相談概要
- 工事内容
- 太陽光発電システムの設置工事
- 住宅形式
- 戸建(木造2階建)
- 相談内容
- 築15年木造2階建て住宅。屋根の塗装後に、太陽光発電・蓄電池システムを設置する工事を検討している。相見積りをする予定はないので、見積チェックをお願いしたい。
相談者から送付された資料
- 見積書
- 太陽光発電カタログ
見積チェック
チェックポイント 技術的可否等
蓄電池を併用した太陽光発電・蓄電システムの設置後の効果や維持管理について詳しく説明を受けているか。
太陽光発電システムを搭載した場合の注意点、懸念点について確認したか。
チェック内容
- 太陽光発電を採用する際は、発電量のシミュレーションを元に設置後の効果についても説明してもらう必要がある。また、周辺建物などの影があると発電量に影響を与える可能性や、機器の保証や定期点検費用、メンテナンス費用について説明を受け、設置費を含めたコストと売電収入や電気代の低減効果などのメリットを総合的に判断する必要があることを伝えた。
- 既存の住宅に太陽光発電システムを搭載する場合、耐震性の観点から太陽光発電システムの荷重に耐えられる構造になっているかを確認する必要があることを伝えた。
- 架台の設置方法によっては雨漏りのリスクが高まることや、周囲への影響として反射や落雪による影響の確認が必要であることを伝えた。
チェックポイント 単価
メーカーホームページに記載されている定価の合計を見積書(設置手間込み)と照合したところ、見積書金額は約60%の金額となっている。
チェック内容
- 価格については、メーカーの公表価格などから判断することも可能であるが、比較検討ができない場合は、相見積りをとることも検討するよう勧めた。
チェックポイント 相談ニーズ
相談者は、太陽光発電システムを設置希望で、屋根の塗り替え時に同じ業者に依頼したが、価格の妥当性に不安を抱いた。
チェック内容
- 太陽光発電システムを設置する前に、既存の建物への設置が可能かどうか、耐震性や日当たり具合など周辺状況を確認することを勧めた。
相談者への助言内容のまとめ
- 太陽光発電・蓄電システムを採用する際は、設置後の効果や維持管理について説明を受け、導入コストと維持管理にかかるコストと、メリットを総合的に判断する必要がある。
- 価格について、メーカーの公表価格などから判断することも可能。できれば、相見積りをとり比較検討することを勧めた。
- 既存住宅に太陽光発電システムを設置する際は、太陽光発電システムの荷重を含めても住宅の耐震性に問題がないか、しっかりと確認し、耐震診断を行うことも検討するよう伝えた。
- 屋根の材質・工法によって設置方法が変わるため、適切な設置方法であるか、事業者に確認するよう勧めた。
参考資料
太陽光パネル設置による荷重増加
例えば、既存屋根材が、化粧スレートで、壁量計算を「軽い屋根」で行っていた場合を考えてみます。化粧スレートの重量は商品によりますが、約20~30kg/㎡になります。そこに太陽光パネルを載せると、約25~35kg+架台の重量となり、壁量計算で「重い屋根」とされる瓦葺き屋根(葺き方によりますが約45~60kg)に近くなってきます。そうなってくると新築時の設計によっては、耐震性に不安が生じてきます。さらに、太陽光パネルの多くは南面に設置され、南面は窓が多く配置されているため壁量が少ないことを考えると、偏心が大きくなることも懸念されます。
積算資料ポケット版リフォーム編202332~33頁