調査方法編

基  礎
基礎とは、基礎スラブと杭を総称していう。
基礎スラブとは、上部構造の応力を直接に又は杭を介して地盤に伝えるために設けられた構造部分をいう。
地業とは、基礎スラブと地盤又は杭とのなじみをよくするために、基礎スラブの下部に設けられた捨てコンクリート、敷砂利、割栗、切込み砕石(クラッシャラン)等をいう。

基礎が建物と地盤をしっかりつなぎとめる役割を果たさなければ、構造安全性を確保することができず、基礎・地盤だけの不具合事象にとどまらず、上部構造に様々な不具合事象を生じさせることとなる。

沈下による基礎の変形やひび割れ等の損傷は、住宅にとって極めて重大な問題であることを認識し、地盤の状況を調査、把握し、地盤の状況に応じた適切な設計・施工を行う必要がある。
<基礎の分類>
基礎は、支持形式によって直接基礎と杭基礎に分類される。

直接基礎は基礎スラブの形式によって、フーチング基礎とべた基礎に分けられ、さらにフーチング基礎は上部構造を支持する状態により、3種類に分類される。また、地盤条件によっては、セメント系固化材等を用いた表層改良や柱状改良等の地盤改良を採用することがある。
小規模建築物(参考1)の場合は、「木造住宅(在来軸組工法・枠組壁工法)調査方法編」の「基礎-2、基礎-3」<小規模建築物の基礎形式・地盤補強方法>を参考にすることができる。

杭基礎は、支持形式によって、支持杭と摩擦杭に分類される。これらはその機能上、主として杭先端の抵抗力で支持する杭(先端支持杭)と、主として杭周面の摩擦力で支持する杭(摩擦支持杭)である。また、設置の際の工法によって、打込み杭(又は押込み杭)、埋込み杭、場所打ちコンクリート杭等に分けられ、既製杭の材質・構造などによって遠心力鉄筋コンクリート杭(RC杭)、高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)、鋼杭等に分けられる。
基礎
直接基礎
基礎スラブからの荷重を直接地盤に伝える形式の基礎
フーチング基礎
フーチング(footing:コンクリート基礎の広がり部分)によって上部構造からの荷重を直接地盤に伝える形式の基礎
独立(フーチング)基礎
フーチングが単一の柱を支えている基礎
複合(フーチング)基礎
数本の柱からの荷重を1つのフーチングで支えている基礎
連続(フーチング)基礎=布基礎
壁又は一連の柱からの荷重を帯状のフーチングによって支えている基礎
べた基礎
フーチング基礎が平面的に連続し、上部構造からの荷重を単一の基礎スラブによって直接に広範囲の地盤に伝える形式の基礎
杭基礎
基礎スラブからの荷重を杭を介して地盤に伝える形式の基礎
支持杭(先端支持杭)
主として杭先端の抵抗力で支持する杭
摩擦杭(摩擦支持杭)
主として杭周面の摩擦力で支持する杭
※免震構造については専門家または専門業者に相談する。
参考1
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p1 1.1節 適用範囲と設計法((社)日本建築学会編集・発行)
建築基準法関連
平12建告第2009号「免震建築物の構造方法に関する~を定める等の件」
<基礎の例>
■直接基礎―独立基礎の例
(引用1,引用2)(S造、RC造)
■直接基礎―複合基礎の例
(引用1)(S造、RC造)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください

■直接基礎-布基礎の例
(引用1)(S造※1、RC造※1) 
■直接基礎-布基礎の例
(引用1(一部加筆))(S造、RC造)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
※1:直接基礎で、基礎のテーパーの形状は、設計者の判断による。
参考2
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」p75(3.1)(国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、(一財)建築行政情報センター、(一財)日本建築防災協会編集)
引用1
  • 「建築基礎構造設計指針」(1988年)p4、p190((社)日本建築学会編集・発行)
引用2
  • 「建築基礎構造設計指針」(2001年) p6((社)日本建築学会編集・発行)
建築基準法関連
  • H12建設省告示第1347号(建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件)
■直接基礎-べた基礎の例(S造、RC造)(引用3)
引用3
  • 「改正建築基準法(2年目施行)の解説」p385(建設省住宅局建築指導課編集、新日本法規出版㈱発行)
■直接基礎-布基礎の例 (木造、S造※2、RC造※2)  
平12建告第1347号第1第4項の仕様規定
(鉄筋コンクリート造とする場合)の例
(引用4一部加筆)
  • 根入れの深さは240mm以上かつ凍結深度以深とすること
  • 立上り部分の上端及び下端の主筋は補強筋と緊結すること
木造住宅工事仕様書の例
(引用5)
  • 木造住宅工事仕様書では、立上り高さについては「地面から基礎上端まで又は地面から土台下端までの高さが400mm以上とする」と表現している。
  • 布基礎の底盤の幅は、荷重条件および地盤の地耐力等を勘案して決定する。
■直接基礎-べた基礎の例(木造、S造※2、RC造※2
平12建告第1347号第1第3項の仕様規定
(鉄筋コンクリート造とする場合)の例(引用4)
  • 根入れの深さは120mm以上かつ凍結深度以深とすること
  • 立上り部分の上端及び下端の主筋は補強筋と緊結すること

木造住宅工事仕様書の例(引用5)
  • 木造住宅工事仕様書では、立上り高さについては「地面から基礎上端まで又は地面から土台下端までの高さが400mm以上とする」と表現している。
  • ベタ基礎の寸法および配筋については、建設敷地の地盤状況を勘案し、構造計算により決定する。(構造計算等により、安全性が確認された場合はシングル配筋とすることもある。)
※2印は、小規模の建築物では、S造、RC造の場合にも用いられる基礎形式である。
建築基準法関連
  • H12建設省告示第1347号(建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件)
引用4
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」p80(告示第1第4項第二号の表)、p87(図3.1-5 一部加筆)(国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、(一財)建築行政情報センター、(一財)日本建築防災協会編集)
引用5
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」p39(図3.3.2-2(A)),p41(図3.3.3-1)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
引用5関連:
  • 「枠組壁工法住宅工事仕様書 平成28年版」 p42(図3.4.2-2(A)), p44(図3.4.3-1) ((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
■杭基礎の例(S造、RC造)(引用6)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
引用6
  • 「小規模建築物基礎設計の手引き」(絶版)p77((社)日本建築学会編集・発行)
■杭基礎の例(S造、RC造)(引用7)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
引用7
  • 「建築基礎構造設計指針」(1988年・旧版) p4((社)日本建築学会編集・発行)
■杭基礎の例・2(S造、RC造)(引用8)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
☆杭基礎で、基礎のテーパーの形状は、設計者の判断による。
引用8
  • 「建築基礎構造設計指針」(2001年)p6((社)日本建築学会編集・発行)
■杭基礎(支持杭)の例(引用9) ■杭基礎(摩擦杭)の例(引用9)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
引用9
  • 「構造用教材」第3版p11((一社)日本建築学会編集・発行)