住まいるダイヤルで受け付けた電話相談のなかから、消費者の皆様に参考となる相談事例を紹介したものです。

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賃貸住宅を退去したが、敷金を返金してもらえない。

相談ID:673

Q:  築35年の木造賃貸住宅に4年間入居し、先日退去しました。不動産業者から「修繕のため、敷金12万円は返金できない。修繕費は、畳表替え、襖張替え、クリーニング費用で合計13万円である。」と言われました。契約書に記載されている賃貸期間は4年前の賃貸契約開始日から1年間となっており、その後の契約書はありません。
特約には「襖張替え、畳表替えは借主負担」とありますが、クリーニング費用についての記載はありません。また、「自然損耗や経年劣化は貸主負担」とあります。居住期間は通常の使用をしていただけで、特に汚してはいません。そもそも期限の過ぎた契約書は有効なのでしょうか。また、敷金を返金してもらいたいのですが、可能でしょうか。
A: 賃貸借契約の期限が過ぎていても、借地借家法(26条1項)により一定期間内に更新拒絶等の通知がない場合でも同一条件で契約更新したものとみなされます(法定更新)ので、賃貸借契約は有効と考えられます。
契約書の特約事項によれば、畳表替え及び襖の張替えは借主の負担となりますが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(※)」によれば、借主の原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義され、その費用は借主の負担としていることから、畳表の取り替えや襖張替えは特に破損等していない場合には貸主負担となり、賃料に含まれるものと考えられます。
そのため、畳表の取り替えや襖張替えが故意・過失等にかかわらず借主の負担とする場合には、特約の書き方が問題となります。本来の貸主負担が借主負担となること及びその範囲を明確にしたうえで、賃貸借契約書に具体的に明記するか、あるいは口頭により説明するなど、その特約が明確に合意されていなければ、特約としては有効になりませんので、特約事項については無効を主張し、敷金を返還してもらえる可能性があります。
宅地建物取引業協会等の不動産団体は、相談窓口を設けていますので専門家に相談されることをおすすめします。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関するホームページはこちら

(参考)関連する判例として、建物の賃借人が負う原状回復義務の範囲は、特約が明確に合意されていないと、通常損耗は含まれないとした判例があります(最高裁判所判決 平成17年12月16日判時1921号61頁)。

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