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紛争処理手続における時効の完成猶予について

時効の完成猶予とは

法律の定める一定期間、権利を行使しないことによって、その権利が消滅することを消滅時効の完成といいます。しかし、その一定期間(以下「時効期間」といいます。)が過ぎる前に、一定の行為があれば、時効の完成とならずに権利が消滅しません。これを時効の完成猶予といいます。

住宅紛争審査会の紛争処理手続における時効の完成猶予

住宅紛争審査会における紛争処理手続では、後述する一定の場合であれば、時効の完成が猶予されます。これにより、時効によって権利を失うという不利益を心配することなく紛争処理手続を利用することができます。

1. あっせん又は調停の場合

紛争処理手続のうち、あっせん又は調停については、次の2つの事由を満たしていると、時効の完成が猶予されます(住宅品確法第73条の2第1項・住宅瑕疵担保履行法第33条第2項)。

  1. (1) あっせん又は調停による解決の見込みがないことを理由に打ち切られたこと
  2. (2) 打切りの通知を受けた日から1か月以内に当該あっせん又は調停の目的となった請求について訴えを提起したこと

これにより、当該あっせん又は調停の申請の時に遡って訴えの提起があったものとみなされ、時効の完成が猶予されます。

  • (注1) 最終的にあっせん又は調停の申請によって時効の完成が猶予したといえるかどうかは、紛争処理手続終了後に裁判所に提起された裁判手続の中で、裁判所が判断します。
  • (注2) 改正された住宅品確法の施行日(2021/9/30)より前に申請があって、施行日後も係属中の事件については、同施行日の時に訴えの提起があったものとみなされます。
■あっせん又は調停の申請後に時効期間満了を迎える場合の時効の完成猶予のイメージ
あっせん又は調停の申請後に時効期間満了を迎える場合の時効の完成猶予のイメージ あっせん又は調停の申請後に時効期間満了を迎える場合の時効の完成猶予のイメージ

2. 仲裁の場合

紛争処理手続のうち、仲裁については、仲裁の申請により、時効の完成猶予及び更新(それまで進行していた時効期間がなくなり、改めて時効期間が進行すること。)の効力が生じます。ただし、仲裁手続が仲裁判断によらずに終了したときを除きます(仲裁法第29条第2項)。

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