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自宅の隣地に新築住宅が建設されるためプライバシーなどが不安。何か要求できる?

              
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今度、自宅の隣の土地に新しく戸建て住宅が建設されるようです。自宅に近い場所に住宅を建てられると、自宅の中の様子が見えてしまわないか不安です。新築予定の隣人に、要求できることはありますか?

新しく隣に住宅が建つ場合、①ご自宅とその住宅の距離を空けるよう求めたり、②目隠しを設置するよう求めることができる場合があります。ただし、①には、多くの法律等が関係しており、地域によっても規制が異なってきます。また、②について、新築住宅の構造等によっても、要求できるか変わってきます。詳しくは、地方公共団体や、建築士等の専門家にご相談ください。

1.自宅と隣地の建物の距離について

自宅と隣地の建物の距離に関する規制には、以下で説明するように複数のものがあります。

(1)原則(民法):隣地境界線から50cm以上離す必要あり

隣地境界線から50cm以上離す必要あり の説明図

民法では、建物は、隣接する他の土地との境界線(以下、単に「境界」といいます。)から外壁(出窓がある場合には出窓)を、50cm以上離して建てることが求められており、これに反する工事がされている場合には、工事の中止や変更を求めることができます※1。ただし、隣地の所有者の承諾がある場合や、その地域に、住宅を離さずに建てる慣習がある場合などには、50cm以上離さなくてもよい場合があります。

(2)例外:住宅地の一部と防火地域の規制(建築基準法による制限)

原則は(1)のとおりですが、ご自身がお住まいの地域が次のような地域であれば、例外が適用される場合もあります。
①住宅地の一部
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域で、都市計画に定めのある場合には、境界までの距離は50cmでは足りず、1m又は1.5m離すことが求められます。※2
②防火地域等で耐火構造のある建物
防火地域又は準防火地域内にある建物で、外壁が耐火構造(外壁部分に一定の耐火性能を持たせた構造物)の建物は、外壁が境界に接していて、境界まで50cmの距離がないとしても、問題がありません。※3

(3)建物の距離などの規制には、たくさんの法律が関わっている

これまで、民法や建築基準法での規制について説明してきましたが、建物の距離に関する規制には他にも様々な法律などが関わり、また地域によっても適用される法律などが変わってきます。詳しくは、お住まいの地方公共団体(市区町村)に確認してみましょう。

2.目隠しの設置を要求できることもある

目隠しの設置を要求できることもある の説明図

民法上、窓や縁側、ベランダが①隣地境界線から1m未満※4の距離に設置され、②窓等から宅地を見通すことのできる場合には、目隠しを設置することを求めることができます。ただし、1と同様、地域の慣習等によっては、要求できない場合もあります。また、実際に、他人の宅地を見通すことができ、民法上、目隠しを設置しなければならないといえるかは、窓の大きさや構造等によっても変わってきます。隣地の所有者等とよく話し合って、解決していきましょう。

3.まとめ

新しく隣の土地に住宅が建つ場合、①その住宅とご自宅の距離を空けたり、②目隠しを設置したりするよう、求めることができる場合があります。ただ、①・②のいずれの要求にせよ、法律や地域の慣習、新築住宅の構造等が複雑にからみあっており、一見、条件を満たしているように思えたとしても、要求できない場合もあります。また、隣地関係は、その後のご近所付き合いに影響を及ぼす可能性もあります。要望をきちんと伝えることは大切ですが、トラブルを防ぐためにも、予め地方公共団体や専門家等に相談するなどし、慎重な話し合いをすることをおすすめします。

 

 

※1 民法第234条:ただし、工事が始まってから1年が経った後や、建物が完成した後は、中止や変更を求めることはできず、損害賠償のみ、請求できます。
※2 建築基準法第54条第2項
※3 建築基準法第63条
※4 この距離は、窓等の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線までの距離を測定して算出します。

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