調査方法編

外壁仕上材のはがれ・浮き(サイディング張り)

1.外壁仕上材のはがれ・浮きとは

外壁仕上材のはがれ・浮きとは、留付金具・ビス・釘等によって、下地材に張り付けられた乾式の外壁仕上材が、下地材から離れ、隙間が生じることをいう。
はがれは仕上材の端部から順にはく離が始まるのに対し、浮きは、端部ではなく、外壁仕上材の中央部に空隙を生じることをいう。
また、ここで取り上げる「外壁仕上材のはがれ・浮き」はサイディング張り自体のはがれ・浮きを想定している。そのため、窯業系サイディング下地に張るタイルのはがれ・浮きは対象としない。外壁仕上材がモルタル塗りの場合は「外壁のひび割れ、欠損」に包含するものとする。

2.発生原因

(1)
外壁の傾斜等
外壁が何らかの理由で傾斜した場合等、これに連動して外壁仕上材のはがれ・浮きが発生することがある。
(外壁の傾斜の発生原因は[外壁の傾斜]を参照)
(2)
不適切な外壁仕上げの設計
外壁の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、外壁仕上材のはがれ・浮きにつながることがある。
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
外壁仕上材の割付け、支持方法
(3)
不適切な外壁仕上材の施工等
外壁仕上工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、外壁仕上材のはがれ・浮きにつながることがある。
(材料)
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の品質
(施工)
外壁仕上材の割付け、支持方法
下地材の施工
想定される外壁の構成の例
サイディング・横張り・金具留め

通気留付金具工法の場合(引用1,一部加筆)

留付工法は、次の3工法がある。このうち、形鋼下地に木製の通気胴縁を留め付ける工法とした場合は、防火認定上「木造下地の扱い」となり、ロ準耐2号などの不燃構造にならない。
1) 通気留付金具による金具留め
2) 通気胴縁を用いる金具留め
3) 通気胴縁を用いるくぎ留め
引用1
  • 「窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)」p40(NPO法人住宅外装テクニカルセンター監修、日本窯業外装材協会発行)
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

調査の視点

  • 外壁仕上材のはがれ・浮きの形状や発生状況を把握し、不具合事象の程度を確認する。

調査方法

1.目視等による確認

(1)調査方法

  • 目視、触診等により、はがれ・浮きの発生箇所、程度等を確認する。
  • 留付金具・ビス・釘等の浮きがないかを確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.外壁の傾斜の有無の確認

(1)調査方法

  • 必要に応じ、はがれ・浮きが発生している部分の傾斜の有無を確認する。<詳細は[外壁の傾斜 ]に準ずる。>

(2)注意事項等

  • 特になし

3.外壁のひび割れの有無の確認

(1)調査方法

  • 目視にて外壁仕上材のはがれ・浮きが生じている部分および周辺に、ひび割れが生じているか否かを確認する。
    <詳細は[外壁のひびわれ・欠損 ]に準ずる。>

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 外壁仕上材のはがれ・浮きの程度が軽いことや、外壁下地材に要因がないことが確認された場合は、外壁仕上材やその施工に起因している可能性がある。
  • 外壁の傾斜、ひび割れが確認された場合は、外壁仕上材ではなく、外壁下地構成材やその施工に起因している可能性がある。

使用する検査機器

外壁の設計内容の確認

調査の視点

  • 「外壁仕上材のはがれ・浮き」が、外壁仕上材に起因する可能性が高いことを前提とし、外壁仕上材の仕様等が設計段階で適切に選定されているかを確認する。(外壁下地構成材に起因する可能性が高い場合は、[外壁の傾斜 2]、[外壁のひび割れ・欠損 2]参照)

調査方法

1.外壁仕上材等の仕様の確認

確認のポイント
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
外壁仕上材の割付け

(1)調査方法

  • 外壁仕上材の種類、規格(JIS規格等)、割付け、支持方法を確認し、下地材も含め、日本建築センター「外装構法耐震マニュアル-低層住宅用―」、製造業者の仕様等を参考にして適合性を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考1
  • 「外装構法耐震マニュアル-低層住宅用-」(建設省住宅局建築指導課・日本建築主事会議監修、(財)日本建築センター編集・発行)

調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、適切な設計が行われていない場合は、外壁仕上材の選択の不良や設計不良が原因で、外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。
    外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
    外壁仕上材の割付け、支持方法
  • 外壁仕上材の割付位置である目地が、柱・間柱の位置に設けられていない場合、開口部周辺に小幅物が設けられている場合等は、割付不良により外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。

    <参考1>
    外張断熱工法において、柱から外装材までの距離が断熱材及び通気胴縁の厚さ分だけ長くなるため、通気胴縁が垂れ下がり外壁の傾斜が起こり得る。これは留付け材の種類、留付け間隔等留付け方法が原因であることが考えられる。(参考3)

    <参考2>(引用2)
参考2
  • 「外装構法耐震マニュアル―低層住宅用―」p40,p43(建設省住宅局建築指導課・日本建築主事会議監修、(財)日本建築センター編集・発行)
参考3
  • 外壁断熱工法における外装支持耐力特性に関する研究 (社)日本建築学会北海道支部研究報告集No.81(2008年6月)

引用2
  • 「外装構法耐震 マニュアル―低層住宅用―」p40(建設省住宅局建築指導課・日本建築主事会議監修、(財)日本建築センター編集・発行)

使用する検査機器

  • 特になし
外壁仕上材の施工状況等の確認

調査の視点

  • 「外壁仕上材のはがれ・浮き」が、外壁仕上材に起因する可能性が高いことを前提とし、外壁仕上材が適切に施工されているか等を確認する。
    (外壁下地構成材に起因する可能性が高い場合は、[外壁の傾斜 3]、[外壁のひび割れ 3]参照)

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の品質
外壁仕上材の割付け、支持方法

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)および建設住宅性能評価関連図書により、上記<確認のポイント>に沿って、把握できる範囲において、外壁仕上材に係る以下の項目が、設計通どおりに行われているかを、日本建築センター「外装構法耐震マニュアル―低層住宅用―」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。
    外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択
    • 仕上材の種類、規格(JIS規格等)、製造業者の仕様等
    外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の品質
    外壁仕上材の割付け、支持方法
    • 製造業者の仕様等
    • 設計および製造業者の仕様等に基づく指定割付け

(2)注意事項等

  • 特になし
参考3
  • 「外装構法耐震 マニュアル ―低層住宅用―」(建設省住宅局建築指導課・日本建築主事会議監修、(財)日本建築センター編集・発行)

2.目視等による施工状況等の確認

確認のポイント
下地材の施工

(1)調査方法

  • 目視等により不適切な施工が行われていないかを現場において確認する。
  • 必要に応じ、外壁仕上材のはがれ・浮きが生じている部分の一部をはがし、下地の留付け状況、下地の施工精度等を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 「①外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の選択」について、外壁仕上材の材種・材厚に対応した製造業者の仕様等に指定されている金物・ビス・釘等の長さ・仕様・本数が選択されていない場合は、留付金具・ビス・釘等の選択不良により外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。

参考(参考4)
留め付け
窯業系サイディングの留め付けは、鉄骨下地の場合は通気留付金具留め、通気胴縁等木製下地の場合は金具留めまたはくぎ留めとする。
窯業系サイディングの施工は、漏水等事故防止のため、各製造業者または業界団体の施工教育を受けた者によることが推奨される。
窯業系サイディングは小幅物になると折損しやすくなるので、100㎜以下の幅にならないよう割付けおよび板取りを行う。また、現場切断面でシーリング材を充てんしない部分は所定の小口防水シーラーを刷毛等で均一に塗布する。

金具留め(通気留付金具による場合の工法を示す)(参考5)
窯業系サイディングの金具留め工法においては、サイディングの厚さは15㎜以上を標準とする。金具は、サイディングの相じゃくり部に十分かみ合わせて、各形鋼胴縁(450㎜内外、606㎜以下の間隔)にビスで固定する。この際、金具は他部材となるべく重ならないようにする。金具の種類により、留め付け方法、納め方などが異なる場合があるため、製造業者の仕様を確認する。

金具留め(引用3,一部加筆)

くぎ留め(参考6)
鉄骨造の住宅でくぎ留めを採用する場合は、サイディング材料の製造所の仕様による。窯業系サイディングのくぎ留め工法においては、板幅455㎜に対して両端部および中央の3本で留め付けることを標準とし(長手方向では胴縁間隔455mm以下(メーターモデュールの場合、500mm以下)に留め付けること)、サイディング端部から20~35㎜離して(相じゃくりがある側は、相じゃくり部を除いたサイディングの厚い部分より20~35㎜)内側に留め付ける。
なお、くぎ打ち機を使用する場合は、多少くぎ頭が残る程度に圧力を調整し、締め付けはかなづちで打ち込む。
上記以外の留付方法については各製造者の仕様による。
下地材の位置により、くぎの端あき寸法が35㎜以上になる場合は、できるだけ大きくならないように注意する。
参考4
  • 「窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)」(NPO法人住宅外装テクニカルセンター監修、日本窯業外装材協会発行)
参考5
  • 「窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)」p26~32,42(NPO法人住宅外装テクニカルセンター監修、日本窯業外装材協会発行)
引用3
  • 「窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)」p43(NPO法人住宅外装テクニカルセンター監修、日本窯業外装材協会発行)
参考6
  • 「窯業系サイディングと標準施工(第2版2刷)」p33~34(NPO法人住宅外装テクニカルセンター監修、日本窯業外装材協会発行)
  • 「②外壁仕上材、留付金具・ビス・釘等の品質」について、設計で指定された仕上材や製造業者の仕様等に指定されている金物・ビス・釘等を選択していても、材料そのものの品質が不良である場合は、材料に起因して外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。
  • 「③外壁仕上材施工の割付け、支持方法」について、外壁仕上材の割付位置が柱・間柱の位置に設けられていない場合、目地と柱・間柱がずれるにも関わらず補助桟が設けられていない場合、留付け位置が材端部に近い場合等は、割付け・支持の不良により、外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。
  • 「④下地材の施工」について、下地材(胴縁・間柱)の間隔が適切でない場合、接合部の下地材補強がない場合、不陸がある場合等は、下地材の施工不良により、外壁仕上材のはがれ・浮きが発生している可能性が高い。

使用する検査機器

  • スケール
使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。