住まいるダイヤルで受け付けた電話相談のなかから、消費者の皆様に参考となる相談事例を紹介したものです。

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建築士に住宅の設計を頼んだが、予算を大幅にオーバーしてしまった。契約解除したい。

相談ID:601

Q:  半年前、建築士に自宅の設計を頼みました。予算総額は3千万円、何回か打ち合わせをして、設計が固まった段階で建築士から金額の提示がありましたが、それは4千5百万円と予算を大幅に超えるものでした。多少の増額は仕方がないと思いますが、このような多額の予算オーバーは受け入れられません。その後何度も話し合いましたが、建築士は「もう確認申請を提出してしまった。簡単には変えられない」と言います。
予算をきちんと伝えてあるにもかかわらず、このような設計をされたことに納得がいきません。この建築士とはやっていけないと思い、解約を示唆したところ、「これまでにかかった費用と業務延長料を払ってもらう」と言われました。予算に合う設計図を作ってくれなかったのに、請求通り払わなければいけないのでしょうか。
A:

建築士である設計者は、施主のライフスタイルや予算、家に対するいろいろな希望を聞き取り、敷地等を調査し、建築に関連する法規を確認して、その敷地に建てることができる住宅のアイデアを練ります。そして施主と共に内容を一つ一つ確認して、予算とスケジュールを組みます。見積金額が予算に合わない場合は、内容を見直して工事費用を調整していきます。しかし中には、いい家を造りたいあまり、自己のこだわりや施主の希望を盛り込みすぎて予算とかけ離れた見積もりになる事例もないとはいえません。この場合、施主は、その設計に基づく建物を建築することができなくなり、設計そのものが意味のないものになってしまいます。本件では、予算総額の1.5倍の見積額になっており、何度も話し合ったが変更されなかったということですので、予算総額を大幅に超過する設計を行ったことは債務不履行であるとして契約を解除できる可能性があります。ただし、例えば、施主が高額な設計仕様にこだわったことにより予算を大幅に超過したというような場合は、専ら施主に責任がありますので、契約解除することはできないと考えられます。

すでに解約を告げたということですが、上記のように契約解除が認められる場合と認められない場合がありますので、改めて話し合いをもち、コストをかけたいところ、かけたくないところを検討し、使う材料や設備などを変更して、予算内に収める調整をしてはどうでしょうか。

もう信頼関係が築けないと感じたのでしたら、契約解除を前提として設計費について検討することになります。設計費を一銭も支払わないというのも一つの方法ですが、あまり強行な対応をとると設計者から裁判を起こされる可能性もあります。そこで、これまでの経緯をまとめ、心情を整理して、どの程度までなら設計費を支払えるかを検討し、双方が納得できる解約条件を話し合ってみてはどうでしょうか。話し合いがまとまらない場合は、弁護士会などの法律相談を利用されることをおすすめします。

 

(参考) 予定工事額の1.7倍の見積金額になったという事案において、設計業務では、委託書の工事予定額を遵守した基本設計および実施設計をすべき義務があり、予定額と予定工事額を確認せず、これらを大幅に超過する設計を行ったことは債務不履行であり契約を解除でき、この場合、設計者は設計費を請求できないとした裁判例もあります(東京高等裁判所判決 平成21年4月23日)。

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