相談概要
- 【工事内容】
- 既存屋根材の上に金属屋根材(ガルバリウム鋼板)をカバー工法により施工、外壁の塗装
- 【住宅形式】
- 戸建(木造2階建)
- 【相談内容】
- 屋根と外壁をリフォームするため、新築時の請負業者から見積りをとったところ400万円と言われた。地元の事業者2社から相見積りをとったところA社が310万円、B社が200万円であった。見積書の金額があまりにも違いすぎる。新築時の請負業者は選択肢から外したが、A社とB社について事業者の選択をどのように考えたらよいか。見積書をチェックしてほしい。
相談者から送付された資料
- A社見積書(3,100,000円)
- B社見積書(2,005,500円)
見積チェック A社
チェックポイント 契約内容
支払条件について確認。
チェック内容
- 着工までに2/3の支払いになっていることを指摘。工事の出来高に応じた支払いになるよう、事業者に申し入れてみることを助言した。

チェックポイント 項目・数量
記載されている屋根材のガルバリウム鋼板の仕様について確認。
チェック内容
- 屋根材のガルバリウム鋼板には様々なグレードの商品があり、価格に幅がある。見積書に計上されている商品が、相談者の希望するグレードの商品であるか確認することを助言した。

チェックポイント 相談ニーズ
相談者は「役物」(参考資料参照)という専門用語の意味が分からず、30万円以上もする金額に「過剰な請求」と思い、A社に対して不信感を抱いていた。
チェック内容
- 「役物」は、金属屋根などの施工において必要な部材であることを説明。
- この製品は、JIS認定品で「役物」の種類や数が多い。見積書の数量は、現場の実測に基づき積算していると思われるので、どの部材がどこに使用されるのか、事業者に図面等の資料を提出してもらい説明を受けることを助言した。

チェックポイント 項目・数量
外壁塗装工事の項目、仕様について確認。
チェック内容
- 二重計上や不足している項目はなく、全体的に項目が丁寧に記載されている。塗装の塗り回数など、仕様も詳細に記載されていた。

チェックポイント 単価
単価について確認。
チェック内容
- 一式計上は最小限となっており、計上されている各単価は、単価データに比べ、大きくかい離しているものはなかった。

チェックポイント 項目・数量
屋根材のガルバリウム鋼板の仕様や数量について確認。
チェック内容
- 屋根材は、A社の見積書と同じガルバリウム鋼板となっているが、B社の見積書の製品はA社に比べ「役物」の種類や数が少なく、JIS認定の有無が不明である。希望通りのグレードの商品であるか確認することを助言した。
- 数量がA社よりも少なく計上されているため、数量の根拠について確認することを助言した。

チェックポイント 単価
外壁塗装工事の単価について確認。
チェック内容
- 項目は詳細に記載されているが、単価や金額の記載がない。そのため、この項目について、施工されるかどうか不明である。事業者に工事内容や工事範囲を確認することを助言した。

チェックポイント 相談ニーズ
相談者は、A社に比べ屋根工事における詳しい項目の記載がなく、金額があまりに安いことからB社に対し不安を感じていた。
チェック内容
- 屋根工事の金額が約84万円でA社(219万円)より100万円以上安く、これがA社との金額の差となっているが、詳しい項目の記載がないため、合理的な理由が不明。参考価格(積算資料ポケット版リフォーム編)を大きく下回っているため、事業者に工事内容を確認することを助言した。

相談者への助言内容のまとめ
- 100万円ずつ見積金額が違うと、事業者に対し不信感を持つのは当然だが、見積書の内容を詳細にチェックすると理由は明らかになる。
- B社はA社より屋根工事が100万円安く、これが見積金額の差となっている。しかし、屋根工事を100万円安く施工できる合理的な根拠が明らかでない。また、屋根工事は一式表記となっており、積算根拠や工事内容等について、事業者に確認が必要。
- A社の見積書は、項目等が丁寧に記載されているが、不用意に使用した「役物」という専門用語が相談者には分からず、過剰な見積りではないかとの不信感を招いてしまい、これが相談の大きな要因となっていた。
参考資料
役物とは
建築材料の標準的な形に対して、納まりの都合から特殊な形をしたもの。レンガ、タイル、瓦、コンクリートブロックなどで特殊な規格があります。
