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賃貸マンションを退去したら、高額な原状回復費用を請求された。

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ご相談内容

相談年月:2013年1月

家賃11万円の賃貸マンションに5年間住み、先日退去しましたが、管理会社から原状回復費用を30万円も請求されて困っています。内訳は壁クロス張替8万円、クローゼット扉交換7万円、床補修8万円、ルームクリーニング5万円、エアコンクリーニング2万円です。
たしかに床にはタバコの焼け焦げを作ってしまったし、壁クロスやクローゼットの扉には不注意で穴を開けてしまったので、ある程度の費用負担は覚悟していましたが、それにしても高額すぎます。また、きれいに掃除をして退去したのに、5万円ものルームクリーニング代がかかるのも不満です。管理会社は「喫煙していたから」と言いますが、負担しなければいけないのでしょうか。

回答

国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。このガイドラインは、実務上、参考にされており、「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反(※)、その他通常の使用を超えるような使用による損耗(そんもう)毀損(きそん)(損耗等)を復旧すること」と定めています。つまり、賃借人が普通に暮らして自然に汚れていく部分は原状回復費用を払う必要はありませんが、賃借人の故意・過失によるキズは、補修費用を負担しなくてはなりません。
しかし、室内全体を新品に戻す必要はなく、経年劣化を考慮して毀損部分の施工範囲に応じた費用を負担します。例えば、クロスの場合は、「6年で残存価値が1円となるような負担割合を算定」します。
補修の範囲は、「m2単位が望ましいが、賃貸人が毀損した箇所を含む一面までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする」とされています。喫煙による汚れは、「喫煙等により居室全体のクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合は、居室全体のクリーニング又は張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる」とされています。喫煙の程度によって汚れの状況は異なりますが、これらの指針に基づきながら内訳項目を精査し、家主や管理会社と話し合いをする必要があるでしょう。
また、賃貸借契約書の中に、クリーニング代や畳の取替費用など、通常の原状回復義務を超えた費用負担を「特約」として定めている場合もありますが、特約が認められるためには、特約をつける合理的な理由があり、予め説明を受け、賃借人が合意していることが前提とされます。それほど容易な条件ではありませんので、この点も確認して話し合いをすることが適切です。

※善管注意義務違反:善良な管理者として、注意を払って使用する義務に反すること。 

(参考)関連する判例として、建物の賃借人が負う原状回復義務の範囲は、特約のない限り、通常損耗は含まれないとした判例があります(最高裁判所判決 平成17年12月16日判時1921号61頁)。

相談ID:599

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