注文住宅の設計契約を解除するには?
希望通りの設計にならない場合、設計契約に基づき、解除できる場合もありますが、解除までの報酬相当額を支払わなければならない場合もあります。契約書がある場合、その内容を確認しておきましょう。
1.設計契約
戸建ての注文住宅や大規模なリフォーム工事を行う際、工事の着工の前に、これらの設計をする契約を、建築士などとの間ですることが一般的です。建築士などが設計する場合、契約前に重要事項説明書の交付が義務付けられています。※1契約前に交付があったか、その内容と設計契約書との間に齟齬がないか、必ず確認しましょう。設計契約は、まず、希望する内容やプラン、予算等に沿う設計が可能かどうかを調査・検討します。次に、希望する内容、予算で設計できる見通しが立った場合には、設計契約を締結します。設計契約では、基本設計・実施設計図書(施工のために必要となる詳細な図面等)を作成します。なお、設計契約とは別に、工事を行う際には、施工業者と工事請負契約が締結されます。設計契約と工事請負契約は別であり、設計契約を解除しても、工事請負契約が解除されない場合があります。また、設計契約と同時に、建築士と工事監理契約が締結されることもあります。契約内容をよく確認しましょう。
2.設計契約の解除
(1)設計契約書・約款に解除できる条件が記載されているか確認を
まずは、設計契約書または約款を確認し、どういった場合に解除・解約ができるか確かめましょう。工期が遅れている、希望通りの内容で進まないといった設計側に問題があるために契約を解除する場合でも、設計者が適切に業務を行った部分については報酬(違約金)を支払わなければならないこともあります。この場合には、契約違約金の明細とこれまでの成果物を確認し、内容を精査した上で違約金を支払って解除することになります。
(2)設計契約書・約款には解除について何も記載されていないとき
事前に伝えた希望通りの内容に設計できなかったことは債務不履行(契約通りに業務を行っていない)だと伝えて、契約を解除できる可能性があります。もっとも、発注者がプランや仕様に拘り、その結果、希望に沿わなくなった場合は、発注者側に責任があるとして、債務不履行に基づく契約の解除が難しい場合があります。この場合、設計者が既に行った業務の割合に応じた報酬を支払って解除することになります。
3.まとめ
まずは、契約前の段階で、希望する設計の内容や契約書の内容を設計者と確認しておきましょう。そのうえで、万が一、希望に沿わなくなったときは、契約解除の条件について確認することが重要です。詳しくは、法律の専門家にご相談ください。
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