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中古住宅の重要事項説明書に実際と異なる内容があることが分かった。売主にどのような請求が考えられるだろうか。

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ご相談内容

相談年月:2017年3月

築15年の木造2階建て戸建て住宅を購入しました。売買契約の際の重要事項説明書では、外壁の補修履歴はないとチェックされていました。売買契約書の特約事項に瑕疵担保責任を免責する旨の記載があります。
しかし、引き渡しから1年後に外壁のタイルが一部落下したため、一級建築士に調査を依頼したところ、外壁に補修の跡があることが分かりました。
そのことを売主に確認すると、新築から半年後に下地が釘打ちの施工不良により浮いてしまい、外壁のタイルに不具合があることが分かったため、ほぼ全面の張替え補修工事をしていたことが分かりました。
重要事項説明書の内容が実際とは異なっており、今後、売主に対してどのような請求ができるのでしょうか。

回答

まず、売主の行った建物に関する重要事項についての説明内容と、実際に購入した建物の状況とが異なっており、この齟齬のために損害が生じたといえる場合、買主は売主に対して瑕疵担保責任とは他に説明義務違反を理由として損害賠償請求ができる場合があります。
売主の重要事項についての説明に従えば、売買契約目的建物は、外壁全面の張替補修工事をされていない建物となりますが、実際に購入した建物は、外壁全面の張替補修工事をされた建物ということになります。補修がされていることを前提とすれば、売買契約目的建物の価値が購入価格より低くなると評価できる場合、その差額が損害となります。しかし、補修履歴があったことにより損害が生じたのか、また損害額はいくらか等の立証は容易ではありません。
また、売主による説明内容と実際に引き渡された建物の違いが価値の減少を生じさせるものであるとすれば、約束違反としての瑕疵があると言えます。売主が知っている瑕疵を隠して瑕疵担保責任を免除する特約付きで売買契約を締結した場合、同特約は無効になります(民法572条)。したがって、本件の売主は補修履歴を知っていたのですから、悪意がある可能性があり、同特約は無効となり、瑕疵担保責任としての損害賠償請求もできることとなります。
ただし、損害が発生した立証については、説明義務違反の場合と同様の問題があります。
いずれの場合でも、補修履歴があることで価値が下がると言えるかどうかを、不動産業者や不動産鑑定士に相談してみることが必要と思われます。

※民法改正により、2020年4月以降に締結された売買契約については、瑕疵担保責任から契約不適合責任(売主が契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合に生じる責任)に代わりました。契約不適合がある場合、買主は売主に対し、目的物の修補や代金減額請求、損害賠償等が請求できます(民法562~564条)。

相談ID:678

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