犬走りやエントランスのコンクリートにひび割れが多い
相談年月:2015年7月
新築住宅の引渡し後、施工業者が犬走りやエントランスのコンクリート工事を行いました。コンクリート工事の前には、ひび割れ防止のためのメッシュを入れましたが、施工後にひび割れが生じています。施工業者に補修を依頼しましたが、一般的な技術基準に基づき補修の必要のない程度のひび割れであるとして応じようとしません。ひび割れは、本数や長さ、太さも広がっているように見えます。そのため、建物本体の請負残金と外構工事代金を支払っていません。補修してもらいたいのですが、残金支払の件も含め、今後どうすればよいでしょう。
【弁護士の助言】
建物本体の請負残金については、新築工事の最終工程が完了しているのであれば支払いを拒むことはできません。しかし、外構工事については、コンクリートのひび割れが補修を要するもので、外構工事に瑕疵があり、外構工事と本体工事が一体となった契約である場合はその補修がされるまで代金の支払いを拒否することができると考えられます。
今後、コンクリートのひび割れが大きくなり、上記基準を上回るようなことがあれば、契約書に定められた期間は、瑕疵担保責任※として補修請求、あるいは損害賠償請求ができます。また、期間経過後でも、そのひび割れの発生について施工業者に施工上の過失が認められるようであれば、損害賠償請求ができる場合がもあります。
※民法改正により、2020年4月以降に締結された請負契約については、瑕疵担保責任から契約不適合責任(請負人が内容に適合しない目的物を注文者に引き渡した場合に生じる責任)に代わりました。瑕疵担保責任と同様、契約書に「契約不適合責任」が定められることもあります。
【建築士の助言】
犬走りとエントランスにあるコンクリートのひび割れは、写真で見る限りは、乾燥収縮によるものと思われます。また、施工業者が提出した工事説明書を見ると、コンクリート強度や溶接金網の使用方法等に、問題は認められません。
しかし、コンクリート打設中の写真を見ると、土間コンクリート工事の際の砂利敷や均し工事、捨てコンクリート工事が行われた形跡がないので、必ずしも適切な工事が行われたとは言えない状況にあります。今回のひび割れがこうした施工の状況に起因するとは断言できませんが、原因となる可能性はあります。また、犬走りやエントランスのコンクリートに伸縮目地を3m程度の間隔に入れておけば、こうしたひび割れを予防することができたかもしれません。
引続き現地の状況を注視し、ひび割れが大きくなり、使用等に支障が生じる状況になれば、施工業者に補修するよう要求するべきでしょう。
相談ID:27
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