、「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。
  • 2 床の設計内容の確認<調査方法>で列記した項目のほか、以下の項目を確認する。
    スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の品質
    • フレッシュコンクリートの試験結果(コンクリートのスランプ、空気量等)
    • コンクリートの強度試験結果
    • 鉄筋ミルシート
    スラブ・梁の配筋方法
    • 圧接部引張強度試験結果
    • 床スペーサー(かぶり厚さ)
    • 垂直部分のスペーサー(かぶり厚さ)
    • 型枠取り外し後のかぶり厚さの検査結果
      (検査が実施されている場合)
    コンクリートの打設
    • 鉄筋の移動
    • 型枠・支保工の剛性・支持の方法
    • 打設状況(打込み速度、落下高さ、締固め方法、打設日の天候、打ち重ね時間等)
    コンクリートの養生
    • 表面乾燥防止策
    • コンクリート打設後5日間の気温
    • 初期凍害防止策
    支保工の早期取外し
    • 型枠・支保工の存置期間及び取外し時期
    工事中の一時的な過荷重の積載
    • 工事中の一時的な過荷重の有無

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視等による施工状況等の確認

(1)調査方法

  • 現場で梁の断面寸法をスケールを用いて測定する。
  • 測定の結果、スラブ厚、梁せいが設計どおりかを確認する。
  • かぶり厚さ不足の兆候がないかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考7
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考8
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考9
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(上巻)」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考10
  • 「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010年」((社)日本建築学会編集、発行)
参考11
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5 鉄筋コンクリート工事2015」((一社)日本建築学会編集、発行)
参考12
  • 「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説 2010」((社)日本建築学会編集、発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、設計どおりの施工が行われていない場合,又は不適切な施工が行われている場合は、床スラブ・梁の部材耐力が十分得られないことが原因で、床のたわみが発生している可能性が高い。
    スラブ・梁のコンクリート及び鉄筋の品質
    スラブ・梁の断面寸法等
    スラブ・梁の配筋方法
    コンクリートの打設
    コンクリートの養生
    支保工の早期取外し
    工事中の一時的な過荷重の積載
  • 上記に該当しない場合、不具合の原因はスラブ・梁ではなく、床仕上材又は下地材にある可能性が高い。
  • 注意事項
    スラブ・梁の断面寸法の調査はスラブに開口等がある場合に限る。詳細なスラブ断面の調査は専門家に依頼する。

使用する検査機器

  • スケール
  • 懐中電灯

3-2 床仕上材等の施工状況等の確認

調査の視点

  • 床仕上材等が適切に施工されているかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
床仕上材等の選択
床仕上材等の品質

(1)調査方法

  • 施工記録(施工状況報告書、材料購入伝票等)及び建設住宅性能評価関連図書により上記<確認のポイント>に沿って把握できる範囲において、床仕上工事が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、住宅金融支援機構監修「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書」、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」、「建築工事監理指針(下巻)」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視等による施工状況等の確認

確認のポイント
床仕上材等の留付け

(1)調査方法

  • 床仕上材等の施工が設計どおりに行われているかを確認する。
  • 床仕上面の釘の浮き等がないか(フローリング等)、接着不良の浮きがないか(ビニル床シート等)を目視にて確認する。
  • 必要に応じ、床仕上材の一部をはがし、材の厚さ・変形や留付け方法(釘のピッチ、種類、釘のゆるみ・浮き等)を目視・計測等により確認する。
  • 床仕上工法別に確認すべき主な項目を以下に列記する。

    <木床組仕上げ>
    施工の状況
    • ころがし根太(大引き)等が床スラブに固定されているか、浮きがないか。
    • 根太のピッチ、寸法、位置が設計どおりか。
    • 木材の腐朽、割れ・欠けがないか。
    <置床仕上げ>
    材料
    • 脚部分の部材寸法・部材の状況・部材の高さに不揃いがないか。
    施工の状況
    • 捨張り合板の寸法・厚さが、設計どおりか。
    • 脚部分の本数,際根太が設計どおりか。
    • 下地材に変形(圧縮)や割れがないか。
    • 床下配管の欠込み等、パネル据付けに不適切な施工がなされていないか。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考13
  • 「鉄筋コンクリート造・鉄骨造等住宅工事仕様書 平成22年改訂」p53(5)、p150(16)((独)住宅金融支援機構監修、(財)住宅金融普及協会発行)
参考14
  • 「公共建築工事標準仕様書 平成28年版」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)
参考15
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(下巻)」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、設計どおりの施工が行われていない場合、又は不適切な施工が行われている場合は、床仕上材等の施工不良が原因である可能性が高い。
    床仕上材等の選択
    床仕上材等の品質
    床仕上材等の留付け
  • 「②床仕上材等の品質」について、木床組下地の木材の乾燥が不十分な場合は、材と材の間に隙間を生じ、床のたわみが発生している可能性が高い。

使用する検査機器

  • スケール
使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」によるほか、以下の確認を行う。

調査の視点

  • 床の傾斜は、床が支持できる許容範囲を超える重量の載荷(過荷重)が原因である場合も考えられるため、設計時に想定された積載荷重と実際に当該床に設置された重量とを比較検証する。

調査方法

1.設計段階で設定した荷重の確認

  • 床の設計段階で、荷重をどのように設定したかを確認する。具体的には、設計図書等や設計者に確認する。

(1)調査方法

設計図書等により、設定した荷重の数値を確認する。
設計図書等が不備であったり、判定できない場合は、設計者に設定した荷重の数値を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.目視確認

(1)調査方法

たわみが発生している部分に、重量物が設置されているかを確認する。
重量物がある場合には、製品カタログ等により、重量(㎡当たり)を確認する。

(2)注意事項等

  • 重量物が置かれていない場合でも、過去に置かれていたかを確認する。

3.除荷後のたわみ量の測定

  • 床が支えることのできる許容範囲を超える載荷(過荷重)が原因であるかを確認するために、重量物が許容範囲を超える可能性がある場合は、その重量物を移動し、その後の床のたわみ量を測定する。

(1)調査方法

重量物が比較的容易に移動できる場合には、重量物を取り除いた上で、 <調査方法>1-1により、床のたわみ量の測定を再度行う。
測定は方法1により、直後と1時間後の2回実施する。さらに6時間後、1日後、2日後…と必要に応じて一定期間毎に観察を行う。
床のたわみの変化が概ね止まった時点で、詳細な方法( <調査方法> 1-2)により測定する。

(2)注意事項等

  • 設計荷重と比べて、載荷重量の方が小さい場合でも、必要に応じて重量物を除荷して床のたわみの状況を観察する。

調査結果の考え方

  • 設計の段階で荷重の条件設定が行われているが、想定以上の荷重があった場合は「不適切な使用」が原因である可能性が高い。
  • 重量物の移動後、たわみ量が大幅に軽減する場合(時間の長短は問わない)は、床の設計・施工ではなく、「不適切な使用」が原因である可能性が高い。
  • 重量物移動後、たわみ量が軽減しない場合には、「不適切な使用」が原因である可能性があるほか、重量物が直接の原因でなく、他に原因がある可能性もある。

使用する検査機器

  • 特になし(測定時は に準ずる)
外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。