相談概要
- 工事内容
- 2階の解体工事と外壁補修工事
- 住宅形式
- 戸建(木造2階建)
- 相談内容
- 築45年の木造2階建て住宅。使用していない2階を解体する減築リフォームを検討している。解体数量などが図面と合っているのか疑問もあり、見積をチェックしてほしい
相談者から送付された資料
- 見積書
- 図面
見積チェック
チェックポイント 単価
屋根、外壁仕上げ(金属サイディング、縦ハゼ金属屋根)はメーカー名、商品名など仕様の記載がないため、価格の妥当性の見当が付けづらい。
チェック内容
- 屋根、外壁仕上げ材は、グレードや厚さにより価格や性能が異なるため、どの製品のどのグレードのものを使うのか、カタログなどを事業者に提出してもらうことを勧めた。
チェックポイント 項目・数量
解体工事部分の面積の出し方が不明である。見積書の各工事の数量について、図面から読み取れる面積と見積書に記載されている面積が異なる。また、外壁の改修範囲についても図面から読み取れないため、見積書に表記されている面積が正しいのかが判断できない。
木工事と外壁サイディング張り工事両方に金属サイディング工事が計上されている。
1階柱腐れ部分交換(概算)について、記述が具体的になく、詳細が分からない。
チェック内容
- 減築リフォームの場合、外部足場工事は解体後の架け替えが生じることや、屋根、外壁仕上げは既存部分との取り合いで改修を見込む必要がある。そのため、数量は図面より積算した数量と異なる結果になることがあることを伝え、各工事の工事範囲やその面積の出し方について、事業者に確認することを勧めた。
- 金属サイディング工事の範囲、数量について確認することを勧めた。また、外壁サイディング張り工事には胴縁張り・各種水切・シーリングなどの工事項目が含まれるのが一般的であるが、見積書に記載がないことを伝えた。
- 1階柱腐れ部分の補修部位の状況や補修方法、追加工事とならないかなど、工事範囲について説明を求めることを勧めた。
チェックポイント 相談ニーズ
相談者は、事業者からの見積りの数量が図面と合っているのか疑問を持っていた。また、提出された図面も不鮮明なため、工事範囲や仕様などが分からず不信感を募らせていた。
チェック内容
- 各工事の範囲と数量を確認し、また、新たに施工する屋根、外壁の材質や工法などの詳細を確認するよう勧めた。
相談者への助言内容のまとめ
- 解体工事やその補修工事としての屋根、外壁工事の範囲や工法、材料などの詳細について、事業者に確認することを勧めた。
- 数量については、もう少し分かりやすい図面の提出を求めるよう助言した。
解体工事費など主に手間代は、作業に係る人数や日数などを聞き取り、工事費を推測する方法を紹介した(リフォーム編738頁の公共工事設計労務単価大工(東京)28,800円/日、または、同384頁の小規模修理最少費用が参考になる)。 - 見積書に諸経費にあたる記載がない場合、その計上の仕方は事業者ごとに異なるので、どのように諸経費を見ているのか、事業者に確認することを勧めた。
参考資料
諸経費の内訳
費目名 | 内容 |
---|---|
1. 現場経費 | 労務管理費、租税公課、保険料、従業員(作業員)給与手当、施工図等作成費、退職金、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、補償費、その他 |
2. 一般管理費等 | 役員報酬、従業員(事務員)給与手当、退職金、法定福利費、修繕維持費、事務用品費、通信交通費、動力用水光熱費、調査研究費、広告宣伝費、交際費、寄付金、地代・家賃、減価償却費、租税公課、保険料、契約保証費、雑費 |
営業利益 |
リフォーム工事の諸経費は、一般的に、工事金額の20~35%は必要だといわれていますが、会社の規模や工事の大きさなどによっても異なります。
新築工事の諸経費は、通常の場合10~25%は必要だといわれていますが、リフォーム工事は20~35%と新築工事に比べて諸経費の割合は大きくなります。それは、リフォーム工事の多くは住みながらの工事となるため、例えば、家財道具の移動や養生、資材や工具等の毎日の後片付けや清掃などが必要になるからです。また、留守の時は工事が行えないなど、時間の制約も新築工事よりも厳しいといえます。こうしたことから、リフォーム工事にはより経費がかかるのが実情です。
積算資料ポケット版リフォーム編2025 385頁