調査方法編

外壁のひび割れ・欠損(モルタル塗り)

1.外壁のひび割れ・欠損とは

外壁のひび割れとは、外壁仕上材に部分的な割れが発生することをいう。
モルタルでは、乾燥収縮によるある程度のひび割れは、材料の特性から避けられないものである。このモルタルの表面に発生する細かいひび割れを一般にヘアクラック(髪の毛のような細かくて長いひび割れ)という。これに対して建物の歪みや不同沈下等に伴い生じる構造クラックの他、モルタルの品質や施工不良により生じる有害なひび割れがある。
外壁の欠損とは、外壁の一部が欠け損ずることをいう。
外壁のひび割れや欠損(以下、ひび割れ等という)は、雨水の浸入によって外壁の構造耐力の低下の原因となる可能性もあるので、注意を要する。
参考1
  • 「欠陥住宅被害救済の手引」全訂三版(日本弁護士連合会消費者問題対策委員会編集、㈱民事法研究会発行)

2.発生原因

(1)
基礎の沈下に伴うひび割れの例(引用1,一部加筆)
適切な設計・施工でも通常起こり得る軽微な外壁のひび割れ等
適切な設計・施工が行われていても、モルタルの乾燥収縮により軽微な外壁のひび割れ(ヘアクラック)等は発生することがある。
(2)
基礎の沈下等
基礎が何らかの理由で沈下した場合や、外壁が何らかの理由で傾斜した場合、これらに連動して外壁のひび割れ等が発生することがある。
(基礎の沈下の発生原因は[基礎の沈下]を参照。
外壁の傾斜の発生原因は[外壁の傾斜]を参照。)
(3)
不適切な外壁の設計
外壁の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合は、外壁のひび割れ等の原因となることがある。
また、既調合軽量セメントモルタルを使用し、製造業者等の仕様に準拠していない場合は、外壁のひび割れ等につながることがある。
モルタルの塗り厚
ラスの補強(開口部周辺、隅角部)
下地材の選択と工法の組合せ(下地材のステープル保持力等)
ガラス繊維ネット等の補強(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
引用1
  • 「土地・建物の不具合」p194((財)不動産適正取引推進機構、(株)東洋書店発行)
(4)
不適切な外壁の施工等
外壁工事の段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、外壁のひび割れ等の発生につながることがある。
また、既調合軽量セメントモルタルを使用している場合は、製造業者等の仕様に準拠していないと、外壁のひび割れ等につながることがある。
(材料)
モルタルの品質(調合)
ラスの品質
ステープルの品質
(施工)
ラス下地板等の配置
ラスの補強方法
ラス下地の継ぎ方・留め付け方(うき・たるみ)
ステープルの位置・間隔
モルタルの施工(接着)
ガラス繊維ネット等の補強方法(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
モルタルの施工時の天候に対応した養生(散水、シート等)
関連部分の雨水浸入防止の納まり
通気工法用ラスモルタル下地(※)を用いる場合は、①から⑪に加えて、次の⑫から⑯にも留意する。
防水紙等の施工
通気用縦胴縁の施工
リブラスの留め付け間隔(単層下地工法の場合)
リブラスに施工するモルタル押さえ強さと通気層断面寸法確保の関係(単層下地工法の場合)
面材の取付け及び品質
参考2
「建築工事標準仕様書・同解説JASS15左官工事(2007)」 p147(4.5)((社)日本建築学会編集・発行)
※ 参考(引用2)
「住宅の調査と補修 -平成28年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
引用2
「建築工事標準仕様書・同解説JASS15左官工事(2007)」p154(4節d)((社)日本建築学会編集・発行)

想定される外壁の構成の例
仕上 構成
直張りラスモルタル下地(ラス下地板)
下地
仕上
(chord作成)
  • 下地板
    (12~18)×(90~100)
  • 防水紙
  • ステープル
  • メタルラス張り
  • モルタル
    (ア)20~25
    (但しメタルラス含む)
    (既調合軽量セメントモルタルは、製造業者等の仕様による)
直張りラスモルタル下地(下地構造用面材)
下地
仕上
(chord作成)
  • 下地合板
    910×1820×7.5(関東間)
    985×1970×7.5(関西間)
  • 防水紙
  • ステープル
  • メタルラス張り
  • 釘N50(耐力壁用)
    N38(非耐力壁用)
  • 同上
通気構法単層下地
下地
仕上
(chord作成)
  • 構造体の上に透湿防水シート張り
縦胴縁+防水紙付リブラス
  • 同上
(ただし、構造体から縦胴縁で浮かせた留め付けとなるため軽量の仕上が適する。)
通気構法二層下地(耐力壁要素:筋かい)
下地
仕上
(chord作成)
  • 構造体の上に透湿防水シート張り
縦胴縁+ラス下地板または面材+防水紙+ラス
  • 同上
    (ただし、構造体から縦胴縁で浮かせた留め付けとなるため軽量の仕上が適する。)
通気構法二層下地(耐力壁要素:構造用面材)
下地
仕上
(chord作成)
  • 構造体の上に透湿防水シート張り
縦胴縁+ラス下地板または面材+防水紙+ラス
  • 同上
    (ただし、構造体から縦胴縁で浮かせた留め付けとなるため軽量の仕上が適する。)
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

-1 ひび割れ等の損傷状況の確認

調査の視点

  • 適切に設計・施工された外壁であっても、モルタルの乾燥収縮に起因する軽微な外壁のひび割れ等は発生することがある。
  • ひび割れは、目視で確認したひびの形状・位置等から外力の種類、発生の経緯等が類推できる場合がある。
  • ひび割れ等の形状や発生状況等を把握し、不具合事象の程度を確認する。

調査方法

1.目視確認

(1)調査方法

  • 目視等により、外壁のひび割れ等の形状・位置等を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.打音診断

(1)調査方法

  • ひび割れ等が生じている周辺部を木槌または打診用ハンマーで軽く叩き、打撃音の変化でモルタルの浮きの有無を確認する。

(2)注意事項等

  • 下地材とモルタルの間に浮きがある場合には太鼓のような打撃音、浮きがない場合は金属音に近い硬い音がする。

3.ひび割れ深さおよび幅の測定

(1)調査方法

  • 設計図書に記載されたモルタルの厚さと比較して、ひび割れ等の深さが下地層まで達しているかをピアノ線等により確認する。
  • ひび割れ部にクラックスケールをあて、ひび割れ幅(ひび割れ方向に直交する幅)を測定する。

(2)注意事項等

  • 原則として補修を必要としないわずかなひび割れでも、進行性のものについては注意を要するため、必要に応じて、ひび割れ幅、長さの変動状況の成長過程を観察し、ひび割れ等の進行状況を定期的に確認する。(期間は6ヶ月~1年)(参考4)
参考3
  • 木造建築物の耐久性向上技術(木造建築物の劣化診断指針・同解説)p23
    (建設大臣官房技術調査室監修、(財)国土開発技術センター編、技報堂出版㈱発行)(絶版)

ひび割れ先端位置を記録する方法(例)(引用4)
  • ひび割れ幅は温度や湿度によって変化するため、ひび割れ幅の変動を測定する場合は、測定時の温・湿度条件をできるだけ同じようにすることが望ましい。(参考4)
引用4
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p27解説図-2.3.1(b)(公社)日本コンクリート工学会編、発行
参考4
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p16~28 (公社)日本コンクリート工学会編、発行

調査結果の考え方

  • ひび割れ等の形状が斜め一直線に発生している場合は、筋かいの不足等耐力壁に原因がある可能性が高い。

外壁の傾斜に伴うひび割れの例
  • ひび割れ等が開口部周辺に八の字形で発生している場合は、開口部回りの補強方法に原因がある可能性が高い。

開口部に生じたひび割れの例
  • ひび割れ等が、縦・横一直線に発生している場合は、下地に原因がある可能性が高い。横方向にひび割れ等が発生している場合は、基礎の変形(沈下等)が原因の可能性がある。

下地の継ぎ目に沿って生じたひび割れの例
(chord作成)
  • 北面に多く外壁のひび割れ等が生じている場合は、凍害に起因する可能性が高い。
  • 外壁一面にヘアクラックが生じている場合は、モルタルの調合が原因である可能性が高い。
  • 外壁仕上材(モルタル)の浮きが確認できず、ひび割れ深さが仕上層部分にとどまっており、ひび割れ幅が小さい場合は、モルタルの乾燥収縮等による通常起こりうるひび割れである可能性がある。
  • ひび割れ幅が大きいか、またはひび割れ深さが下地まで到達している場合は、何らかの外力が加わったと想定され、軸組の変形等に起因している可能性がある。
  • 外壁のひび割れが全面的に不定形な場合または軸組部分、外壁下地材の継目部分もしくは開口部回り等に発生している場合は、軸組材および外壁下地材の乾燥収縮によるあばれが原因の可能性がある。

使用する検査機器

1-2 外壁の傾斜の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>および<使用する検査機器>については、[外壁の傾斜 1]の該当項目に準ずる。
外壁の設計内容の確認

2-1 外壁(軸組)の設計内容の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>および<使用する検査機器>については、[外壁の傾斜 2]の該当項目に準ずる。

2-2 外壁のひび割れ防止対策の確認

調査の視点

  • 外壁仕上材(モルタル)のひび割れ等は、ひび割れ防止対策が行われていれば軽減することが可能であるため、設計段階において適切なひび割れ等防止対策が行われているかを確認する。

調査方法

1.ひび割れ防止対策の設計内容の確認

確認のポイント
モルタルの塗り厚
ラスの補強
下地材の選択と工法の組合せ
ガラス繊維ネット等の補強(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
(1)
調査方法
  • 当該住宅の設計図書(設計図、仕様書等)を対象として、上記<確認のポイント>に沿って、外壁のひび割れ防止対策が適切であるかを確認する。なお適切であるかの検討にあたっては、住宅金融支援機構編集「木造住宅工事仕様書」、日本建築仕上学会「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」、その他の仕様書、基準等が参考となる。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を以下に示す。
    モルタルの塗り厚
    • モルタルの調合や塗り厚さ
    ラスの補強
    • 開口部回りの隅角部等のラスの補強の要否および方法
    下地材の選択と工法の組合せ
    • 下地材のステープル保持力等
    ガラス繊維ネット等の補強(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
    • ネットの品質、継ぎ目の重ね寸法、隅角部の張り方
(2)
注意事項等
  • 特になし
参考5
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年改訂」p76(5) ((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考6
  • 「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」(日本建築仕上学会)(絶版)

調査結果の考え方

  • 「①モルタルの塗り厚」について、モルタルの全体塗り厚が25㎜を超えかつ留付けの対策が講じられていない(既調合軽量セメントモルタルの場合は全体塗り厚が製造業者等の仕様に準拠していない)場合は、モルタルの塗り厚が過大となりひび割れ等が発生している可能性が高い。また、塗り厚が薄いと必要な強度が発現せず、少しの変位等でひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「②ラスの補強」について、補強の要否の検討がなされ、補強が必要な場合は、開口部回り、隅角部等に補強不足によるひび割れ等が発生している可能性が高い。
参考7
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」p175(9.3)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)

使用する検査機器

  • 特になし
外壁の施工状況等の確認

3-1 軸組の施工状況等の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>および<使用する検査機器>については、[外壁の傾斜 3-1]該当項目に準ずる。

3-2 外壁のひび割れ防止に係る施工状況等の確認

調査の視点

  • ひび割れ防止に係る工事が、設計どおりに行われているかを確認する。
  • また、ひび割れ等を誘発する不適切な施工が行われていないかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
モルタルの品質(調合)
ラスの品質
ステープルの品質
ラス下地板等の配置
ラスの補強方法
ラス下地の継ぎ方・留め付け方(うき・たるみ)
ステープルの位置・間隔
モルタルの施工(接着)
ガラス繊維ネット等の補強方法(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
モルタルの施工時の天候に対応した養生(散水、シート等)
関連部分の雨水浸入防止の納まり

通気構法用ラスモルタル下地を用いる場合は、①か⑪に加えて、次の⑫から⑯にも留意する。
防水紙等の施工
通気用縦胴縁の施工
リブラスの留付け間隔(単層下地工法の場合)
リブラスに施工するモルタル押さえ強さと通気層断面寸法確保の関係(単層下地工法の場合)
面材の取付け及び品質

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)により、上記<確認のポイント>に沿って、把握できる範囲において、外壁のひび割れ防止に係る以下の項目が設計どおりに行われているかを確認する。なお、設計図書に記載のない部分については、住宅金融支援機構編集「木造住宅工事仕様書」、日本建築仕上学会「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」、その他の仕様書、基準等を参考に、施工が適切に行われているかを確認する。
    モルタルの品質
    • 使用材料またはセメント、砂、混和剤の調合比率および加水量
    ラスの品質
    ステープルの品質
    • ステープルの足の長さ等
    ラス下地板等の配置
    • 釘の浮き、開口回りのラス下地板等の継目位置
    ラスの補強
    • 開口部回り、隅角部のラス、ガラス繊維ネット等による補強、開口回りのラスの継目位置
    ラス下地の継ぎ方・留め付け方(うき・たるみ)
    • 釘・ステープルの浮き
    • 継ぎ部分の重なり
    • 下地材、防水紙等の不陸
    • 柱・間柱への留付け間隔、数
    • 下地板の間隔
    ステープルの位置・間隔
    • 釘・ステープルの留付け位置、留付け間隔
    モルタルの施工(接着)
    • 下塗りの(中塗り開始までの)養生期間
    • 施工時の温度管理
    • 1回の塗り厚および総塗り厚
    ガラス繊維ネット等の補強方法(既調合軽量セメントモルタル塗りの場合)
    • ネットの品質、継ぎ目の重ね寸法、隅角部の張り方
    モルタルの施工時の天候に対応した養生(散水、シート等)
    • 施工時における軸組および下地材の乾湿状況
    関連部分の雨水浸入防止の納まり
参考8
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考9
  • 「外壁剥落防止のための設計・施工指針・同解説」p12~14(((社)日本建築仕上学会)(絶版)
参考10
  • 「まもりすまい保険設計施工基準・同解説(2012年版)」 p65(住宅瑕疵担保責任保険法人 住宅保証機構(株))
通気構法用ラスモルタル下地を用いる場合は、①から⑪に加えて、次の⑫から⑯にも留意する。(参考11,参考12)
防水紙等の施工
  • 透湿防水シート等の品質、施工方法(張り方、重ね幅等)
通気用縦胴縁の施工
  • 留付け材の品質、留付け間隔
  • 通気胴縁の品質(材料、寸法)、留付け間隔(通気のすき間等)
リブラスの留付け間隔(単層下地工法の場合)
  • 補助胴縁の設置
リブラスに施工するモルタル押さえ強さと通気層断面寸法確保の関係(単層下地工法の場合)
面材の取付け及び品質
  • 面材の品質

(2)注意事項等

  • 特になし
参考11
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年改訂」P153~154(8.4)、P264(1-1.4.4)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考12
  • 「外壁断熱工法における外装支持耐力特性に関する研究 2008年6月」((社)日本建築学会北海道支部研究報告集No.81)

2.目視による施工状況の確認

(1)調査方法

  • 必要に応じてひび割れ等の生じている外壁の仕上げを一部はがし、目視により下地、仕上げの施工状況を上記のポイントを中心に確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし

調査結果の考え方

  • 「①モルタルの品質」について、作業性を良くするために骨材に対するセメント量を多くする富配合にしたり、加水量を多くしたことなどが原因となって収縮率が増大し、ひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「②ラスの品質」について、ラスの品質に問題があった場合には、それに起因してひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「③ステープルの品質」について、ステープルの線径、足の長さ等に問題があった場合には、それに起因してひび割れが発生している可能性が高い。
  • 「④ラス下地板等の配置」について、下地板の間隔や留付け方法等が不適切な場合等は、下地板の配置不良によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑤ラスの補強」について、開口部回り、隅角部等に補強が施されていない場合は、補強不足によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑥ラス下地の継ぎ方・留め付け方(うき・たるみ)」について、ラス下地に不陸がある場合等はラス下地の継ぎ方不良によりひび割れが発生している可能性が高い。
  • 「⑧モルタルの施工(接着)」について、下塗りの養生期間が短い場合、寒冷期に適切な養生措置(板張り、シート覆い、採暖等)をとらずに施工した場合または1回の塗り厚および全体の塗り厚が過大である場合等にあっては、モルタルの接着不良によりひび割れ等が発生している可能性が高い。また、塗り厚が薄い場合は、必要な強度が発現されず、少しの変位等でひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑩モルタルの施工時の天候に対応した養生(散水、シート等)」については、軸組や下地材が充分乾いていない時期に施工した場合、モルタルの施工時期の不適によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑪関連部分の雨水浸入防止の納まり」において、当該納まりが不適切な場合は雨漏りによる軸組および下地板等の乾燥収縮またはそりによるひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑫防水紙等の施工」において、透湿防水シート等の品質(透湿性等)や施工方法(張り方、重ね幅等)が不適切な場合は、壁体内結露が発生し、下地材の腐朽によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑬通気用縦胴縁の施工」において、通気胴縁の留付け材の品質、留付け間隔や胴縁の品質(材料、寸法)が不適切な場合は、通気胴縁の垂れ下がりによりひび割れ等が発生している可能性が高い。また、通気胴縁間のすき間の幅や設置間隔が不十分な場合は壁体内結露が発生し、下地材の腐朽によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑭リブラスの留め付け間隔(単層下地工法の場合)」及び「⑮リブラスに施工するモルタル押さえ強さと通気層断面寸法確保の関係(単層下地工法の場合)」において、補助胴縁の不設置などで留付け間隔が不適切な場合は、ラス下地板や面材がないため、モルタル塗込み時に胴縁の相互間でリブラスや防水紙が凹み、その内側にある通気層の断面が少なくなり、壁体内結露が発生し下地材の腐朽によりひび割れ等が発生している可能性が高い。または、リブラスや防水紙の凹みに起因する塗厚不同によりひび割れ等が発生している可能性が高い。
  • 「⑯面材の取付け及び品質」において、面材の留付け方法(留付け材の種類、間隔)が不適切な場合、面材の取付け不良によりひび割れ等が発生している可能性が高い。また、面材の品質(透湿性等)が不適切な場合、壁体内結露が発生し、下地材の腐朽によりひび割れ等が発生している可能性が高い。

参考
■下塗りの養生期間(砂、セメントモルタルの場合)(参考16)
  • モルタル塗りの場合、乾燥収縮または下地の挙動によるひび割れ等を生じさせるため、下塗りの養生期間はできるだけ長期間取る必要があり、2週間以上の期間を確保することが望ましい。
  • 厚付けとなる場合には、下塗り・中塗りの養生期間を7日以上とする等の注意が必要である。
  • 下塗り乾燥後著しいひび割れ等があれば、目塗りをし、下地面が平坦になっていない部分または凹部はつけ送りをしつつむら直しを行い、金ぐしの類で荒し目を付ける。むら直しの後、下塗りと同様の養生期間をおく。
既調合軽量セメントモルタルの場合は、製造業者が定めた養生期間・方法とする。
■塗り厚(参考17)
  • 塗り厚が大きくなると、こて押さえが効かなくなり、壁では剥落の危険性が大きくなるので、通常の場合、床を除き1回の塗り厚は7mm以下を原則とする。
  • 壁で一度に厚塗りをすると、ひび割れ等を生じやすいので、厚塗りしてはならない。
  • 全塗り厚は、あまり厚くすると剥離のおそれがあるため25mm以下とし、それ以上の厚さを必要とする場合は物理的な方法により留付けを行う。(既調合軽量セメントモルタルの場合は製造業者等の仕様に準拠すること。)
■モルタルの調合(容積比)(引用5)
  • 下表を標準とする。
下地
塗り付け箇所
下塗り・ラスこすり
むら直し・中塗り
上塗り
セメント:砂
セメント:砂
セメント:砂:混和材
メタルラス
ラスシート
内壁
1:3
1:3
1:3:適量
天井
1:2
1:3
1:3:適量
外壁その他
1:3
1:3
1:3
既調合軽量セメントモルタルの場合は、製造業者等が定めた仕様により調合が行われる。
■モルタルの施工時の環境
  • 月間平均気温が5℃以下で、かつ最低気温が2℃以下となる期間にやむを得ず施工する場合は、周囲に板囲い、シート覆いを行い、内部をヒーター等の加熱器を用いて保温する。(参考18)
参考13
「建築工事標準仕様書・同解説JASS15左官工事(2007)」p148(4節) 、p154~158((社)日本建築学会編集・発行)

参考14
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年改訂」P173((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)

参考15
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年改訂」P264(1-1.4.4)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)



参考16
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」p175~176(9.3.4) ((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)






参考17
  • 「建築工事監理指針・平成28年版(下巻)」p342(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)
引用5
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」p 175(9.3.2) ((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考18
  • 「建築工事監理指針・平成28年版(下巻)」p329(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)

使用する検査機器

使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。