調査方法編

基礎の沈下

1.基礎の沈下とは

基礎の沈下とは、基礎が所定の位置より地表面の下部に沈むことをいう。
基礎の沈下には、基礎の部分により沈下量が異なり、建物が傾いたり不均一に沈下する「不同沈下」と、一様に沈下することにより、建物は傾かずに沈下する「等沈下」がある。
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住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
沈下傾斜の形状分類(引用2)
引用1
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p254((社)日本建築学会)
引用2
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p254(図10.1.2)((社)日本建築学会)
上記の不同沈下に対して等沈下は、一般に上部構造への影響が少ないと言われている。ただし屋外配管との接続に問題が生じて排水不良等が生じることもある。

2.発生原因

(1)
適切な設計・施工が行われていても、通常起こり得る軽微な沈下
適切な設計・施工が行われていても、建物の重量等による軽微な基礎の沈下は発生することがある。
(2)
不適切な基礎の計画及び設計
基礎の計画及び設計段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、基礎の沈下につながることがある。
地盤条件の設定過程
  • 地盤条件の把握方法
  • 地盤調査の種類、調査箇所、精度等
  • 敷地の履歴調査
地盤条件設定値の適合性
  • 地盤条件に対応した地盤調査
  • 地盤の許容応力度等の評価
基礎形式選定の適合性
  • 圧密沈下の可能性の判断
  • 支持層の位置の設定
基礎断面設計の適合性
  • コンクリート、鉄筋の規格
  • 基礎の断面寸法・配筋方法等
  • 基礎の配置・間隔
(3)
不適切な基礎の施工等
基礎の工事段階において、以下の事項に不適切な点がある場合には、基礎の沈下につながることがある。
(材料)
  • コンクリート、鉄筋の品質
(施工)
  • 基礎の断面寸法・配筋方法等
  • 基礎の配置・間隔
  • 施工方法の選択
(4)
敷地地盤等の変状
敷地の安全対策の不備
斜面地等では、敷地そのものの安全対策が不適切であることにより、擁壁等に変状をきたし、建物の基礎の沈下につながることがある。
既存擁壁への対応不備
既存擁壁に対する建物の基礎の対応に不備がある場合には、基礎の沈下につながることがある。
(5)
その他の原因
敷地周辺で大規模な土木工事が行われたり、隣地で建設工事が行われるような場合は、地下掘削に伴う土留め壁のたわみや引き抜き、地下水の汲み上げ、盛土荷重などにより地盤が沈下し、基礎の沈下につながる場合がある。
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沈下の原因例(引用3)
引用3
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p256(図10.1.3)((社)日本建築学会)
事前確認等

現場調査等にさきがけて、発生原因特定のための調査に必要な情報を把握し、調査の進め方の詳細等を検討しておく。

調査方法

  1. 居住者及び住宅供給者へのヒアリング並びに次の「2.」により、主として以下のような情報を確認し、整理しておく。
    住宅の構造・建て方、契約の内容等(木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造/戸建、集合 等)
    不具合事象の状況、発生部位、施工の状況等
    不具合事象の発見時期(新築後経過年数)
    不具合事象の程度の進行状況
    不具合事象の発生と季節・天候等との相関関係
    他の種類の不具合事象の発生状況
    周辺の住宅における同様の不具合事象の発生状況
    住宅の立地条件(気候・地形等)、近隣の状況
    不具合事象の発生後の処置の有無及び状況
  2. 住宅性能表示制度に基づき、建設住宅性能評価書が交付された住宅の申請図書等は、規定された期間、登録住宅性能評価機関等に保存される。
    したがってその保存期間内であれば、それらの申請図書等を、住宅紛争処理支援センターを経由して当該評価機関等から取り寄せることが可能である。
    (1)
    登録住宅性能評価機関に保存される帳簿は、以下の通りであり、業務の全部を廃止するまで保存される。(品確法第19条第1項、同法施行規則(以下「規則」という。)第20条第1項三号)
    住宅性能評価書に記載した事項を記載した帳簿
    (2)
    登録住宅性能評価機関に保存される図書は、以下の通りであり、建設住宅性能評価書が交付された日から20年間保存される。(品確法第19条第2項、規則第21条第1項・第3項、第15条第1項第一号ロ)
    建設住宅性能評価申請書(変更建設住宅評価申請書を含む)
    建設住宅性能評価申請書の添付図書
    • 設計住宅性能評価書
    • 設計評価申請添付図書
      住宅性能表示制度に基づく認定又は認証を取得した住宅又は住宅の部分については、以下の書類が添付される。
      * 住宅型式性能認定書の写し
      * 型式住宅部分等製造者等認証書の写し
      * 特別評価方法認定書の写し
      * 建築基準法に基づく確認済証
    施工状況報告書
    規則第6条第4項に規定する図書
    検査に際し評価機関が評価申請者に提出させたもの
    (3)
    登録住宅型式性能認定等機関、登録外国住宅型式性能認定等機関、登録試験機関又は登録外国試験機関に保存される図書は、以下の通りであり、認定又は認証が失効した又は取り消されたときから20年間保存される。(規則第68条第3項、規則第94条第3項)

    <住宅型式性能認定の場合>(規則第68条第1項第一号)

    住宅型式性能認定申請書
    住宅型式性能認定申請書の添付図書
    住宅型式性能認定書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <型式住宅部分等製造者の認証(更新)の場合>(規則第55条第1項第二号(第三号))

    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書
    型式住宅部分等製造者等認証(更新)申請書の添付図書
    型式住宅部分等製造者等認証書の写し
    その他審査の結果を記載した書類

    <特別評価方法認定の場合>(規則第94条第1項、第82条第1項)

    特別評価方法認定のための審査に係る試験申請書
    特別評価方法の概要を記載した書類
    特別評価方法により代えられるべき部分を明示した書類
    平面図等その他の試験を実施するために必要な事項を記載した図書
    試験の結果の証明書の写し
    その他審査の結果を記載した書類
    上記資料に基づき、住宅の性能表示項目に関して調査する場合には、該当する等級毎の基準を参照する。
    なお、評価方法基準の詳細については、平13国交告第1347号による。
  3. 以上の情報に基づき、調査の方法・進め方の詳細等を検討しておく。
不具合事象の程度の確認

  • 適切に設計・施工された住宅であっても、軽微な基礎の沈下が発生し得る。
  • 既存の基準・指針・調査研究等を参考にすれば、圧密沈下等による沈下・変形の程度を想定することができる。
  • 不同沈下測定を行ない、傾斜角や変形角を算出し、発生している沈下が通常想定される程度のものであるかを確認する。

調査方法

1.傾斜角・変形角の測定

基礎の上端等が水平面に対してどの程度傾斜・変形しているかを測定する。具体的方法としては、ホースの水位を利用して測定する方法(1-1水盛管等による測定方法)と、レベル測定器等を用いて測定する方法(1-2レベルによる測定方法)が想定される。
測定は、中折れ、ジグザグ形などの様々な沈下形状があるので測定は出来る限り多くの箇所を測定し、適切な間隔を対象に評価する。
測定に際しては、建物の4隅の他
基礎のひび割れ箇所
内壁・外壁のひび割れ箇所
床の傾斜・たわみ箇所
建具の開閉不良箇所
等を考慮して、調査箇所を決める。基礎のひび割れ幅が大きい場合は、ひび割れ位置付近で測定する。
参考1
  • (独)国民生活センターホームページ(研修・資料相談員資格)「住宅に関する相談事例を考える2013年8月号(No.13)最終回 地盤と基礎(その3:不同沈下した建物の補修と調べ方)」P22~23
    ホームページ

1-1.水盛管等による測定方法(主に小規模建築物に適用)

昔から建築現場で使われていた水盛りの原理を利用して、透明なビニールホースにより相対的な高低差を計測する方法。ビニールホース(水管)両端の水位が常に等しい高さとなることを利用し、建物の4隅等測定箇所の基礎天端等の高低差を出す。基礎天端等では測定しづらい場合、外壁の一定の高さ(1~1.5m位)を基準点として設定し、その高さから基礎天端等までの長さを計測することによって基礎の傾斜角・変形角を求めることもできる。

ホース(水管)内の両端の水面を結ぶ線が水平になることを利用して、基準となる水平面を設定する際に使用する。
水盛りの原理(chord作成)

(1)調査方法

外壁の下端もしくは内部の床や敷居
(基礎に近い堅固な点)などを測定点とする。下図のようにホースを測定点(測点A、測点Bなど)に移動させ、水盛管の水面(ホース内の水面)と各測定点との距離(測定値)を測定する。水管の場合は、2点ずつ重複させながら繰り返し測定する。
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水盛管による測定概要(引用4)

水盛管では、基準点と各測定点との差が高低差となる。水管の場合は、2点管の高低差を加減させて全体の連続した各点の高低差を求める。このとき、測定点に段差がある場合は、上図のように段差分を補正して高低差を求める。
下図のように平面図に測定点の高低差を記入して沈下形状を確認する。このとき最も高い点を基準点にすると整理しやすい。
引用4
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)p260(図10.2.3) ((社)日本建築学会編集・発行)
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高低差の測定による沈下形状の例(引用5)

上記③の測定値と沈下形状をもとに沈下の大きな箇所(基礎の連続する測線)について不同沈下曲線図を作成する。
傾斜角・変形角の算出は、下図のようにして求める。
引用5
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)p260(図10.2.5) ((社)日本建築学会編集・発行)
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傾斜角と変形角の算出(引用6一部加筆)

引用6
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p260(図10.2.7)((社)日本建築学会)一部加筆

(2)注意事項等

  • 壁材の下端、水切の下端の他に、床下換気口の下端、掃き出し窓の敷居部分等本来水平に施工される箇所で3m程度の測定距離が確保される場合は、その箇所で測ることもできる。

1-2.レベルによる測定法

(1)調査方法

建物の外周を見渡して、水平ラインとして設定できる基準線を探し出す。基準線は基礎の上端等、本来水平に施工される部位が望ましく、さらに、なるべく地盤に近くなるようにする。
傾斜の方向を踏まえて、壁の両端等を測定点として定める。
レベルを用いて、各測点における基準線の高さとの差を測定する。
各測点間の水平距離を設計図書又はスケール等を用いた実測により確認する。
以上の①から④で得られた結果をもとに、不同沈下曲線を作成する。
不同沈下曲線の両端を結んだ直線と水平面との角度から傾斜角・変形角を算出する。

(2)注意事項等

  • レベルまたはレーザーレベル等を用いる場合、測定方法は水盛管と同様であるが、見通せない隣室の測定などは水管と同じように1点を重複させて(盛替え)、全ての測定点が連続し建物全体の沈下状況が把握出来るようにする。

調査結果の考え方

  • 測定された傾斜角及び変形角をもとに不具合の程度を判断する際には、以下の資料等を参考にすることができる。
(1)
測定された基礎の傾斜角から、下表を参考に、基礎の傾斜が不具合事象の原因となる可能性を判断することができる。
表 床の傾斜に対する瑕疵の存する可能性 (☆1.※1)
レベル
住宅の種類
構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性
木造住宅,鉄骨造住宅,鉄筋コンクリート造住宅または鉄骨鉄筋コンクリート造住宅
1 3/1000未満の勾配(凹凸の少ない仕上げによる床の表面における2点(3m程度以上離れているものに限る。)の間を結ぶ直線の水平面に対する角度をいう。以下この表において同じ。)の傾斜 低い。
2 3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜 一定程度存する。
3 6/1000以上の勾配の傾斜 高い。

(2)
小規模建築物における不同沈下による障害の限界値として、下表の傾斜角および変形角が参考として示されている。
品確法告示
☆1.
平12建告第1653号「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」
参照
※1.
平成12年度版「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準の解説」
((財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター発行)
表 小規模建築物の傾斜角と変形角の限界値(引用7)
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傾斜角と変形角(引用8)
変形角は、計測間隔や計測位置によっても影響を受けるので、傾斜角と変形角の違いを明確にすることは難しい。上記(1)は「傾斜角」、上記(2)は「傾斜角」と「変形角」およびその違いを示している。調査結果に対する判断の参考とする場合には、基礎の損傷の位置やその程度とともに総合的に考察する必要があり注意が必要である。
引用7
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)p261(表10.2.2)((社)日本建築学会編集、発行)
引用8
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)p86~87(図5.5.9,表5.5.5の解説)((社)日本建築学会編集、発行)


使用する検査機器

基礎の設計内容の確認

2-1 地盤の許容応力度等の把握状況の確認

調査の視点

  • 基礎の計画段階で把握しておくべき地盤の許容応力度等の地盤条件について、状況把握、評価が適切に行われていることを確認する。
  • さらに、地盤の状況に適応した基礎形式が選定されていることを確認する。

調
査方法

1.地盤条件の設定過程の確認

確認のポイント
  • 地盤条件の把握方法
  • 地盤調査の種類、調査箇所、精度等(a.b.c.d.☆1)
  • 敷地の履歴

(1)調査方法

  • 基礎の計画段階で、地盤の許容応力度等の地盤条件をどのように把握したかを確認する。
  • 地盤条件の把握を地盤調査によって行っているかを確認し、地盤調査を行っている場合は、地盤調査報告書の内容(調査の種類、調査箇所、精度等)を確認する。
  • 敷地の履歴(盛土、造成の仕様等)等の情報を設計者に確認する。
  • 設計図書に記載されている地盤の許容応力度等の設定値を確認する。
  • 上記のポイントが適切であるかの検討にあたっては、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書等による。

(2)注意事項等

  • コンクリート塊、有機物等の地中埋め込みの有無の把握状況等についても、確認する必要がある。

2.地盤条件設定値の適合性の確認

確認のポイント
  • 地盤条件に対応した地盤調査(調査の種類、調査箇所、精度等)
  • 地盤の許容応力度の評価(b.d.☆1)

(1)調査方法

  • 基礎の計画段階で設定した地盤の許容応力度等が、適切であることを確認する。
    地盤調査を行っている場合
    地盤調査報告書の内容(調査の種類、調査箇所、精度、調査結果等)を確認し、(一社)日本建築学会の「小規模建築物基礎設計指針」等に照らして、調査内容の適切さ(敷地条件を考慮した調査方法、調査数量となっているか等)ならびに地盤の許容応力度の評価の適切さを確認する。
    地盤調査を行っていない場合
    • (一社)日本建築学会の「小規模建築物基礎設計指針」等を参考にして、地盤の状況の評価及び許容応力度の評価が適切であることを確認する。

(2)注意事項等

  • 地盤改良が施されている場合は、改良方法・改良範囲が地盤条件に対して適切であることを確認する。
  • 地盤調査を行なっている場合でも、可能な限り周辺地盤や隣家の基礎の状況を確認することが望ましい。
建築基準法関連
a.
建基法令第38条
b.
建基法令第93条
c.
平12建告第1347号「建築物の基礎の構造方法~」
d.
平13国交告第1113号「地盤の許容応力度~」
品確法告示
☆1.
平13国交告第1347号「評価方法基準」第5の1「構造の安定~」
参考2
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」第1版第4刷2016年追補収録版p75(3.1)(国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所監修、(一財)建築行政情報センター・(一財)日本建築防災協会編集、全国官報販売協同組合発行)
参考3
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)((社)日本建築学会編集・発行)

3.基礎形式選定の適合性の確認

確認のポイント
  • 住宅及び盛土荷重等に対する圧密沈下等の可能性の判断
  • 支持層位置の設定(a.b.c.☆1)

(1)調査方法

  • 地盤の許容応力度等の地盤条件が確認されていても、地盤の状況に適応した基礎の計画が行われていなければ、上部構造を的確に支持することができない。このため、地盤条件を把握した上で、基礎形式の選定までのプロセスが適切に行われたことを、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書等により確認する。
  • 地盤条件として収集されたデータ等をもとに、基礎形式の選定までのプロセスを確認し、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書、(一社)日本建築学会の「小規模建築物基礎設計指針」、「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」等を参考にして、上記<確認のポイント>に示す内容を踏まえた適切な計画が行われていることを確認する。
    <地盤条件となる主なデータ>
    地盤調査結果等から求められる地盤定数等
    • 地盤構成
    • 地下水位
    • N値
    • 粘性土、砂質土、中間土の分類
    • 物理試験結果、力学試験結果
    • 地盤の動的諸定数         等
    上記定数等から考察される土質・基礎工学的安全性に関する事項
    • 液状化の可能性
    • 凍結深さ
    • 支持地盤の連続性、厚さ、深さ
    • 基礎工事の施工の確実性
    • 地盤沈下の影響
    • 傾斜地、崖地の安全性
    • 地すべり、津波や洪水による被災の可能性  等

参考
■住宅性能表示制度における地盤の液状化に関する情報の提供
  • 平成27年4月1日から、住宅性能評価書に記載できる事項として、地盤の液状化に関する情報が追加された。したがって、住宅建設に際して敷地地盤の液状化に関する事項が調査されていれば、申請者はそれを評価書に記載することができるようになった。(引用9)
  • 地盤の液状化に関する情報の種類は、液状化に関する広域的情報、液状化に関する個別の住宅敷地の情報及び液状化に関する当該住宅基礎等における工事の情報である。(参考9)
  • 地盤の液状化に関する情報は、住宅性能表示基準及び評価方法基準に従って住宅性能評価書に表示された性能ではないことから、品確法第6条第1項から第3項までに基づき建設工事又は引渡しを契約したものとみなされる対象にはならないことに注意を要する。(引用10)

■地盤の液状化とそのメカニズム(引用11)
「住宅の調査と補修 -平成29年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
液状化のメカニズム((a)~(c):引用11)

■液状化に至る地盤の挙動(引用11)
「住宅の調査と補修 -平成29年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
液状化に至る地盤全体の挙動(引用11)

■微地形などからの液状化概略判定(参考10、引用11)
「住宅の調査と補修 -平成29年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
微地形から見た液状化可能性(参考10、11)

(2)注意事項等

  • 基礎形式は、工期、経済性、施工性、安全性、周辺環境の対応性等を多面的に検討して選定されるが、ここでは、安全性の観点に絞って適切さを確認する。
建築基準法関連
a.
建基法令第38条
b.
建基法令第93条
c.
平13国交告第1113号「地盤の許容応力度~」
品確法告示
☆1.
平13国交告第1347号「評価方法基準」第5の1「構造の安定~」
参考4
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」第1版第4刷2016年追補収録版p75(3.1)(国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所監修、(一財)建築行政情報センター・(一財)日本建築防災協会編集、全国官報販売協同組合発行)
参考5
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)5章、6章((社)日本建築学会編集、発行)
参考6
  • 「建築基礎構造設計指針」(2001年) p47~91((社)日本建築学会編集・発行)
参考7
  • 復興・復旧支援WG「液状化被害の基礎知識」(一社)日本建築学会
    ホームページ
参考8
  • 「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」改訂版第3版 ((独)建築研究所編集協力・(財)日本建築センター発行)
引用9
  • 「住宅性能表示制度日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説(新築住宅)2016」p537(国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所監修/日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説 編集委員会 編集、工学図書(株)発行)
参考9
  • 「住宅性能表示制度日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説(新築住宅)2016」p538~545 (国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所監修/日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説 編集委員会 編集、工学図書(株)発行)
引用10
  • 「住宅性能表示制度日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説(新築住宅)2016」p16(4.2)(国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所監修/日本住宅性能表示基準・評価方法基準 技術解説 編集委員会 編集、工学図書(株)発行)
参照
  • 「2015年版木造住宅のための住宅性能表示」第5版((公財)日本住宅・木材技術センター企画・発行)
  • 「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表[増補版]」 (2012)((財)日本住宅・木材技術センター発行)
  • 「ツーバイフォー住宅の住宅性能表示制度・長期優良住宅認定制度利用の手引」(2015) (一社)日本ツーバイフォー建築協会発行)
引用11
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p88~p89((社)日本建築学会)
参照 参考10
  • 住家の液状化被害の簡易予測法とその防止工法(1983年日本海中部地震15周年記念誌)(浅田秋江発行)
参考11
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008年)p89表5.6.1((社)日本建築学会)


調査結果の考え方

  • 基礎の計画段階において地盤の許容応力度等の確認が適切に行われており、正しい許容応力度等が設定されている場合は、地盤の許容応力度等の把握段階では、不適切な点がなかったものと考えることができる。
  • 基礎の計画段階において、地盤の許容応力度等の確認が行われていない場合は、「地盤の許容応力度等に見合った適切な基礎とする」という基礎の計画の原則が守られていないこととなり、基礎の計画が不適切である可能性が高い。
    この場合は、必要に応じて地盤調査を行い、地盤の許容応力度等を確認する。
  • 基礎の計画段階において、地盤の許容応力度等の確認は行われているが、設定されている許容応力度等の評価が不適切である場合等は、地盤の許容応力度等の設定に問題がある可能性が高い。
    この場合は、地盤の許容応力度等の設定の不適切さが具体の基礎の設計内容にどのような影響を与えていることを基礎の計画のプロセスを確認することにより検証する。
  • 基礎形式選定のプロセスにおいて、地盤条件に対応した沈下量及び支持層の検討が適切に行われていない場合は、基礎形式の選定に問題がある可能性が高い。


使用する検査機器

  • 特になし

2-2 基礎断面設計の適合性の確認

調査の視点

  • 基礎の計画に基づいて、基礎断面が適切に設計されているかを確認する。

調
査方法

1.基礎断面設計の適合性確認

確認のポイント
コンクリート、鉄筋の規格(c)
基礎の断面寸法・配筋方法等(a.b.☆1)
基礎の配置、間隔(a.b.☆1)

(1)調査方法

  • 地盤の状況に適応した基礎形式が選定されていることを確認した上で、基礎の形式ごとに、地盤と上部構造の荷重の関係から、断面寸法等が適切であるかを確認する。なお、適切であることの検討にあたっては、関係法令告示、建設住宅性能評価関連図書による。
コンクリート、鉄筋規格
(布基礎・べた基礎・独立基礎の場合)
  • コンクリートの種別・設計基準強度、鉄筋の種類・規格を確認する。
基礎の断面寸法・配筋方法等
(布基礎・独立基礎の場合)
  • 基礎の根入れの深さ、フーチングの幅、断面寸法、配筋等は上部構造からの荷重の大きさと地盤の許容応力度によって決まる。設定された地耐力と上部構造の荷重を計算し、必要な寸法を確保していることを確認する。
  • 構造計算を行っていない場合は、建築基準法告示における規定等を参考にして、断面寸法、根入れ深さ、底盤の厚さ、配筋等の適切であることを確認する。
(べた基礎の場合)
  • 構造計算を行っている場合は、基礎の形状・断面寸法、根入れ深さ、底盤の厚さ、配筋等が地盤に対して適切であることを確認する。
  • 構造計算を行っていない場合は、建築基準法告示における規定等を参考にして、断面寸法、根入れ深さ、底盤の厚さ、配筋等が適切であることを確認する。
基礎の配置・間隔
(布基礎の場合)
  • 基礎が1階の外壁及び内部耐力壁の直下に設けられていることを確認する。
  • 全体の平面形状、荷重のバランスを考慮した布基礎の配置・間隔等になっていることを確認する。
(べた基礎の場合)
  • べた基礎も上部荷重の偏在の影響を受けるため、全体の平面形状、荷重のバランスを考慮して採用されていることを計算書等で確認する。

(2)注意事項等(参考15、17)

「住宅の調査と補修 -平成29年度版
住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください
  • なお、小規模建築物の地盤補強は、基礎-2~基礎-3「小規模建築物の基礎形式・地盤補強工法一覧表」に示す工法が代表的なものである。
  • 独立基礎の場合は、(1)①~③については構造計算の内容を確認する。
建築基準法関連
a.
建基法令第38条
b.
平12建告第1347号「建築物の基礎の構造方法~」
c.
平12建告第1450号「コンクリートの付着、引張り及びせん断~」
品確法告示
☆1.
平13国交告第1347号「評価方法基準」第5の1「構造の安定~」
参考12
  • 「2015年版建築物の構造関係技術基準解説書」第1版第4刷2016年追補収録版p75(3.1)(国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所監修、(一財)建築行政情報センター、(一財)日本建築防災協会編集、全国官報販売協同組合発行)
参考13
  • 「木造住宅工事仕様書 平成28年版」p32(3.3)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
  • 「枠組壁工法住宅工事仕様書 平成28年版」p30(3)((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考14
  • 「木造軸組工法住宅の許容応力度設計2017年版」(木造軸組工法住宅の許容応力度設計改訂委員会編集、(公財)日本住宅・木材技術センター企画発行)
  • 「2007年枠組壁工法建築物構造計算指針」((社)日本ツーバイフォー建築協会発行)
参照
  • 「2015年版木造住宅のための住宅性能表示(構造編)」第5版((公財)日本住宅・木材技術センター企画・発行)
  • 「木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表[増補版]」 (2012)((財)日本住宅・木材技術センター発行)
  • 「ツーバイフォー住宅の住宅性能表示制度・長期優良住宅認定制度利用の手引」(2015) (一社)日本ツーバイフォー建築協会発行)
参考15
  • 「小規模建築物基礎設計指針」p71~72、p178~197((社)日本建築学会編集・発行)
参考16
  • 「建築基礎構造設計指針」 (2001年) p47~91((社)日本建築学会編集・発行)
参考17
  • 「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」改訂版第3版((独)建築研究所編集協力、(財)日本建築センター発行)
引用12
  • 「小規模建築物基礎設計指針」p178((社)日本建築学会編集・発行)


調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、適切な基礎の設計が行われていない場合は、上部構造の荷重等に対し基礎の耐力が十分得られないことが原因で基礎の沈下が生じている可能性が高い。
    コンクリート、鉄筋の規格
    基礎の断面寸法・配筋方法等
    基礎の配置、間隔


使用する検査機器

  • 特になし
基礎の施工状況等の確認

3-1 基礎の施工状況等の確認

調査の視点

  • 基礎が適切に施工されていることを確認する。

調
査方法

1.書類による確認

確認
のポイント
コンクリート、鉄筋の品質
基礎の断面寸法・配筋方法等
基礎の配置・間隔
施工方法の選択

(1)調査方法

  • 基礎の設計が適切であっても、設計どおりに施工されていなければ、上部構造を的確に支持することができない。このため、基礎の施工が適切であることを確認する。
  • 施工記録(施工図、工事状況報告書、工事写真等)及び建設住宅性能評価関連図書により把握できる範囲において、設計どおりの施工が行われていること等を確認する。なお地盤補強等設計図書に記載のない部分については「公共建築工事標準仕様書」、「建築工事監理指針」を参考に施工が適切に行なわれていることを確認する。
  • 2-2基礎断面設計の適合性の確認<調査方法>で列記した項目のほか、以下の項目を確認する。
    コンクリート、鉄筋の品質
    • フレッシュコンクリートの試験結果(コンクリートのスランプ、空気量等)
    • コンクリートの強度試験結果
    • 鉄筋ミルシート
    施工方法の選択
    (布基礎、べた基礎、独立基礎の場合)
    • 床下換気口等の開口部周辺等の鉄筋補強
    • 地業の締固め
    • 埋戻し土の土質
    (杭状地盤補強工法(深層混合処理工法や小口径杭)の場合)(引用13)
    「住宅の調査と補修 -平成29年度版
    住宅紛争処理技術関連資料集-」のCD-ROMをご参照ください

(2)注意事項等

  • 地盤補強が施されている場合は、地盤補強に関する施工状況の確認もあわせて行う。

2.目視等による確認

(1)調査方法

  • 必要に応じ、書類等により確認した内容と、実際の施工状況が一致しているかを現場において目視等で確認する。直接基礎の場合は、必要に応じ、沈下の大きい基礎部分を掘削して確認する。
  • 必要に応じ、ひび割れ等の生じている部分周辺に反発法試験器(以下「リバウンドハンマー等」という)を用いた非破壊試験を行い、コンクリート強度を測定し、設計基準強度と照合する。
  • 必要に応じ、鉄筋探査機(かぶり厚さ測定機能付き)にて、ひび割れ等の発生部分を中心に、鉄筋位置及びかぶり厚さを確認する。

(2)注意事項等

  • リバウンドハンマー等、鉄筋探査機による検査で得られた数値だけで、正確な強度、鉄筋位置、かぶり厚さを判断するのは難しいため、注意を要する。
  • コンクリート強度を測定する方法として、コンクリートのコア抜きによる成分調査及び強度試験を行う方法があり、必要に応じて専門家による調査を検討する。
参考18
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)((社)日本建築学会編集・発行)
参考19
  • 「建築基礎構造設計指針」 (2001年) p47~91((社)日本建築学会編集・発行)
参考20
  • 「公共建築工事標準仕様書・平成28年版(建築工事編)」第1版第7刷(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修(一社)公共建築協会編集・発行)
参考21
  • 「建築工事監理指針・平成28年版」第1版第4刷(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修(一社)公共建築協会編集・発行)
参考22
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)((社)日本建築学会編集・発行)p178~197
引用13
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)((社)日本建築学会編集・発行)p181
参考23
  • 「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」改訂版第3版((独)建築研究所編集協力・(財)日本建築センター発行)


調査結果の考え方

  • 次のいずれかの事項について、設計どおりの施工が行われていない場合、又は不適切な施工が行われている場合は、上部構造の荷重等に対し基礎の耐力が十分得られないことが原因で、基礎の沈下が生じている可能性が高い。
    コンクリート、鉄筋の品質
    基礎の断面寸法・配筋方法等
    基礎の配置の間隔
    施工方法の選択


使用する検査機器

3-2 敷地の安全性の確認

調査の視点

  • 建物を建てるには、まずその敷地が災害等に対して安全でなければならない。特に問題となるのは斜面地であり、擁壁等が適切に設置されている敷地であることを確認する必要がある。

調
査方法

1.斜面地における規制内容等の確認

(1)調査方法

  • 斜面地の中には、自然のままの状態でも、地すべり・土石流・がけ崩れ・雪崩等、種々の災害の起こりやすい区域がある。このような区域の危険防止のために次のような法令等が設定されている。
    • 砂防法
    • 地すべり防止法
    • 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
    • 宅地造成等規制法・同施行令
    • その他―都道府県の安全条例
  • 区域指定されている場合には、その規制の内容を確認した上で敷地及び周辺の安全対策の適切さを設計図書、目視等により確認する。
  • さらに、区域指定の有無に関わらず、敷地に係る以下の点を目視等により確認する。
確認のポイント
  • 敷地周辺の水路、護岸、崖地等の存在
  • 隣地境界の状況-擁壁等の有無
  • 敷地地盤の沈下や変状の有無
参考24
  • 「小規模建築物基礎設計指針」(2008)p277((社)日本建築学会編集、発行)

(2)注意事項等

  • 特になし

2.擁壁の安全性の確認

(1)調査方法

  • 上記の規制内容、及び建築基準法令告示等に照らし合わせて、設計図書、目視等により擁壁の安全性を確認する。
確認のポイント
  • 擁壁の種類、形状、勾配(a.b.c.)
  • 水抜き孔等の設置箇所数、状況(b.)
  • 壁体の変状(次頁図参照)
  • 擁壁背面地盤の沈下や変状(b.)
  • 擁壁の設計状況(a.b.c.)

<擁壁の壁体に変状が発生している例>(引用14)

盛土の不均質による
擁壁のずれ

局部的滑りによる
擁壁のハラミ出し

地盤の支持力不足による
擁壁の沈下

宅地の沈下による
擁壁の押し出し
  • 擁壁に変状が発生している場合、それが建物の影響を受けたものであることを確認する。
確認のポイント
  • 擁壁と建物の位置
  • 擁壁付近の建物基礎の深さ

(2)注意事項等

  • 特になし
建築基準法関連
a.
建基法令第138条
b.
建基法令第142条
c.
平12建告第1449号「~擁壁並びに~構造計算の基準を定める件」
参考25
  • 「宅地防災マニュアルの解説、第二次改訂版(Ⅰ、Ⅱ)」(宅地防災研究会編集、(株)ぎょうせい発行)
引用14
  • 「土地・建物の不具合」p206~207((財)不動産適正取引推進機構編集、(株)東洋書店発行)


調査結果の考え方

  • 敷地が危険防止のための法令による区域に指定されており、その規制内容等に適合しない擁壁等の施工が行われている場合は、敷地そのものの安全対策の不備が基礎の沈下を誘発した原因である可能性がある。
  • 建物の位置が擁壁に近接している場合は、建物の影響で既存擁壁に変状をきたし、基礎の沈下につながった可能性がある。


使用する検査機器

  • 特になし
使用・メンテナンス状況の確認

4 使用・メンテナンス状況の確認」による。

外的要因の確認

5 外的要因の確認」によるほか、以下の確認を行う。

調査の視点

  • 周辺の工事等の影響で地盤の状況が変化し、基礎の沈下につながることがあるため、周辺の工事の有無を確認する。

調
査方法

1.ヒアリング等による確認

(1)調査方法

  • 居住者等へのヒアリングにより敷地周辺における工事の有無を確認する。

(2)注意事項等

  • 特になし


調査結果の考え方

  • 敷地周辺で建設工事が行われている場合は、工事の影響で地盤の状況が変化し、基礎の沈下につながった可能性がある。特に、ウェルポイント工法等地下水の強制排水のための工事の場合はその可能性が高い。


使用する検査機器

  • 特になし
詳細調査の必要性の検討

6 詳細調査の必要性の検討」による。