トップページ よくあるご相談 一覧 請負契約に基づく注文住宅の引渡し後に不具合が発生。施工業者に対応を求められる?

請負契約に基づく注文住宅の引渡し後に不具合が発生。施工業者に対応を求められる?

              
  • 新築工事
  • 戸建
  • 請負契約
  • その他
  • 修補(補修)
引渡しを受けたばかりの新築戸建て住宅で不具合が発生しました。施工業者に補修をお願いしたいと考えていますが、その他に何か求めることはできますか?

民法上、請負人(施工業者)は「契約不適合責任」を負い、注文者はこれに基づき、①追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求、④契約の解除を求めることができます。ただし、契約内容や事実関係によっては請求できない場合があるほか、請求できる期間に制限があるため、注意が必要です。

1.まずは契約書を確認しましょう

住宅引渡し後不具合が発生する等、通常期待される品質を満たしていない場合、施工業者がどのような責任を負うかは、原則、契約によって定められています。まずは、契約書を確認し、関連する契約条項などの記載を確認しましょう。

2.施工業者に請求できること

⑴民法上請求できる内容

契約書に施工業者の責任に関する記載が無い場合でも、民法上、施工業者は請負契約義務違反として「契約不適合責任」を負うため、以下の請求が可能なことがあります。
①追完請求(目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し)
不具合を補修してもらったり、未履行部分(されるべき工事がされていない部分)を完成してもらうよう求めることができます。ただし、不具合の原因が注文者にある場合は、請求できません。
②代金減額請求
施工業者が①の追完請求を拒んだ場合などには、請負契約代金の減額を請求することも可能です。この場合も①と同様、不具合の原因が注文者にある場合は、請求できません。
③損害賠償請求
たとえば、注文者が施工業者以外の事業者に補修を依頼した場合、その補修に要した費用の支払いを施工業者に請求できることがあります。不具合が天災によるものである場合など、施工業者に不具合の原因がない場合には、請求することができません。
④契約の解除
契約の解除も可能ですが、不具合の程度が社会通念上、軽微な場合にはできません。

⑵請求できる期間の制限に注意

施工業者に補修等を請求できる期間は、契約書に記載があることがほとんどです。また、契約書に記載が無い場合でも、民法上、注文者が住宅の不具合を知ってから1年以内に、施工業者に不具合がある旨の通知をしておかなければ、原則、(1)の請求ができなくなります。また、通知をした場合でも、不具合を知ってから5年以内もしくは引渡しから10年以内に、訴訟の提起などをしない場合、請求権が消滅します※1
なお、2020年3月31日までに結んだ契約には、「瑕疵担保責任」※2 が適用されます。「契約不適合責任」とは、請求可能な期間を含め、条件や請求できる内容が異なるため、注意が必要です。

請求できる期間の制限 の説明図

⑶住宅を新築した場合(住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法))

新築住宅※3の構造耐力上主要な部分等※4に瑕疵※5が生じた場合は、引渡しから10年間、不具合の補修等の請求が可能です。

3.まとめ

注文住宅に不具合がある場合、まずは請負契約書の内容をよく確認してみましょう。契約書に書かれていない場合にも、一定の条件が満たされれば、施工業者に補修などを求めることも可能です。詳しくは、専門家にご相談ください。

 

 

※1 消滅時効:権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間
※2 瑕疵担保責任:2020年4月の改正以前の民法上認められていた施工業者(請負人)の責任で、「契約不適合責任」に対応するものです。住宅が通常有すべき品質・性能を欠いている場合、請負人は瑕疵担保責任を負います。民法上、契約不適合責任に基づき可能な請求は、2(1)の回答に挙げた4つ(①追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求、④契約の解除)ですが、請負契約の瑕疵担保責任に基づき請求できるのは、修補請求・損害賠償請求と解除のみです。
※3 新築住宅:新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く)。
※4 構造耐力上主要な部分等:住宅の基礎・壁・柱等の構造耐力上主要な部分又は屋根、外壁、開口部等の雨水の浸入を防止する部分。
※5 瑕疵:種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。

参考になりましたか?

チャットでご相談

チャットサポート