第1回:論点の整理
1カ月後に第1回の審理が開かれ、Eさんは基礎のひび割れの原因と家の傾きの有無や安全性について、F建築会社に説明を求めました。
F建築会社は、基礎のひび割れは住宅の安全性に影響しないと主張しましたが、安井委員は説明不足の点があると指摘し、次回、F建築会社から説明資料を提出することが決まりました。
第2回・第3回:住宅の安全性の確認
第2回の審理には、F建築会社から資料が提出されました。しかし、紛争処理委員はその資料では住宅の安全性を確認しきれなかったため、建設住宅性能評価書を発行した評価機関に現場検査の際の資料を法律に基づき請求しました。
第3回の審理で、安井委員はF建築会社の資料と評価機関の資料でEさんに説明し、ひび割れは住宅の安全性に関係なさそうだとの見解を示しました。
Eさんもひび割れの影響については納得しましたが、家の傾きについて不安が残ること、F建築会社の説明不足で精神的苦痛を被ったため慰謝料を請求したいと訴えました。
Eさんの言葉に対し紛争処理委員は、このような場合慰謝料については請求が難しいと説明し、結論を出す前に現地調査を実施してはと提案しました。
第4回・第5回:現地調査と調査報告
第4回は現地調査で、安井委員によってEさんの住宅の傾斜の測定と、基礎の状況の確認が行われました。
第5回の審理で、安井委員は、ひび割れの補修をしており、住宅の傾きもないことから、これ以上補修をする必要はないのではないかとの見解を示しました。
第6回:調停の成立
第6回の審理で、事業者が説明不足について謝罪したため、Eさんからは慰謝料を請求しないという調停書に双方が調印し、申請から約6カ月で調停が成立しました。
※この物語は、実際にあった事例を参考に、脚色を加えて構成したものです。