調査方法編

基礎のひび割れ・欠損

1.基礎のひび割れ・欠損とは

基礎のひび割れとは、基礎の表面に部分的な割れが発生することをいう。
コンクリートやモルタルでは、乾燥収縮によるある程度のひび割れは、材料の特性から避けられず、これらの表面に発生する細かいひび割れを一般にヘアクラック(髪の毛のような細かくて長いひび割れ)という。
基礎の欠損とは、基礎の一部が欠け損ずることをいう。

仕上材と構造材にまたがったひび割れの例(引用1)
ひび割れや欠損は、空隙からの浸水や鉄筋の腐食等を誘引し、基礎の構造安全性・耐久性を劣化させる原因となることがあるので、注意を要する。
引用1
  • 「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準の解説平成12年度版」p94((公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
参考(引用2)
ひび割れとは、物体の可能な変形量を超えるときに生ずる部分的な割れをいう。荷重が作用したときや、乾燥、収縮あるいは膨張したときの内部応力による変形量、脱水や湿度変化による体積の変形量などがある限度を超えたときに生ずる。
引用2
  • 「建築大辞典 第2版」p1399((株)彰国社編集・発行)

2.発生原因

(1)
適切な設計・施工でも通常起こり得るひび割れ等
適切な設計・施工が行われていてもコンクリートやモルタルの乾燥収縮に起因する軽微なひび割れ等は発生することがある。
(2)
基礎の沈下
基礎が何らかの理由で沈下した場合に、変形が生じると、これに連動してひび割れが発生することがある。(基礎の沈下の発生原因は[基礎の沈下]を参照)
(3)
不適切な基礎の計画及び設計
基礎の設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、基礎のコンクリート部分のひび割れ等の発生につながることがある。
基礎設計の設計状況([基礎の沈下 2-2]参照)
  • コンクリート、鉄筋の規格
  • 基礎の断面寸法・配筋方法等
  • 基礎の配置・間隔、基礎梁の連続性
基礎のひび割れ防止対策
  • 基礎の鉄筋のかぶり厚さ
  • 基礎の補強筋
  • 柱脚接合部の構造計画
(4)
不適切な基礎の施工等
基礎の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、基礎のコンクリート部分のひび割れ等の発生につながることがある。
基礎の施工状況等([基礎の沈下3-1]参照)
(材料)
  • コンクリート、鉄筋の品質
(施工)
  • 基礎の断面寸法・配筋方法等
  • 基礎の配置・間隔
  • 施工方法の選択
基礎のひび割れ防止に係る施工状況等
  • 基礎の鉄筋のかぶり厚
  • 基礎の補強筋
  • コンクリートの打設時期、状況
  • コンクリートの養生状況(温度管理や表面の乾燥防止、型枠存置期間等)
仕上材の施工状況等
  • 下塗りの養生期間
  • 凍害防止策
  • 塗り厚
  • 下地の調整及び清掃
  • 下地・下塗り層への吸水調整
  • 調合
事前確認等

調査の視点

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

-1 ひび割れ等の損傷状況の確認

調査の視点

  • 適切に設計・施工された基礎であっても、コンクリートやモルタルの乾燥収縮に起因するひび割れは発生することがある。
  • ひび割れ等は、目視で確認したひび割れの形状・位置等から外力の種類、発生の経緯等が類推できる場合がある。
  • 表面に仕上材(モルタル等)がある場合には、仕上材部分のみのひび割れ等で、基礎コンクリート自体は損傷していない場合もある。
  • ひび割れ等の形状や発生状況等を把握し、不具合の程度を確認する。

調査方法

1.目視確認

(1)調査方法

  • 目視観察により、基礎コンクリートのひび割れ等の形状・位置等を確認する。
  • 調査は、原則として基礎コンクリートの外側で行う。ただし、ひび割れの程度が大きい場合等、必要に応じて基礎コンクリートの内側の調査を行う。

(2)注意事項等

  • 特になし

2.打音診断(仕上材のある場合)

(1)調査方法

  • ひび割れ等が生じている周辺部を木槌又は打診用ハンマーで軽く叩き、打撃音の変化で仕上材の浮きの有無を確認する。この範囲を立面図等に記録する。

(2)注意事項等

  • 仕上材との間に浮きがある場合には、太鼓のような打撃音、浮きがない場合は金属音に近い硬い音がする。

3.ひび割れ幅及び貫通などの有無の測定

(1)調査方法

  • ひび割れ部にクラックスケールまたはルーペをあて、ひび割れ幅(ひび割れ方向に直交する幅)を測定する。
  • コンクリートの表裏面が観察できる場合は、表面と裏面のひび割れパターンが一致しているかどうかをもって貫通の有無を確認することができる。

(2)注意事項等

  • タイル仕上げ等の場合には、基礎コンクリートのひび割れ位置と仕上材のひび割れ位置が異なる場合があり、貫通の有無が確認できない場合もあるので注意を要する。
  • 仕上材のある場合には、基礎コンクリートのひび割れ等の状況を確認するために、必要に応じて一部仕上材をはがし、基礎コンクリートの状況を観察する。
  • 原則として補修を必要としないわずかなひび割れでも、進行性のものについては注意を要するため、必要に応じて、ひび割れ幅、長さの変動状況の成長過程を観察し、ひび割れ等の進行状況を定期的に確認する。(期間は6ヶ月~1年)



参考1
  • 「木造建築物の耐久性向上技術」(木造建築物の劣化診断指針・同解説)p23(建設大臣官房技術調査室監修、(財)国土開発技術研究センター編、技報堂出版㈱発行)(絶版)

参考2
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p16~24(公社)日本コンクリート工学会編、発行

ひび割れ先端位置を記録する方法(例) (引用3)
  • ひび割れ幅は温度や湿度によって変化するため、ひび割れ幅の変動を測定する場合は、測定時の温・湿度条件をできるだけ同じようにすることが望ましい。
引用3
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p27解説図-2.3.1(b)(公社)日本コンクリート工学会編、発行
参考3
  • 「コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針2013」p16~28(公社)日本コンクリート工学会編、発行

調査結果の考え方

  • ひび割れ等が床下換気口等開口部回りや基礎のコーナー部等に生じている場合は、補強配筋等の補強不足によるひび割れ等である可能性がある。
  • ひび割れが下図のようにハの字の形状で生じている場合は、基礎の不同沈下が原因である可能性が高い。

    基礎のひび割れ形状の例

  • 基礎コンクリートのひび割れ幅が大きい場合は、構造にかかわる問題に起因するひび割れの可能性があり、小さい場合は、乾燥収縮等による「通常起こりうるひび割れ」である可能性が高い。ただし、これらはひび割れの位置・形状等も勘案して判断する必要がある。

使用する検査機器

1-2 基礎の沈下の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>については、[基礎の沈下1 ]の該当項目に準ずる。

基礎の設計内容の確認

2-1 基礎の設計内容の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>について[基礎の沈下2-2]の該当項目に準ずる。

2-2 基礎のひび割れ防止対策の確認

調査の視点

  • 基礎コンクリートのひび割れ等は、ひび割れ防止対策が行われていれば、軽減することが可能であるため、設計段階で適切なひび割れ防止対策が行われているかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
基礎の鉄筋のかぶり厚さ(c.)
基礎の補強筋(a. b.☆1、※1、※2)

(1)調査方法

  • 当該住宅の設計図書(設計図、仕様書等)を対象として、上記<確認のポイント>に沿って、基礎のひび割れ防止対策の設計が適切であるかを確認する。なお、適切であるかの検討にあたっては、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書による。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を以下に列記する。
    基礎の鉄筋のかぶり厚さ(c.)
    • 最小かぶり厚さ設定値(注1)
    • 設計かぶり厚さの設定値
    基礎の補強筋(a.b.☆1、※1、※2、※3、※4)
    • 床下換気口等開口部回りの補強筋
    • 基礎のコーナー部の補強筋
(注1)最小かぶり厚さ:鉄筋コンクリート部材の各面、又はそのうちの特定の箇所において、最も外側にある鉄筋の満足すべきかぶり厚さ。(引用3)

(2)注意事項等

  • 特になし
建築基準法関連
a.
建基法令第38条3・4項
b.
平12建告第1347号「建築物の基礎の構造方法~」
c.
建基法令第79条
品確法告示
☆1
平13国交告第1347号「評価方法基準」第5の1「構造の安定」
参考4
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」p75(3.1)(国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、(一財)建築行政情報センター、(一財)日本建築防災協会編集)
参考5
  • 「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」((財)日本住宅・木材技術センター編集、発行)
参考6
  • 「2007年枠組壁工法建築物構造計算指針」((社)日本ツーバイフォー建築協会発行)
引用4
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5 鉄筋コンクリート工事2015」p5((一社)日本建築学会編集、発行)
参照
※1
「2015年版木造住宅のための住宅性能表示」第5版((公財)日本住宅・木材技術センター企画・発行)
※2
「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表[増補版]」 (2012)((財)日本住宅・木材技術センター発行)
※3
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」p75(国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、(一財)建築行政情報センター、(一財)日本建築防災協会編集)
※4
  • 「ツーバイフォー住宅の住宅性能表示制度・長期優良住宅認定制度利用の手引」(2015) (一社)日本ツーバイフォー建築協会発行)

調査結果の考え方

  • 次の事項について適切な設計が行われていない場合は、かぶり厚さ不足又は過多によるひび割れ等である可能性がある。
    基礎のかぶり厚さの設定値
  • ひび割れ等が床下換気口等開口部周りや、基礎のコーナー部等に生じており、設計図書で適切な補強が指示されていない場合は、補強筋の不備によるひび割れである可能性がある。
    基礎の補強筋
■床下換気孔まわりの補強方法、コーナー部の配筋のおさまり(例) (引用5)
引用5
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p39(図3.3.2-2 (B)、(C)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
引用5関連:
  • 「枠組壁工法住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p42(図3.4.2-2 (B)、(C)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)

使用する検査機器

  • 特になし
基礎の施工状況等の確認

3-1 基礎の施工状況等の確認

<調査の視点><調査方法><調査結果の考え方>及び<使用する検査機器>については、 [基礎の沈下3-1]の該当項目に準ずる。

3-2 基礎のひび割れ防止に係る施工状況等の確認

調査の視点

  • ひび割れ防止に係る工事が設計どおりに行われているかを確認する。
  • ひび割れ等を誘発する不適切な施工が行われていないかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
基礎の鉄筋のかぶり厚さ
基礎の補強筋
コンクリート打設時期、状況
コンクリートの養生状況

(1)調査方法

  • 施工時にひび割れ防止に係る工事が設計どおりに施工されているかについて、ひび割れ防止に係る施工の妥当性を確認する。
  • 施工記録等(施工図、工事状況報告書、工事写真等)および建設住宅性能評価関連図書により、把握できる範囲において施工状況を確認する。
  • <確認のポイント>に沿って確認する主な項目を以下に列記する。
    基礎の鉄筋のかぶり厚さ
    • 施工記録により、鉄筋のかぶり厚さ、配筋状況(鉄筋の乱れの有無等)を確認する。
    基礎の補強筋
    • 施工記録により、床下換気口等開口部回り、基礎コーナー部の配筋補強を確認する。
    コンクリート打設時期、状況
    • 施工記録により、コンクリートの材料・調合、コンクリートの打設時期、打設時の天候(晴雨、気温)を確認する。
    • 施工記録により、型枠脱型後の豆板・コールドジョイント、その補修履歴を確認する。
    コンクリートの養生状況
    • 施工記録により、コンクリートの養生方法(温度管理や表面の乾燥防止)、型枠存置期間、養生時の天候(晴雨、気温)を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし
参考7
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p32(3.3) ((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考8
  • 「枠組壁工法住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p31(3.4)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)

2.目視・測定等による施工状況等の確認

(1)調査方法

  • 書類により確認した内容と実際の施工状況が一致しているかを、現場において目視・測定等により確認する。
    基礎の鉄筋のかぶり厚さ
    • 鉄筋に沿ったひび割れ、錆汁を伴うひび割れ、鉄筋の露出状況等を目視により確認する。
    • 必要に応じ、鉄筋探査機(かぶり厚さ測定機能付き)にて、ひび割れ等の発生部分を中心に、かぶり厚さを確認する。
    基礎の補強筋
    • 鉄筋探査機(かぶり厚さ測定機能付き)にて、ひび割れ等の発生部分を中心に、かぶり厚さを確認する。
    コンクリート打設時期、状況
    • 目視にて、型枠脱型後の豆板・コールドジョイント、その補修跡の有無を確認する。

(2)注意事項等

  • 鉄筋探査機による検査で得られた数値だけで、鉄筋径、配筋状況、かぶり厚さを判断するのは難しいため、注意を要する。

調査結果の考え方

  • ひび割れ等が生じている部分周辺のかぶり厚が、設計図書の指示に満たない場合は、かぶり厚さ不足によるひび割れ等である可能性がある。また、かぶり厚さが極端に大きい場合は、かぶり厚さ過多によるひび割れ等である可能性がある。
  • 床下換気口等開口部回りや基礎コーナー部にひび割れ等が生じており、周囲に乾燥収縮や応力集中に対する適切な補強が行われていない場合は、補強不足によるひび割れ等である可能性がある。
  • 降雨時のコンクリート打設が施工記録から確認された場合は、コンクリート強度不足に起因するひび割れ等の可能性がある。(参考9,参考10)
  • 水平あるいは斜めに連続したひび割れが発生している場合は、打設中断による施工不良(コールドジョイント)に起因するひび割れ等の可能性がある。
  • 豆板の補修が不完全である場合は、ひび割れ等の原因となる可能性がある。
  • コンクリートの養生方法(温度管理や表面の乾燥防止)の不備等が施工記録から確認された場合、又は型枠の早期脱型・早期載荷が確認された場合は、コンクリートの養生不良に起因するひび割れ等の可能性がある。
参考9
  • 「建築工事監理指針・平成28年版(上巻)」p410(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)
参考10
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事2015」p266((一社)日本建築学会編集・発行)

使用する検査機器

3-3 仕上材の施工状況等の確認(モルタル仕上げ)

調査の視点

  • ひび割れ等の形状や発生状況等を把握し、モルタル仕上材のひび割れ等が通常起こりうる軽微なものか、施工時の不備(品質不良・施工不良)によるものであるかを確認する。

調査方法

1.書類による確認

確認のポイント
下塗りの養生期間
凍害防止策(最低気温2℃以下かつ月間平均気温5℃以下となる時期の施工時のみ)(参考11)
塗り厚
下地の調整及び清掃
下地・下塗り層への吸水調整
調合

(1)調査方法

  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)により把握できる範囲において、左官工事の妥当性を確認する。
    下塗りの養生期間
    • 中塗り開始までの期間
    凍害防止策(最低気温2℃以下かつ月間平均気温5℃以下となる時期の施工時のみ)
    • 凍害防止の策として板囲い、シート覆い、採暖等の必要な処置
    塗り厚
    • 1回の塗り厚
    • 総塗り厚
    下地の調整及び清掃
    下地・下塗り層への吸水調整
    調合

(2)注意事項等

  • 特になし
参考11
  • 「建築工事監理指針・平成28年版(下巻)」p329(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)
参考12
  • 「建築工事標準仕様書・同解説JASS15左官工事(2007)」p134(3節)((社)日本建築学会編集・発行)

2.目視等による確認

(1)調査方法

  • 建物四周のひび割れ等発生箇所、形状を目視・計測等にて確認し、立面図等に記入する。また、同時に写真撮影し、記録する。

(2)注意事項等

  • 特になし

3.打診観察

(1)調査方法

  • ひび割れ等が生じている周辺部を木槌又は打診用ハンマーで軽く叩き、打撃音の変化で仕上層の浮きの有無を確認する。この範囲を立面図等に記録する。

(2)注意事項等

  • 浮きがある場合には、太鼓のような打撃音、浮きがない場合は金属音に近い硬い音がする。

調査結果の考え方

  • 仕上層の浮きが確認されず、かつ髪の毛のような微細なひび割れの場合は、モルタルの乾燥収縮に伴うひび割れの可能性が高い。
  • 仕上層の浮きが確認された場合、又はひび割れの形状が太く、広い場合は、施工不良に起因するひび割れ等の可能性が高い。
  • 下塗りの養生期間が短い場合は、十分な養生期間をとってひび割れを生じさせた後、モルタルを塗り重ねるという施工過程を省略したことによるひび割れの可能性が高い。
  • 左官工事施工時に、凍害を起こすような気温状況(最低気温2℃以下かつ月間平均気温5℃以下となる状況))(参考13)であるにも関わらず、それに対して適切な処置(板囲い、シート覆い、採暖等)を行わなかった場合は、初期凍害によるひび割れ等の可能性が高い。
  • 1回の塗り厚が7mmを超える場合、又は全体の塗り厚が25mmを超える場合でかつ留付けの対策が行われていない場合は、モルタルの過大な塗り厚によるひび割れ等(モルタル層の剥離・剥落)の可能性が高い。
参考13
  • 「建築工事監理指針・平成28年版(第1版)(下巻)」p329(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)
<参考資料>
■下塗りの養生期間(参考14、15)
  • モルタル塗りの場合、乾燥収縮又は下地の挙動によるひび割れを生じさせるため、下塗りの養生期間はできるだけ長期間取る必要があり、2週間以上の期間を確保することが望ましい。
  • 厚付けとなる場合には、下塗り・中塗りの養生期間を7日以上とする等の注意が必要である。
  • 下塗り乾燥後著しいひび割れ等があれば、目塗りをし、下地面が平坦になっていない部分または凹部はつけ送りをしつつむら直しを行い、金ぐしの類で荒し目を付ける。むら直しの後、下塗りと同様の養生期間をおく。
■塗り厚(参考16)
  • 塗り厚が大きくなると、こて押さえが効かなくなり壁では剥落の危険性が大きくなるので、通常の場合、床を除き1回の塗り厚は7mm以下を原則とする。
  • 壁で一度に厚塗りをすると、ひび割れ等を生じやすいので、厚塗りしてはならない。
  • 全塗り厚は、あまり厚くすると剥離のおそれがあるため25mm以下とし、それ以上の厚さを必要とする場合は物理的な方法により留付けを行う。
■下地等の清掃、水湿し及び補修
  • 仕上モルタルが下地コンクリートから浮く原因のうち、下地に関する原因には次のようなものがあるが、a及びbは、モルタル塗りを行う前に下地の清掃を行うことにより十分防止可能なものであるので、デッキブラシ等を用いて十分水を掛けながら洗い落とす。屋内のように十分な水洗いができない場合には、水湿しのうえデッキブラシ等を用いて清掃する方法も検討する。(引用6)
    a.
    下地表層の強度不足による表層破壊(硬化不良、レイタンス等)
    b.
    下地の清掃不足による接着不良
    c.
    下地面への吸水によるモルタルの硬化不良
    d.
    施工時の養生不足による硬化不良(直射日光等による急速な乾燥、寒冷期における保温や加熱の不十分な状態での乾燥)
    e.
    モルタルの過大な塗り厚による収縮
    f.
    長期にわたる下地の変形(躯体膨張、収縮、ひび割れ)
  • 浮いている部分の補修は、一般にその部分をはつり取ってモルタルを塗り付けるが、この場合、はつり方によってはかえって浮きを進行させるおそれがあるので、カッターで浮いている箇所の周囲を切断し、絶縁してから周囲に影響を与えないように注意してはつる。
参考14
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p176(9.3.4)((独)住宅金融支援機構編、(株)井上書院発行)
参考15
  • 「枠組壁工法住宅工事仕様書 平成28年版(第1版)」p184(10.1.3.4)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考16
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(下巻)」p342(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)
引用6
  • 「建築工事監理指針 平成28年版(第1版)(下巻)」p345(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、(一社)公共建築協会編集・発行)

使用する検査機器

使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」による。

詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。