新築住宅でシックハウス被害。室内空気測定値は指針値以下だった。今後の対応は。
相談年月:2010年6月
今年4月、木造2階建住宅を建築士の設計・工事監理により新築し、引渡しを受け、入居しました。夫婦ともアレルギー体質があり、身体に影響の少ない材料や施工を依頼していました。引渡し後すぐ、キッチンで異臭を感じ、造りつけの家具の化粧合板から臭いが出ていることがわかりました。異臭対策として、脱臭シートや床下に活性炭を敷きましたが効果はなく、夫婦とも頭痛、吐き気、震えといった症状が出てきました。
室内の床や壁、天井はできるだけ自然材料を使用しています。床は無垢のフローリングで、壁・天井は漆喰と杉の無垢材です。また、使用した接着剤を確認したところ、F☆☆☆☆の製品が使用されていました。
日常生活では、24時間換気システムを使用していないときもありましたが、できる限り自然換気には努めました。
さらに、最近になって、浴室でも妻が同じ症状を訴えるようになりました。浴室の壁に一部無垢のさわら材が使用されていますが、そこで使用された接着剤が影響を及ぼしているのではないかと考えています。施工業者とは解決に向けて話し合いをしていますが、その業者がシックハウスに詳しくないようなので、こちらで保健所に化学物質の検査を依頼しました。測定方法は解りませんが、7項目(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン)の物質について24時間かけて調査した結果、指針値以下であったとのことでした。今後、夏に向けて化学物質の放散量が増えるので、身体に出る影響の原因を確認し、シックハウスの良い解決方法を知りたいです。近日中に、どの化学物質が身体に影響を与えるか医療機関で診察を受ける予定です。
また、シックハウスを解決するための費用は誰かに請求できるでしょうか。
(支援センターで実施したシックハウスの対面相談での助言)
<技術的助言>
(1) ポリ合板の芯材や接着剤が原因であることも考えられます。また、床の構造用合板がF☆☆☆☆であるか確認することをすすめます。なお、ペンキは膜が薄いため、原因となることは考えられにくいでしょう。
(2) 専門病院でアレルギー物質を特定してもらうことをおすすめします。可能性は低いですが、自然素材がアレルギー症状の原因になることもあります。
(3) アレルギー症状の原因の可能性があるものは、家具も含め徹底的に排除することをすすめます。
(4) 家全体を外気にさらすように、 3〜6ヶ月の間、可能なかぎり自然換気を心がける。押入れなども中のものを出し、戸もはずして外に出しておいたほうがよい。
(5) 24時間換気システムが台所と風呂場にあるが、機能していない可能性もあります。建築設計事務所に、空気が滞留しない設計となっているか確認し、図面を作成してもらうとよいでしょう。
<法律的助言>
家屋に関して請求できる費用は、一般的には、シックハウスの原因を解消するために要する費用(調査費や補修費用)や、請求するための要する文書料等になります。なお、相談者自身が、通院したり、会社を休んだりした場合には、治療費や、休業損害、慰謝料等の賠償請求も可能です。
請求の相手方ですが、設計段階の材料の選別に原因があれば建築設計事務所に対して、設計段階では問題がないが施工段階で利用された部材や接着剤に原因が有れば施工業者に対して、請求できると言えます。後者の場合、監理ミスがあれば、監理者たる建築設計事務所にも請求できます。
ところで、本件において、誰にどのような請求ができるかは、簡単に回答できる内容ではありません。依頼する前提で専門家の相談を受けることをおすすめします。
相談ID:410
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